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プロフィール

菊地成孔(きくちなるよし)
●生年月日:1963年6月14日生
●出身地:千葉県銚子市
音楽家、文筆家、音楽講師。
85年にプロデビュー、ジャズを基本に音楽活動を展開。
現在は「デートコースペンタゴン・ロイヤルガーデン」、「菊地成孔とペペトルメント・アスカラール」、「菊地成孔ダブ・セクステット」で活動中。
文筆家としては「スペインの宇宙食」、「歌舞伎町のミッドナイトフットボール」、「ユングのサウンドトラック」など。

IPサイマル radiko

放送後記 第13回(2011年7月10日)  菊地成孔さん収録を終えて語る。

DSC02031.JPGのサムネール画像
いつも軽ーい感じでスタジオに現れ、軽妙洒脱にしゃべって、風の様に去ってゆく菊地さん。そんな菊地さんのシリアスな面が知りたくて、ついつい真面目な質問をぶつけてしまいました。


★一番菊地さんにはそぐわない質問かもしれませんが、菊地さんはご自分が「努力」されたという感覚はありますか?


締め切りに合わせて寝ずに頑張るとかね、そういうのを「努力」と言うのであればした事ありますけど。今言っているのは修行時代から一人前になるための努力ですよね?それはした事ないですね。


★たとえば先輩みたいな人から「お前もっと努力しろよ」とか「寝ずに練習しろよ」とか・・・


一回も言われた事ないです。ワタシの最初のボスは山下洋輔で、彼は絶対に怒らないんですよ。で、怒らない上にノーリクエストなんですよ。ワタシは山下洋輔のものすごい熱心なリスナーであり、読者で、もう愛国少年だったの、中学生の頃から。山下、筒井(康隆)が大好きで、本も全部読んでいましたし、レコードは全部のソロが暗記できるくらい聴いていたので、つまり大ファンですよね。山下筒井文化愛国少年みたいだったんですよ。それで山下組に入ったんで、なんていうか軽く頭がおかしくなる感覚ですよね。ちっちゃい頃から好きだった人のバンドに入ったわけなんで。で・・・カンが良かったのか、身についてたのか、要するにもう(演奏)できたんですよね。まあ、どっちかだと思うんですよ。ものすごくボスにアジャストメントしているか、全然ボスの事知らないか。

まあ、何事も流れというのはあるもので、今、自分もそういう形でやっています(メンバーを、自分の音楽を熟知している者から選ぶ)。山下洋輔という人が、メンバーにあれこれ指示を出したりしない人で、全部経験で、一緒にやる中で憶えてゆけ。というやり方である事も解ってましたし、実際に組に入るとその通りでした。反省会とか一回も経験した事ないですし、っていうかあれはジャズメンのすることじゃあないです。あんなのは野暮の極みです。ボスが子分を説教というのは。ダメな子分は黙ってクビにすりゃあいいんですから。まあ、堅気をやった事ないんで(笑)、堅気だったらありうるうるアレ(説教される)とかは経験したかも知れないですね。

ですからワタシは第一に強制される様な形で努力したということはまったくないです。ただ、熱狂っていうんですか、興奮してやりまくったとか、死ぬほど危険な目に遭ったとか、とてつもない病気したとか、周りにもの凄いのがいっぱいいたとか、努力っていうか、経験ですね。それは人一倍していると思うんですよね(笑)。だからそれが身になっていると思っています。しゃべるのも、演奏するのも、何するのも・・・ワタシは見苦しいほど貪欲で飲み食いから勉強からセックスまで、何でもものすごいやるんで、嫌々だけどこれをやらなきゃいけないっていうのはやった事ないですね。唇切れて血が出るほど練習する事も、倒れそうに成るまで演奏する事も、もう死んじゃおうかなというほど悩む事もありますが、みんな楽しくてしょうがないです。楽しい事しかしないですね。ワタシは良い歳してずっと遊んでるのと一緒ですよ。馬鹿みたいなもんです。


★好きな事に熱中しているうちに現在に至る・・・みたいな感じですか?


そうですね。それが仕事になったんで助かりましたね。有り難い限りですよ。神様に感謝しています。色んな雑誌から来るんですよ。「若い方に一言」みたいなのが。毎回同じ事を言っているんですが「ワタシなんかがエラそうに申し上げる事は何もありません」と。もっとちゃんと苦労されて、ちゃんと育てられた方が言うべきで、ワタシは毎晩興奮して遊んでいるうちに今日まで来ちゃったんで、何も言う事ないし、だからって、ワタシと同じ様に毎晩興奮して遊び狂いなさいとか言おうにも、今、街に活気がないんで、もう何も言えないっていう事で、ごめんなさいって言っていますね(笑)。


★バンドを組んで壊して組んで壊してみたいな事はご経験としてありますよね?


はい。


★組んだメンバーが自分が思っていたよりも水準が低くて「お前もっとがんばれよ。クビにするぞ」みたいな事を言った事はないんですか?


ああ、それはトンマのやることです。最初に雇用する段階でどの位使えて、伸びしろがどのくらいあるか完全に分かっていないとダメですね。ボスというのは。


★ああー


ワタシはその事には自信あります。こいつはこれくらい仕事出来て、このくらい伸びて、このくらい負荷かけたら、このくらいアセるけど、このくらいにして返してくるなっていうのは最初に解ってないと。逆に、何にも知らずに入れちゃったら実は天才で、スゲーっていう、ものすごい喜びもないかもしれないけど、まあそれは解らない。もう少しワタシがボケたら、そういう恩恵にあずかりたいと思ってます(笑)。


★こういう質問は嫌でしょうけれど、菊地さんなりの人の動かし方みたいなものはあるんですか?


年下と言わず、同じと言わず、上と言わず、ワタシが雇用した人の出来る事より、ほんのちょっとだけ上だったり、初めてやる事だったりを与える事ですね。皆アセる訳。だけど、絶対に出来そうもないヒドイ事をやらせるとみんな投げちゃいますから、出来るんだけど大変だっていうアップアップの所に設定してやらせるんですよ。そうすると皆、楽しいわ、いつもと違った事が出来て面白いわ、リーダーが喜ぶわで、いい事ずくしになるじゃないですか。それが何ワタシがいつの間にか身に付けたやり方ですね。いずれにしても最初に査定があります。査定って言うと、さも上からみたいな感じですが「こいつはこのぐらい出来る」っていうのは、プロだったら、お互いに解るという事です。向こうもワタシがリーダーとして、このぐらい出来る。というのは解っていると思います。


★話を戻しますが・・・とにかく菊地さんは若手を怒ったりもしなければ、説教もしないと。



説教はともかく一回もした事ないですね。その人の欠点をギャグにして笑ったりする事はありますけど(笑)。まあ、そんなの、皆で笑えるから言ってるんであってね。突っ込んで笑うというのは、今は嘲笑みたいな、嫌な攻撃的なのが多い世の中ですけど、ビートたけしの初期とかね、突っ込んで笑って、救うわけですね。道化というのは救済です。



★これを読んでいるかもしれない、部下とコミュニケーションをうまくとる事ができない中間管理職の人に一言お願いします。



いやー、ですから、業界が違いますからね。堅気は配属でしょ。どんな人が来るかわからないですからね。僕だってバンドのメンバーが配属制になったら説教するかもしれないですよ(笑)。


★なるほどね(笑)


自分で組む人は決めてるんで、決められる職業なので、何も(中間管理職の人に)参考になる発言はできませんとしか言えないですね。配属で人がやって来て、仕事をしなくてはいけないのは大変ですなあ、人ごとながら感心します(笑)。としか言いようがないですね。


★サラリーマンの悩みって、大体人間関係ですよね。


ああ。飲み屋でその話しか聞かないですよ。4歳ぐらいから44年間ぐらい聞き続けてますそれ(笑)。約半世紀(笑)。


★あいつぶっ殺してやるとかね(笑)。


そうそう。「言ってやったんすよ。<本当はお前何がしたいんだっておっしゃいますけど、あなたこそ何がしたいんですか?>って課長に」みたいな(笑)。必ず聞きますよ魚民で(笑)。いやあ大変ですよね。


★僕も言った事ありますよ。●●君は何がやりたくてラジオの世界に来たの?って。最悪ですよね(笑)。


まあ、バンドは楽ですよ。音楽がやりたくてウズウズしてる奴を引っ張ればいいんだから。


★本当にウズウズしていて、自分にフィットしている人を見つける眼力は菊地さん間違いがないと。



周到でもあります。(ダブセクステット)に類家(心平)君1人雇うのに3年位見ているから。一緒に3年位やって、絶対間違いないと思えないと入れないですね。だから「やりたいんです」って言われてよく聴いてないけど、デモテープ一本聴いていけそうだな、やってみるか。なんつって入れた事は一回もないです。だからリズム感からクセまで全部見て、一緒にやって、でよしできるなとなったら入れています。


★こいつよさそう。で、バンドに入れてみた。あれ?ゴメンね。っていうのはやった事がないと。


そうですね。


★類家さんを入れるのに3年見ているんですね。なんか菊地さんのイメージとは違いますね。


はい。速度がある方だと思われているので。



★思いますね。インスピレーションでポンポンメンバーを決めて選んで行くみたいな。



常に動いていますけど、いろんな準備している事があって、何年後に、それでやる時には絶対に始まったらもう、一直線にうまくいくっていう事しか考えていないで。だからそのためにずっと用意して動いてますね。「HOT HOUSE」なんて、構想から入れたら30年越しぐらいですよ(笑)。いつでもやりたい事がありますね。でも、すぐには出来ない事ばかりで。


★まあ、僕は絶対この人でラジオをやったら面白いはずって思って番組を成立させてみたら、意外に面白くなくてイライラするとかありましたけどね。


ははははは。そんな発言コワイじゃないですか!(笑)


★これはオフレコで(笑)


いやだから、ワタシがコワイじゃないですか(笑)。


★菊地さんの事じゃないですから(笑)。どうもありがとうございました。

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TBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』
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