現場にアタック

2011年09月14日(水)

  担当 山﨑 景子

  秋の果物や野菜の季節を迎えましたが、農家の皆さんが頭を悩ませるのが
  野生のサルによる食害で、毎年大変な被害が出ているそう。
 でも決め手となる対策がなかなかない。。。

 そんななか、山梨県の南アルプス市で、
  「ヤギを使ったサル対策」をこの秋から始めようとしています。
  どうしてヤギを使うのか? この計画を進めている
  NPO法人「南アルプスファームフィールドトリップ」の小野隆さんに聞きました。


   南アルプスはすももが日本一の産地ですがサルが里山に下りてきて
   全部食べてしまう状況が続いているんです。
   ほかの作物にてもちょっかいを出すということが起こっている。
   もちろん色々な対策をしてサルを追い払うことはしているんですが、
   すぐに慣れてしまったり対抗策を考えたりして、
   本当にいたちごっこなんです。
   
   実は滋賀県の畜産試験場が行った試験の中で、ヤギの場合はサルが逃げて
   しまうという効果があったそうなんです。そこでヤギを使ってサルを追い
   払うことができるんじゃないかと考えたんですね。


 サルによる果物の被害金額は、2千280万円(平成19年度)。
 打撃は大きい!!
 ほとほと困っていたところに、サルはヤギを見ると逃げていくという話を聞き
 試してみることにしたそうです。
 ただ、どうしてヤギがサル撃退に効果を発揮するのか?

 実は、同じような疑問を持って、すでに自分たちで検証したところがありました。
 それは福島県の南会津農林事務所。そこの吉田文弘さんに話を伺いました。


   ヤギは変わったものを見ると前に進んでいく「前進行動」という性質が
   あるそうです。ウシとかヒツジは、サルとか分からないものがいると
   後ろに下がって逃げていくけど、ヤギは野次馬なんじゃないですか。
   
   知らない人が来ると近づいていきます。そしてじーっと見てます。
   ヤギの瞳って丸いんじゃないです。四角い中に猫の目みたいになっている
   から、みんなちょっと気持ち悪いって、体が引きますね。
   だから、じっと見られているとサルは動きにくいんじゃないですか。
   サルに聞いてみないとなんとも言えないですけどね。

 

 見つめられるのがいやなのか?目つきがコワイのか?近寄ってくるのがいやなのか?など
 憶測飛び交いますが、、でもサルがなんでヤギを嫌うのか、
 本当のところは謎。ただ、吉田さんたちが試してみても、効果絶大だった。


 でも問題は、ヤギの効果がどのくらい続くのか。
 山梨の南アルプス市では、防護ネットを張ったり、電気が流れる柵を作ったり、
 サルを追い払うためのイヌ「モンキードッグ」を放したり、色々やったが
 どれも初めは効果があるものの、しばらくするとサルが慣れちゃたそう。

 そこで実際にヤギを導入した農家に伺ってみました。
 南会津郡の下郷町でリンゴとお米を作っている星由夫さんに聞きました。

 

   農業普及センターでも最初は「ホントかいな?」という話だったから、
   ま、実験してみようということでやったんだけど、かなり違うねぇ。
   今年で4年目なんですけど、3年間は全くサルの被害がなかったです。
   サルがやっぱりヤギがイヤなのかなぁ、ニオイかなぁ。ちょっとニオイが
   きついんですよヤギは。それがイヤなのかなぁって感じはするねぇ。

 


 ヤギのニオイがイヤなのか...これも本当のところは謎ですが。
 とにかく星さんは町から試験的にヤギのリースを受けたこの3年間、
 リンゴ畑の被害なし。
(ヤギを借りていない星さんの周りの畑は被害を受けたそう!)
 それくらいヤギの効果は大きい。しかも今年4年目も今のところ被害なし。

 南伊会津郡もサルの被害がひどいところで、
 星さんの1ヘクタールのリンゴ畑で年100キロ~200キロの
 サルの被害が全くなくなった。これは経済的にかなり大きい。
 
 でも星さんは、金額のこともさることながら、
 もっと大きいものがあるとおっしゃってました。


   精神的なものがかなりありますよ。サルはクマよりも始末が悪いのね。
   食べなくても木から落とす、一口かじって捨てちゃう、もうやりたい放題。
   いつ来るかわからないから大変なのね。来るときにはもう50頭以上が
   群れを作ってくるから、田んぼの仕事をやってても心配だしねぇ。
   2時間おきくらいに見に行くとすぐサルが来ているときがあって、30トン
   くらいのリンゴ全部やられちゃうよね。ヤギを飼うことによってそういう
   心配をしなくてすむというのは、かなり楽です。

 

ヤギがいないときは、50匹のサルの群れがいつ畑を襲ってくるか分からない!
星さんはお米もやっててずっとリンゴ畑を見ていられないから
田んぼにいる間、心配で心配でたまらなかったそう。
田んぼから歩いて30分かけてリンゴ園に移動して、広い畑を鉄砲持って
サルを探す。サルを追い払って、また30分かけて田んぼに戻って、
その間また心配で心配で...。その精神的な負担たるや...。

ということで、サル撃退策としてヤギは今、注目。
また、ヤギは荒れた畑の草を食べてくれるので、人が手入れしやすくなり
遊んでいる土地の管理にも役立つ。ということでも利用できるそう。
実際に群馬県の中ノ郷町では
有休農地の対策としてヤギを使って効果が出ているそうですよ!

収穫の秋は、農家にとってはサルとの格闘の秋。
ヤギの効果がはたしてこの先も長く続くか...。

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