VOL99. 歯の矯正治療

ちょっと気になる健康のはなし
2022/2/19 放送

Q,   
高校生の娘が歯並びが悪く、矯正を考えています。かなり費用も掛かりそうなので失敗しないためにどうすればいいのか知りたいです。

最近はマウスピースでやるのが安いと聞きましたが、どうなんでしょうか。

 

埼玉県 ラジオネーム:ミンホさんからの質問
 


お答え頂いた専門家

サンスター財団 金田博夫研究助成基金※ 2011年度受給者

東京医科歯科大学 准教授

専門:歯周病学
片桐さやか(かたぎりさやか) 先生

 

A,歯並びが悪いことを不正咬合といいます。上の前歯が前に出過ぎていたり、上と下の歯が反対の嚙み合わせになっていたり、八重歯のように歯が重なり合っていたり…。その結果、食べ物がよく噛めなかったり、しゃべる時に発音がうまく出来なかったり…そして何より見た目にも影響を与えます。

例えば、食べ物がうまく噛めないと胃腸などに負担がかかります。顎の関節や筋肉にも悪影響を与えます。そして、ハミガキがうまく出来ず、虫歯や歯周病の要因にもなります。

娘さんは高校生ということですが、これから受験もあるかも知れません。良い歯並びにすることで、集中力が増し、学力が向上するという研究結果も出ています。また、成人や高齢者のかたも、良い噛み合わせが出来れば老化予防になるともいわれています。

歯の矯正は、まず、原則として自由診療であるため、ある程度費用がかかります。方法としては、

「ワイヤー」か「マウスピース」です。「セラミック矯正」という名称で、形の悪い歯を削り、被せ物でカモフラージュする施術を行っている所もありますが、長期的にはデメリットが多く、安易に行うのは考えものです。

もっともポピュラーなワイヤーによる矯正は、力を加えて歯を動かすわけですが、取り外しは出来ません。器具に食べカスなどが詰まることもあり、丁寧なハミガキをする必要があります。また、見た目が気になるというデメリットもありますが、歯の裏側にワイヤーを装着する方法もあります。

そして2つ目がマウスピースによるものです。透明に近い装置を毎日自分で装着して、目立つことなく歯並びを矯正するのですが、マウスピースは取り外し可能なので、歯磨きが簡単で目立たないというメリットがある一方、歯を根っこの方まで正しい位置に動かすことが難しいため、抜歯を伴うものには向かない、適応症例が限られることや、毎日22時間以上装着しないと期待した効果が

得られないというデメリットがあります。

マウスピースで治せる状態なのか、ワイヤーでなければ駄目なのか、あるいは併用することで効果があるのか・・・は、患者さんの歯の状態によりますので、安いからとか、スピーディーだからとかを優先にせず、矯正の専門知識を持つ歯科医と相談して方法を選んで欲しいと思います。

 

 

関連情報を知りたい方は下記URLも参照してください

https://www.club-sunstar.jp/article/column/oral/3254/


 

ツイート
LINEで送る
シェア
ブクマ