3月18日から運賃改定!上がるもの、下がるもの、整理した

森本毅郎・スタンバイ!

この時期は、鉄道のダイヤ改正のタイミングですが、様々なものが値上げされている中、鉄道運賃も値上げされます。

ただ、ちょっと複雑でわかりづらいので、何が、どう変わるのか、取材しました。

 

■春のダイヤ改正で「バリアフリー料金」が加算

まずは、JR東日本など鉄道16社が新しく導入する、「バリアフリー料金」について。

乗り換え検索サービス「駅すぱあと」の、鈴木 省吾さんに伺いました。

「駅すぱあと」 鈴木 省吾さん

まず、3月18日から「バリアフリー料金」という加算がかかります。

2021年12月に、国の方でそういった制度が創設されまして、駅のホームドアですとか、エレベーターですとか、車椅子用のスロープですとか、そういったバリアフリーに関する整備を促進するために、乗客から料金を負担してもらうというような制度になっています。

これまでは、普通の運賃の中から、鉄道事業者の方で整備費用を出していたという形になりますけれども、春のダイヤ改正・運賃改定のタイミングで、多くの事業者が導入を始めた。

普通運賃ですと、おおむね「10円値上げ」。距離に関わらず10円加算となります。

<「バリアフリー料金」についてのパンフレットは、駅構内で配布されています(左:JR東日本、右:東京メトロ)>

「鉄道駅バリアフリー料金制度」は、国が、ホームドアなどのバリアフリーの整備費用を、運賃に上乗せしてもいいよ、という制度を作り、この春から多くの鉄道会社で、運賃にプラス10円、加算されます。

▼JR東日本の初乗り運賃は、現行「140円」→3月18日以降「150円」
▼東京メトロの初乗り運賃は、現行「170円」→3月18日以降「180円」

ほかにも、小田急電鉄や東武鉄道、西武鉄道などが、首都圏では導入予定ということです。

でも、一回、10円ずつ集めて、総額いくらになるのか。JR東日本は年間230億円、東京メトロは109億円、小田急は47億円の徴収になると見込んでいます。

こちらは「いい値上げ」と言えるでしょう。ホームでの転落事故も後を絶たない中、ホームドアや段差解消など、今後バリアフリー化がどれだけ進んでいくか、注目したいところです。

 

■JR東日本の定期券は「1・4%値上げ」。一方、価格の安い「オフピーク定期券」が新登場

さらに、もう一つ、大きく値上げが予定されているのが、JR東日本の「定期券」。

こちらはどう変わるのか。再び、「駅すぱあと」の鈴木さんに伺いました。

「駅すぱあと」 鈴木 省吾さん

JR東日本の運賃改定ということですと、今までの定期の金額から、「1・4%の値上げ」になります。

例えばですね、「新宿駅」から中央線の「立川駅」まで。こちらの定期ですと、現在6ヶ月定期で6万7980円。値上げ後は7万350円。6ヶ月定期でこの区間ですと、約2400円程度、値上げになります。

ただですね、今回新しく導入される「オフピーク定期券」というものがあるんですが、朝のラッシュ時間のピーク時間帯には利用できないが、その代わりに、通常の定期券よりも安く購入ができるという定期券。

混雑が一番激しい時間帯を避けてもらいたいというのはあるんですが、オフピーク定期で減収になる部分を、通常の定期券で増額する。そういう形で、今回の値上げが考えられているということになっています。

定期券は、3月18日分から上がるものと、下がるものがあって、利用する時間帯によって2通りの買い方があるので注意です。(対象は、JR東日本の「通勤」定期券(スイカ、モバイルスイカ)で、「通学」定期券は対象外となります)

 

▼JR東日本:3月18日以降、値段が上がるもの

時間帯関係なく使える普通の「定期券」は、現行よりも1・4%高くなります。

対象は、山手線や京浜東北線、中央線など東京、埼玉、千葉、神奈川、茨城の一部の駅を通る、16路線の279駅。このエリアの定期券が、バリアフリー料金とは別枠で値上がりします。

 

▼JR東日本:3月18日以降、値段が下がるもの

今より値段が安くなる、「オフピーク定期券」が新しく発売されます。

ピーク時間帯に使えないかわりに、価格を安く設定した定期券。利用駅によって時間帯が変わります。例えば新宿駅なら午前7時30分~9時。渋谷駅は7時20分~8時50分、大宮駅は6時45分~8時15分。すべて朝の1時間半。この時間には電車に乗らない方は(極端に出社が早い人や、遅い人)、いまより、およそ10%、割安。

ただし、9時出社とか、ピーク時間に出勤する人は関係ないので、単純な値上げになる人も多そうです。

<JR東日本の通常の定期券は、3月18日から「オフピーク定期券」が始まります>

 

■朝のラッシュ時の列車を減らしてコスト削減したい

今回の一連の値上げについては、JR東日本は、消費税の増税を除けば、1987年の国鉄民営化以来の値上げ。東京メトロは1995年以来(28年ぶり)と、相当、久しぶりの改革となっています。

どうして、いま値上げなのか。鉄道会社の事情について、ウェブサイトの「乗りものニュース」の編集長、中島 洋平さんに伺いました。

「乗りものニュース」編集長 中島 洋平さん

鉄道の輸送量っていうのは、全てピークを捌くために設備投資をしていると言っても過言ではないんですね。

ピーク時間帯に合わせて車両数を整えてきたという経緯があるので、じゃあこれが、ピーク時間帯が空きました、分散されました、乗客が平均化されましたということになると、そんなに列車いらないじゃないか、そんなに車両数多くなくてもいいじゃないかという話になって、結局はやっぱり、コスト削減に繋がる。

で、ピーク時間帯、7時台、8時台の列車を減らします、という動きも出てきました。

ずっと変わってない運賃ではもう限界が来てるよねと。一気に改めていこうという意思の表れなのかなという風には思います。

ただの値上げでは足りなくて、朝の通勤ラッシュにかかるコストを下げないとやっていけないようですが、利用者側からすれば、社会のインフラなんだからそんなこといわないでくれ、といいたいところです。

オフピークなど利用できない立場からすると、結局値上げになってしまうわけですが、少しでも節約する方法としては、18日からの値上がり前、「17日」まで定期を購入すれば安いので、いまある定期の残り日数と見比べながら検討をしてください、ということでした。

といっても、この節約術が使えるのは今回だけ…次回に買うときはどうしても値上げに直面します。そうなると。オフピーク定期券、となりますが・・・これが使える時間に出勤できる人がどれだけいるのか?企業の働き方も変わっていかないと難しい状況です。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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