堤千代「小指」

昭和15年、第11回直木賞受賞作となった堤千代の短篇「小指」

堤千代は、受賞当時22歳で、直木賞史上最年少、

かつ、初の女性受賞者としても注目されました。

直木賞の創設者であり、また自らもすぐれた短篇小説の書き手であった

作家・菊池寛も、この作品を高く評価していたといいます。

 

小説「小指」は、若い芸者のお染が、ある男性との出会いから

左手の小指を失うに至ったいきさつを、

芸者仲間のねえさんに語るという形で書かれています。

 

堤千代は、大正6年、1917年東京生まれ。

生まれつき心臓に重い病気があって、ほとんど家から出られず、

小学校にも行けずに、ただ本を読むことと、物語を書くことだけが

生きがいとなっていました。

 

その千代が初めて小説としてまとまったものを書いたのが、短編「小指」。

千代はこの作品を、雑誌「オール読物」に投稿し、それがすぐに採用となり

雑誌に発表され、その年、昭和13年下半期の直木賞候補となりました。

しかし、このときには受賞を逃しています。

落選の理由は公にはされていませんが、実は、千代が病身であるため、

職業作家としての将来性に問題がある、という判断だったと言われています。

 

 その後、千代は続けて二つの短篇を「オール読物」に発表し、作家としての

技量を認められて、昭和15年上半期に、改めて直木賞を受賞しました。

この時、千代は22歳と10カ月。この「最年少記録」は、現在も破られていません。

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