VOL.97 八重歯

ちょっと気になる健康のはなし
2022/2/5 放送

Q,   
八重歯は、抜いた方が良いですか、それとも、何も支障がないなら、そのままにしておいてよいですか。

福岡県 ラジオネーム:トシさんからの質問
 


お答え頂いた専門家

サンスター財団 金田博夫研究助成基金※ 2011年度受給者

東京医科歯科大学 准教授

専門:歯周病学
片桐さやか(かたぎりさやか) 先生

 

A,そもそも八重歯とは、歯が八重桜の花びらのように重なっているので、そう呼ばれるようになったといわれています。ですが…八重歯とは、不正咬合(ふせいこうごう)、つまり、歯並びや噛み合わせが正常ではない状態の一例なんですね。1本だけが歯列から飛び出して、ほかの歯と重なってしまう…。糸切り歯である犬歯にこの状態が多くみられますが、これは歯の生えてくる順番が、隣の第一小臼歯より遅い傾向があるため、八重歯になりやすいということです。

個人差はありますが、八重歯になってしまう一番の原因は、あごの大きさと歯の大きさのアンバランスです。歯の大きさに比べて歯が生えるスペースが狭いと永久歯が正しく並べなくなり、後から生えてくる歯の行き場がなくなってしまって歯並びの外側に生えてきます。一説に、現代人は昔の人に比べると柔らかいもの中心の食生活になってきたために、あごの発達がうまくいかず、あごが小さくなってきていると言われています。

抜くべきか、あるいはそのままで良いのかということですが、八重歯がどのような形で生えているかによります。まず、歯が重なっているということは、ハミガキなどのお手入れがうまく出来ず、虫歯や歯周病の原因となります。嚙み合わせが悪いわけですから、いま支障がなくても、他の歯に負担をかけるなど、将来的に何らかのデメリットが出てくると思います。

抜かずに矯正して治せる場合もありますが、抜歯を伴う矯正をし、正しい歯列を取り戻すケースが多いです。

また、犬歯が八重歯の場合、犬歯は歯根が長く、強靭な歯なので、なるべく残したい歯でもあります。そのため、一般的には犬歯ではなく、第一小臼歯や第2小臼歯を抜いて矯正する方法をとっています。

矯正治療は、永久歯が生え揃った中学生頃から出来ますが、年齢を重ねてからやる方も多くいらっしゃいます。治療の時期、方法など、八重歯のあるかたは、是非一度、かかりつけの歯医者さんに相談するとよろしいかと思います。

 

関連情報を知りたい方は下記URLも参照してください

https://www.club-sunstar.jp/article/column/oral/785/


 

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