【2023/04/30】中国を通して見る日本の自転車産業

*5月7日(日)午後1時からららぽーと豊洲で公開収録を行います。詳しくはこちら。
石井正則(七代目自転車名人)と疋田智がいろんな角度から自転車の魅力を発信するTBSラジオ「ミラクル・サイクル・ライフ」(毎週日曜日18時30分~19時) 今週の「ポイント オブ サイクルトーク」はこちら!
中国の自転車事情に詳しい慶応義塾大学経済学部教授の駒形哲哉さんに出演していただきました。
駒形さんは1965年のお生まれ。研究テーマは「中国の経済体制に関する研究」、そして、「日本における自転車の活用と自転車産業の今後の可能性を探る研究」。今年2023年2月には「現代日本の自転車産業と社会」という著書を出されています。
まず、中国の自転車事情について。中国は建国以降、計画経済や市場経済を進めてきましたが、とにかく人が多く、公共交通手段の整備が追い付かなかったそうです。そんな中、都市交通の重要な役割を担ったのが自転車。そのため、広い道ではきちんとした自転車専用レーンが確保され、エリアによっては自動車より自転車用レーンのほうが広いこともあるほど。主な使われ方は移動・運搬の手段で、マイカーが普及した今も自転車が大活躍。日本のように邪魔者扱いされることはないそうで、各行政が自転車を必要な交通手段と位置付けているそうです。また、ITを使って公共交通手段を効率的に結び付ける「MaaS」がすでに進んでいると駒形さんは語ります。
そして、中国の自転車事情と聞いて思い浮かぶのが、当番組でも何度か取り上げたことのある、短期間で爆発的に増加したシェアサイクル。わずか2年ほどで、ほぼゼロから一千数百万台に拡大したと駒形さんは解説します。 そのシェアサイクルについて、トリビア的なお話も聞かせてくださいました。一気に普及した2017~18年頃、中国のシェアサイクル用自転車の4割ほどが日本の老舗中小メーカー「唐沢製作所」のブレーキを取り付けていたそうです。もちろん日本からの輸出ではなく中国工場の製品。今や中国ではちょっと知られた企業で、日本でそれほど知名度の高くないメーカーが中国ではシェアでシマノを圧倒している事実に駒形さんも興味をもたれたと語ります。
さらに、中国の自転車政策で日本も取り入れたほうがいいと思うことについては、「中国の状況、経験から思うのは、やはり自転車の走行環境を改善することが重要性だと感じる。ヘルメットを努力義務にすることもいいが、自転車だけでなく歩行者にも自動車にも安全であるためには、道を、人と車が分け合うのではなく、人と自転車と車とが分け合うという発想から、道路整備を行うことだと思う。広い車道、広い歩道がある道でもこれがまだまだ十分実現しているとはいえない。地方自治体のトップの方たちが自転車の価値をきちんと認識して、調整を図ることが重要だと思います」と語ってくださいました。
そのほか駒形さんのサイクルライフについても! 電動アシスト自転車ユーザーへの熱き思いを聞かせてくださいました。詳しくは音声でお楽しみください。
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