現場にアタック

2014年06月19日(木)
担当:小林真理

先週、国際自然保護連合が、絶滅危惧種としてレッドリストニホンウナギを加えました。
 
うなぎの蒲焼きを楽しみにしている方には、とてもショッキングなニュースとなりましたが、
実はいま、そのうなぎの代わりとして、ある魚に注目が集まろうとしています。
それは何か。近畿大学の農学部水産学科・有路昌彦准教授に伺いました。
 
 
ご存知の通りうなぎの資源量は、非常に悪いというか、なかなか
元に戻る状態ではなくて、100が一番多かった時とすると、
いまは5もないくらいの状態なんですね。
そこで、容易に養殖ができて、味がうなぎに非常に近い、
あるいはもっと美味しいとなると、ナマズだなぁと。
作り方しだいという部分もあるんですけど、味は非常に良いです。
ニホンナマズと呼ばれるマナマズは、ちょうど蒲焼き向きの味です。
とても脂が乗っていて、身がすごく柔らかくて、皮の辺りの弾力と
その下の脂肪の旨味はうなぎそのものって感じです。ダークホースですな。
 
 
泥臭いとか、そもそも食べられるのかとか、そういったイメージをお持ちの方も
いるかもしれませんが、実際には海外ではうなぎよりナマズのほうがポピュラーな食べ物です。
実はナマズは、江戸時代より前の時代では、貴重なタンパク源として重宝された食べ物でした。
しかし今では、うなぎとナマズのイメージは雲泥の差がついているように見えます。
なぜそうなってしまったのか、再び有路さんのお話です。
 
 
諸説あるんですけど、ひとつは江戸時代から始まった
「うなぎキャンペーンの結果」だという所があります。
土用の丑の日にうなぎを食べると良いという話を広めた、
平賀源内がやった話で有名ですけど、それまでは蛇っぽくて
気持ち悪いとか言われて、非常に泥臭い魚ですし、
生で食べるとタンパク質が有毒な成分を持っているので
きちっと火を通さなければいけなくて、あまり食べられていなかったんですね。
ところが、干拓で利根川水域にやたらにうなぎがいて、
それを商品化できないかというマーケティングを平賀源内が中心になって
一生懸命やった結果定着したというところがあって、
同様の味がして簡単に育てられるナマズは、なんというか、
存在してはならない存在にまで追いやられてですね、
ナマズアンチキャンペーンが行われた、というのがありますね。
 
 
今ではうなぎは精のつく食べ物、ナマズはちょっと気持ち悪い、というイメージですが、
平賀源内さんが広めるまでは逆だったのですね。
そんなナマズですが、味が良いだけでなく養殖が簡単という特徴もあって、
町の新たな産業にしようと考えているところもあります。
広島県東部にある神石高原町役場の森重純也さんのお話です。
 
 
ナマズの養殖は、広島県立油木高校産業ビジネス科の授業の一環で、
小学校が廃校になったプールを活用して養殖をしているものと、
地域の若者が休耕田を池にしてそこでナマズを飼う。
この神石高原町ではナマズの食文化がなかったものですから、
チャレンジ精神たっぷりで思い切った取り組みなので、
販路についてはこれからですが、高校生が頑張っているので、
町としても支援していくことにしています。
 
 
神石高原町はナマズを食べる文化はありませんでしたが、
高校の先生が「ナマズの養殖が簡単」「休耕田を活用できる」ということに目をつけて、
ナマズの養殖をやってみようと始めました。
いま使っていない田んぼが活用できるため、今では町の若い人も参加しています。
この取り組みに町も賛同して支援していくことを決め、今週末の土曜日には、
広島カープの本拠地・マツダスタジアムで、ナマズ料理のお店を出店するそうです。
一方で、関東では埼玉県吉川市が、平成8年から養殖に取り組んでいますが、
最近徐々に注目されてきているそうです。
よしかわ観光協会の吉田亘宏さんに伺いました。
 
 
吉川市は昔からナマズ、というか川魚を食していた歴史がありまして、
町おこしをしようという流れのなかで、ナマズでうっていければと。
で、去年くらいからうなぎが食べづらくなって、という話題が出始めた時に、
吉川市のナマズが注目されまして、ナマズ目当てに来る方も、
少しはいるのかなっていうところで、
養殖をし始めてから徐々に増えてきているのかな、というところですね。
 
 
もともと吉川では、川魚の一つとして食卓に並ぶ食べ物。
近隣の地域よりもナマズが身近だったこともあり、
いまでは「ナマズの里」として、町の観光資源にもなっています。
 
地域によっては食べられていたものの、これまで蒲焼きとして注目されなかったナマズ。
近畿大学の有路准教授は、食べる環境を整備すれば必ず広がると、自信をみせています。
 
 
色々な人達がいろいろナマズ食をやっているんですけど、
どれも郷土食なんですよね。そういう所は蒲焼用と言うわけではなくて、
むしろ天ぷら用、脂を抑えた作りになっているほうが主流になっていますね。
ただ、蒲焼きでこの需要がいけるんだ、となればどんどんマーケットが出来ますから、
活性化していくと思いますけどね。やはり、美味しいものを食べさせるというところまで
持ち込む工夫をしなければならない所はあると思います。
でもうなぎを増やすよりはよっぽど早いです。3年もかかりませんよ。
 
 
うなぎが完全養殖できるようになるまでに、およそ10年かかると言われていて、
しかも10年後に私達が望んでいる量が養殖できるかは、わからないそうです。
だったら少し目先を変えて、ナマズという選択肢を取り入れる、というのも、
ひとつの考え方かもしれません。

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