現場にアタック

2011年02月23日(水)
★「山ガール」「釣りガール」「編みたガール」など、何かと「ガール」や「女子」で括られる昨今ですが、ついにプラモデルを作る女性の愛好家「プラモ女子」なる言葉が出てきました。本当に増えているのか?増えているならどんなプラモをつくるのか気になります。そこで「プラモ女子」が増えているという、新宿マルイアネックス7Fにある模型店「模型ファクトリー」で、店長の有馬律雄さん(株式会社ライデンシャフト代表取締役)に「本当に女性客が増えてるの?」と聞いてみました。

有馬さん『プラモ女子とかプラガールとかモケジョとか、まだ表現は統一されていないのも面白いですね。よく「本当に女性が増えてるの?」「ヤラセじゃないの?」と聞かれるのですが、実際に増えていますよ。といっても、まだまだ男性のほうが圧倒的に多いのですが、プラモデルって元々女性が皆無に等しい業界だったので、女性を見かけるだけでも増えたなぁと思いますね。昨日も、すごいキレイな方がチェコの戦車を買って行きました。何でこんな通好みな戦車を買うんだろう・・・と。普通はドイツのタイガー戦車あたりがいいところですが、まさかチェコの戦車を選ぶとは。気になりますね』

★戦車などを買っていくのは本格派で、女性が買うプラモで多いのは「ガンダム」やアニメキャラのものだそうです。「模型ファクトリー」は2009年に創業し、模型のほかに可愛い雑貨や本も同時に陳列している開放的印象のお店です。『マルイに出すのでカップルでの来客を狙ったのですが、まさか女性客が単体で増えるとは思いませんでした。ふたを開けてびっくりしています。』とは有馬さん。

★でも、「プラモ女子」の出現を良く思わない男性ファンもいるようで、ネットで「女は入って来るな」という意見も見られました。お店に貸し工房のスペースもあり、プラモ製作の会も開いている有馬さんに、女性と男性が対立することはないのか聞いてみました。

有馬さん『男社会なので「女は入ってくるな」という人がネットにはいるようです。「どうせ女が作るのはこんなヤツだ」と言ってピンクに塗装されて内股になったガンダムの写真をネットにアップしたり、「女が始めたら文化は終わる」とか、保守的な人が否定的なことを書いているようです。しかし、こういった人は一握りですね。ウチの店で実際に見ていると、プラモ女子に話しかけたい男性ばかりで、「何を作っているんですか?」「すごいですね」など興味津々で話しかけていますよ。』

★ピンクに塗装されキラキラのラインストーンで飾られ、内股で女性的なポーズをとったガンダムの写真がネットにアップされたこともありました。「女がプラモに手を出すと、こんな作品が増えて文化が廃れる」などといった趣旨の書き込みもありました。でも有馬さんに聞くと、『ほとんどの女性が、仁王立ちの立派なガンダムを作りますよ。男性顔負けです。』とのことでした。

★でもなぜ、男の子のものという印象が強いプラモデル作りに、女性がハマるのでしょうか?日本で唯一の女性プロモデラーで模型ライターのオオゴシ*トモエさんに聞いてみました。

オオゴシさん『模型って面白くて、男性的な面と女性的な面の両方を持っているんですね。工作・組み立てのような空間把握の作業は男性的な技術で、仕上げの塗装などは女性的です。この両方が楽しめるのがプラモの魅力です。女性の中には、ビーズや手芸などの延長上にプラモデルがあるという方が増えているのではないかと分析しています。』

★作り上げるものは戦艦やロボットですが、実際にやっている作業は手芸に近いですね。確かに、まるでネイルアートやビーズ、ドールハウスの感覚。元々、こういうのは女性の守備範囲です。それに、最近はガンダム等のロボットアニメを男女隔てなく見る時代なので、30代の女性を中心にロボットや戦車を作ることに抵抗がなくなったのも影響しているそうです。さらにオオゴシ*トモエさんは、女性ならではのこんな特徴が、プラモ作りに活きていると話します。

オオゴシさん『エアブラシを使ってプラモに好きな色を塗ったり、筆で細かくフィギュアの顔を塗り分けたりというのは、まさに女性的な作業ですね。女性は普段からファッションやメイクなどで「色」に接する機会が男性より多いですよね。ピンクといってもひとつの色ではなくて、「好きなピンク」と「嫌いなピンク」があるものです。女性のほうが色に対しての感覚が広いと感じます。好きな色に塗るなど、女性ならではの楽しみ方があるので模型を楽しむ女性が増えてほしいですね。』

★たしかに、「口紅」だってほとんどピンク色なのに、あれだけの細かく色が細分化されていますしね。同じ赤に塗るにも、微妙なニュアンスの違いを表現できるのは女性ならではなのかもしれません。オオゴシ*トモエさんはエアブラシで「偏光パール」のマニキュアを吹き付けて塗装するなど、女性ならではの感性を作品作りに活かしているとも教えてくれました。

★こういった男女の色彩感覚の違いについては、有馬さんもこのように話していました。

有馬さん『プラモデルでも、飛行機や戦車・戦艦などの兵器専門の方は、○○大戦仕様など実物を忠実に再現しようとするのですが、女性の場合は発想が自由で、自分の好きなように表現するんです。以前、あるプラモデルを実物と違い「黒と金」に塗った女性がいたので何故か尋ねると「シャネルの色にしたかった」との答えでした。男性の固定観念を打破するような、色々な模型の楽しみ方を提案してくれるのではないかと思っています。新しい可能性が広がるのではないかと期待しています。』

★プラモデルを芸術として観た場合、女性が自由の風を吹き込み新しい色彩やデザインのものが出てくる可能性に期待できると言います。また、経営の話をすると、いま店を畳むプラモ店が多いそう。大手家電量販店の売り場でプラモが安く販売されたり、ネットで買える時代なので、太刀打ちできないのだそうです。それに今の子どもはプラモに慣れ親しんでおらず、今後、需要が増える見込みも少ないそう。

★そんな中で、業界にとっては女性客の増加自体も嬉しいですし、母から子へという形や、地域や学校教育にプラモを取り入れるなどの動きが広がることも期待していたいところです。プラモ業界にとっては逃したくない「○○女子」の波、今後どのように醸成されていくのかが楽しみですね。


触発されて、わたしも人生で初めてガンプラ作ってみました。初心者用(対象年齢が8歳以上らしい・・・)で、塗装をしたわけでもないのですが、処女作は愛おしいものです。

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今回、初めてガンプラを作るにあたり、オオゴシ*トモエさんの本を参考に組み立ててみました。初心者向けのイントロダクションから、高度な塗装までがカバーされている内容の本で「次はもっと難しいのを作ってみよう」とワクワクしてしまいますね。




【リンク】
オオゴシ*トモエさんのオフィシャルWebサイトへ
模型ファクトリーのホームページへ

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