TBS RADIO 954kHz 毎週金曜日 18:00~19:30Podcasting954RADIO TOP

■ごあいさつ

はじめまして。


このたび、「ターミナル」で司会進行役を務めます、

柳瀬博一です。


月曜日から金曜日まで(ときには土曜日と日曜日も)

「日経ビジネスオンライン」という

ウェブマガジンのサラリーマン・プロデューサーをやってます。

 

いま、世界には「情報」があふれてます。

 

テレビ、新聞、雑誌、書籍、そしてラジオもそうですね、

昔からあるマスメディアに加えて、

1995年からはインターネットが登場したことで

世界の果ての話と、ご近所のパン屋さんの話が、

ギリシャの国家破綻の話と、野菜の放射能汚染の話が、

次のノーベル賞候補の話と、昨日の運動会で自分の子どもが

1等賞になった話が、同じ画面上に、同時に並ぶようになった

からです。

自分自身も「情報」の発信者になることが増えました。

ツイッターに、ミクシイに、フェイスブック。ブログも

もちろんそうですね。

 

さて、その結果どうなったか?

 

とっても便利になったのは事実です。

おいしいお店を探すのも、古代メソポタミアの国家の名前を

調べるのも、道に迷ったときも、うろおぼえの商品の名前を

思い出すのも、インターネットで探れば、一発で解決です。

 

でもその一方で、いったいどの情報を信じればいいのか。

なにを見て行動すればいいのか。

判断できなくなることもたくさん生まれました。

情報があまりに多すぎて、しかもそれぞれがてんでばらばら

方向を向いていたりするからです。

 

たとえば、10月6日の朝から昼にかけて。

テレビはずっと小沢一郎衆議院議員の第一回公判のニュースを

流し続けました。

テレビを見ていた人は、「お、小沢裁判、はじまったな」と思う

でしょうね。

 

ところが、インターネットで自分のツイッターのタイムライン

を覗くと、日本時間の今朝8時半ごろ伝わってきた、

アップル創業者、スティーブ・ジョブズ氏の死亡に関するツイート

がびっしり。小沢報道はほとんどありません。

ツイッターというのは、自分が選んだひとたちの「つぶやき」が

ならぶわけですからね。その「つぶやき」の総量は、自分自身の

趣味志向を反映しているともいえる。

ああ、俺はこんなに「ジョブズ」が好きだったのか?

とびっくりしました。

が、仮にこの時、自分がツイッターだけをネットで見ていたら、

「ああ、ジョブズが死んでしまったか」と慨嘆し、小沢裁判の

ことは見落としていたかもしれません。

 

同じ日本の、同じ時間の、けっこうたくさんの人が見ている

テレビとツイッター。

なのに、これだけ見えるものが違う。

あまりに「情報」が多すぎるわけです。マスメディアも、

インターネットも、もはや「これさえみておけばオッケー」

という情報発信が、物理的にできなくなっているのです。

みんなが紅白歌合戦を見て、「8時だよ!全員集合」を見て、

「ウルトラマン」見て(TBSの番組が続きますね 笑)、

という60年代70年代的時代とは、根本から変わってしまった

のです。これはいいとか悪いとかって話ではありません。

ただし、人間の持ち時間は1日24時間。情報がいくら増えても

持ち時間は増えません。かくして情報はあふれかえり、

インフレ状態に陥り、ややもすると、じゃあなにもみること

ないじゃないか、と自暴自棄になったりする。


どうすればいいんだろう?

 

そこで「ターミナル」です。

情報の洪水に押し流されて、何を信じていいかわからない、

何を道しるべにすればいいのか判断できない。

そんな時代の、情報の灯台になる、れさえ聞けば、大丈夫、

というメディアの新しいスタンダードになる。

まさに情報の発着駅。

それが、新番組「ターミナル」のコンセプトです。

・・・なんて言えれば、かっこいいのですが、さすがにそれでは

言い過ぎになってしまいます(笑)。

週1回のささやかな番組ですが、それでも、ターミナルならでは

の切り口、目線というのを3つ強調したいと思います。

 

ひとつは、「現場」にこだわること。

日本経済が疲弊して長い時間がたちます。

政治がダメになったといわれて長い時間がたちます。

その上311以降、社会もダメージを受けました。

でも、そんな中、世界中が注目したことがあります。

それは日本の「現場」のすごさです。

 

被災したひとたちの我慢強さ。礼儀ただしさ。社会性の高さ。

その被災地を救援しにいった、民間企業、運送業、コンビニ、

小売り、メーカーの現場のひとたちの素早さ、的確さ、

そして社会意識の高さ。

さらに被災した地域をすぐに立て直した国交省をはじめ

現場官僚たちの腕の確かさ、無私さ、自ら被災したのに

陣頭指揮をとった地方公共団体長のたくましさ、地元役人たち

の真面目さ。政治の、官僚の、企業のトップたちが

批判にさらされたのと好対照です。


なぜ、こんなことが起きたのでしょう。

日本はもともとボトムアップの社会でした。

さまざまな「現場」(あ、いっておきますが、人事部だって

総務部だってみんな現場ですよ)で最善をつくすひとたち。

日本はそんなひとたちが、いろいろなものをつくってきました。

戦後、会社が、国が大きくなって、

組織を運営するひとたちが必要になったとき、

現場のひとたちを、現場からひきはなして、

管理職にする仕組みが大きくなりました。

でも、そのうち、会社や国を「経営する」のではなく、

組織を「管理するだけ」の会議仕事のみがどんどん増えて、

現場のことがわからない、けれども経営能力も実は育っていかない、

そんな構造が日本中に蔓延してしまったのです。

今回の震災や東京電力福島原発事故は

そんな日本の、管理職や経営層、指導者層の構造的な能力の欠落を

あぶりだしました。


でも、悲観するのは早い、と僕は思います。

それは、さきほど記した「現場の力」がまだまだ日本にはある

からです。いま必要なのは、みんながそれぞれ自分の持ち場をもった、

現場のプロになることです。

この場合の現場は、工場や店頭や建設現場や畑や漁場のことばかり

じゃありません。会社の経理だって、役所のシステム管理だって、

みんな「現場」です。

仕事をしているひとはもちろん、

学生も、専業主婦も、おじいちゃんおばあちゃんも、

みんな自分の現場のプロになればいい。

そんな現場をたばねる、現場のプロとしてのリーダーが育てばいい。


ターミナルでは、「希望は常に現場にある」という目線で、

さまざまな情報から「現場」のメッセージ、「現場」の視点、

「現場」真実を引き出し、お聴きいただいているみなさんが、

「実用」の道具にしたり、「応用」のヒントになるようにして

いきたいな、思っています。

 

「ターミナル」の売りの2番目は、

そんな「現場」のいまを知るための強力な援軍です。

ぼくの仕事場である、ウェブマガジン「日経ビジネスオンライン」

と、姉妹メディアの「日経ビジネス」です。

どちらも、ビジネスメディアとしては、ウェブ界と雑誌界で

もっとも大きな規模で、トータルで200万人近い読者が

いらっしゃいます。

そして、ぼくの仲間の数十人の記者たちと、専門家たちが足で稼ぎ、

知恵を絞って書き記した「現場発信」の情報を届け続けています。

 

ターミナルでは、このふたつの媒体の力も借りて、

ときにはスタジオに担当記者や執筆者の方をお招きして、

「現場発」の声、「現場発」の考え、「現場発」の情報をみなさん

にお伝えしていこうと思います。

テレビで報じていたあのニュース。現場からみると、ほんとは

どんな話なんだろう。ウェブに載っていたあの被災地の話。

現場の声を聞くと、ほんとはどんな状況なんだろう。

そんなさまざまなジャンルのさまざまな「現場」で働くひと、

「現場」で遊んでるひと、「現場」で生活しているひと、

「現場」を経営しているひと、そんな人の声を活かして

めくるめく情報の、小さいけれど光の強い「灯台」を

目指していきたい。そう思って、始めます。

 

「ターミナル」の売りの3番目、それは「ラジオ」での

情報発信、ということです。

人間のコミュニケーションの8割は非言語だといわれています。

つまりボディーランゲージが大半だと言うのです。

インターネットでのコミュニケーションがしばしば炎上する

のはそのせいです。テキストだけで人間は、いいたいことを

伝えきれないのです。

そこで、ラジオです。

ラジオで流れるのは言葉だけではありません。

やりとりの息づかい。きらめき。

そんな非言語的コミュニケーションのふんいきをつたえるのに、

つまり「現場」を伝えるのに、ラジオはうってつけの装置だと

思うのです。

 

まえおきが長くなりました。

「希望は常に現場にある」これをあいことばに。


では、番組で、お会いしましょう。

                  柳瀬博一


===


アシスタントを務めます、南部広美です。

ラジオのスタジオ生放送は、5年半ぶりになります。

3.11の東日本大震災後から、ふるさとの岩手県花巻市在住です。

今回"柳瀬博一Terminal"で、マイクの前に戻ってくるチャンスを

いただき、本当に感謝しています。


毎週、この番組を目的地にみちのく岩手から旅をします。

柳瀬さんをしっかりサポートしてついて行きますので、

よろしくお願いします。

ずっこけないアシスタントを目指しますよー


                  南部広美

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