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2014年01月13日(月)「"若者"について考える」(ディスカッションモード)

■テーマ

成人の日に、"若者"について考える

■スタジオゲスト
 ▼明治大学准教授で経済学者の飯田泰之さん

 20130113iida

 


 ▼ライターの松谷創一郎さん

 20130113matsutani

 


■TELゲスト
 ▼結婚観・家族観の調査研究をしている、
  兵庫教育大学学校教育研究科助教・永田夏来さん

■「社説」読み比べ
  『統計学で解き明かす成人の日社説の変遷』の著者・
  後藤和智さん

 


★後藤和智さんの「成人の日・各紙の社説読み比べ」

※新聞社 「社説のタイトル」

●読売新聞 「堅実さと柔軟な発想求めたい」
 若い世代に「奮起」を促す内容で、成人の日の社説としては
 ここ20年来の伝統的なものと言える。ただ、この社説のように安直に「先進的な若者」を
 礼賛することは、むしろ「先進的でない若者」への批判を強めてしまう懸念がある。

●朝日新聞 「成人の日に―逆境をチャンスに変える」
 「ふくしま復興塾」の紹介。若い世代による「先進的」な取り組みを紹介するものでも、
 安直な礼賛ではなく、地域のつながりまで掘り下げて紹介したことは評価したい。
 ただ最後のほうで「拡大主義とは違った価値観」とまとめてしまうのは、
 「地域に根ざした取り組み」への評価として適切ではないだろう。

●毎日新聞「成人の日 「いいね」だけでいい?」
 若い世代にたいして「広い情報・視座に触れよ」という内容になっているが、
 それはメディア自身にこそ投げかけられるべき内容であり、
 成人の日の社説の「祝辞」的なものとして適切かどうか。和合亮一の誌が紹介されているが、
 むしろ、若い世代にとって身近な雇用の問題を扱った方がいい。

●産経新聞 「「仮免」の今は大いに学べ」
 「徒弟制度のあった過去とない現在」を比較して現在の20歳は
 「仮免」であると述べるものの、若い世代の就業について、どちらかと言えば
 悪い方向を採り上げて、「過去」を理想化するような議論は、
 本当に「社説」として行うべきものなのか、大いに疑問である。

●日本経済新聞「若者たちの「外向き志向」を生かそう」
 他紙がもっぱら「内向き」「さとり世代」と述べる中で、
 敢えて若い世代の「外向き」志向についてデータなどを交えて紹介し、
 安直な若者論を戒めている。このような社説は昨年の朝日新聞にも見られたが、
 成人の日こそ、メディアや社会の「若者」への視点を問い直すという試みは大いに評価したい。

●東京(中日)新聞 「カンタ!大人の歌を」
 お得意の映画(ないし文学)の紹介。特筆すべきものはない。

●東奥日報(2014年1月12日) 「未来を切り開く気概を」
 地方紙にありがちな「箴言」系の社説(採り上げられているのはやなせたかしと谷川俊太郎)で
 特に採り上げるべきところはない。

●岩手日報 「羽ばたこう「幸せ」世代」
 若い世代は「自分は幸せ」だという評価をしているとし、
 それを肯定的に紹介する内容。だが、このような世代論も、バッシング系の世代論の
 表裏一体でしかないことには注意を促しておきたい。今回見た社説で最も現在の
 「若者論の気分」を反映しているものかもしれない。

●神奈川新聞 「1票の重さ心に刻もう」
 選挙の重要性を若い世代に説くのは成人の日の社説としてここ20年来伝統的なもの。
 だが《例えば徴兵制が導入されるかもしれない。
 その時、あなたは戦争に行く覚悟はありますか?》という「脅し」的な文言が唐突に現れるのは
 政治不信を若い世代に押しつけたい欲望が透けて見える。

●神戸新聞 「挑戦を後押しする社会に」
 若い世代の「苦境」に理解を示し、「安定志向」を問題視するものの、全体として薄味。

●山陽新聞 「「さとり世代」の皆さんへ」
 「さとり世代」という、安直な世代論をもって若い世代の特徴を「説明」してしまうような
 議論はまず問題ではないか。《皆さんが育った時代背景を正しく理解することは、
 上の世代にとっても必要なことだ》というが、そもそもの世代論の枠組みそのものを
 問い直すような議論がほしい。

●西日本新聞 「閉塞感破れ「さとり世代」」
 岩手日報や山陽新聞と同じような世代論に基づく社説。山陽より問題点は薄いものの、
 途中に増税志向的な文言が見られるのは減点対象。若い世代を特殊化したあとに
 「時代を切り拓くのはやはり若者である」というのも「若者」幻想の投影でしかないだろう。

●琉球新報 「沖縄の未来 共に築こう」
 沖縄の雇用に関するデータや普天間飛行場問題など、地方紙としての問題意識に特化した、
 いい意味で地方紙らしい社説と言える。

★総評
 「成人の日の社説は当時の若者論の反映である」という考えは揺るがなかった。
 若い世代の「安定志向」を前提にした「緩やかな若者擁護論」的な傾向は昨年から続き、
 「さとり世代」という表現も見られた。しかし成人の日こそ、若者論という枠組みそのものに
 疑問を投げかけるようなものを期待したい。

 ※後藤さんのベスト社説「日本経済新聞」 ワースト社説「産経新聞」「毎日新聞」

★番組終了後に頂いた後藤さんのメール
 番組に関しまして私から最後にコメント申し上げますと、
 とりあえず現在の「若者論」がどのように変化したのか、そしてそれが社会のタームについて
 どのような影響を与えたか、ということについて、もっと研究がなされるべきだと思います。

 私も昨年上梓した『「あいつらは自分たちとは違う」という病』(日本図書センター)
 という本でそのあたりを概ね通時的に検討していますが、若い世代に向ける「視線」の
 傾向を理解した上で、やはりその不毛さについて社会学的な検討がもっとなされる
 べきでしょう。マーケティング故に正当化、擁護されるべきではない、と思っております。

荻上チキ、南部広美
radiko.jp

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