VOL.101 歯周病

2022/3/5 放送 |
Q,
歯周病は、虫歯とは違う事は今までお聞きして理解して来ました。歯周病菌という悪い菌が存在することもわかりました。この歯周病菌をそのままにしておくと、どうなってしまうのですか? お口の中が菌だらけになってしまうとどうなるのでしょう?
神奈川県 ラジオネーム:ツバキさんからの質問

お答え頂いた専門家

サンスター財団 金田博夫研究助成基金※ 2015年度受給者
九州大学大学院歯学研究院 助教
専門:口腔機能修復学と歯周病
新城尊徳(しんじょう・たかのり) 先生
A,歯まず歯周病について、おさらいしておきましょう。
歯周病とは、歯肉つまり歯グキが赤く腫れたり、歯が動揺したり、抜け落ちたりする病気です。
これは細菌感染によるもので、その中の悪い菌が歯周病菌というものです。
歯周病菌は、歯と歯グキ(歯肉)の隙間、歯肉溝というミゾから歯グキの中へ侵入していきます。
この溝は「歯周ポケット」とも呼ばれ、通常ですと、深さは3mm程度と言われています。
ところがここに歯の磨き残しによってプラークがたまり、プラーク中の細菌が増えることによって歯グキが炎症を起こします。そうすると、歯周ポケットの底の歯グキが破壊されていき、さらにポケットが深くなっていく。この深くなった歯周ポケットは歯周病菌の温床ともいうべき状態になり、
さらにどんどん悪化していく。・・・そんな仕組みになっています。

歯周病の診断には、この歯周ポケットの深さの測定や、測定するときに出血する部位の割合、レントゲン写真などを用いて、総合的にどの程度進行しているのかを診ていきます。
歯周ポケットが4~5mmであれば初期の歯周病、6mm以上は進行した状態の歯周病とみなします。さらにこれよりも深い場合は、最悪、抜歯をしなければならないこともあります。
深くなった歯周ポケットですが、歯科医院で適切に処置を受ければある程度回復することは可能です。基本的に、歯磨きやデンタルフロスなどしっかりとしたセルフケアを行うことで、ある程度のプラークは取れますが、歯石がこびりついていたり、4mm以上のポケットの内部にあるプラークになると、歯科医院で処理してもらう必要があります。もっとも、このポケットの深さですが、なかなか自分では測れるものではないので、やはり、歯医者さんでチェックしてもらうことをお勧めします。
歯周ポケットの内部は外気に触れにくく、酸素が少ない状態と言われています。歯周病菌は低酸素状態を好むので増える一方となります。歯周病菌が増えると歯グキ(歯肉)に炎症が起き、ポケットが深くなり、さらにプラークが蓄積していきます。
つまり、歯周病菌がさらなる歯周病菌を増殖させてしまう・・・といっても過言ではありません。
関連情報を知りたい方は下記URLも参照してください
https://www.club-sunstar.jp/article/column/oral/2168/
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