スマホ見過ぎによるストレートネック あなたは大丈夫?

「ストレートネック」「スマホ首」と呼ばれる症状についてです。同じ姿勢でスマホを覗くことで身体に負担がかかり、頭・首が前に出てしまうことを「ストレートネック」とか「スマホ首」と言いますが、肩こりや頭痛、しびれの原因になります。
■ストレートネック 首の付け根の筋肉が悪さ
今回、金沢大学などの研究で、新たなことが分かりました。どのような研究で何が分かったのか、金沢大学理工研究域フロンティア工学系の西川裕一助教のお話です。
金沢大学理工研究域フロンティア工学系 西川裕一助教
今回はですね、ストレートネックと呼ばれるいわゆる首・頭が前に出た状態の人と、頭の位置が正常な人っていう2つのグループを作って、首の付け根の筋肉の活動と実際に感じる疲労の強さというその2つのポイントに視点を置いて計測をしました。その結果、ストレートネックと言われる首が前に出ている人の方が疲労しやすいとか、筋肉が過剰に働いているって言うことが分かったという研究になります。ストレートネックとひとことで言っても、「首前」の筋肉に負担がかかっていることはわかっていたが、具体的になにが問題なのかわかっていなかった。今回「首の付け根の筋肉」が悪さしているということがわかりました。
今回の研究で、ストレートネックになっている人は首の付け根の筋肉「僧帽筋」が活動異常を起こすことで疲れを感じやすくなっているということが明らかになりました。しかも、今回の研究は枕を使って身体に負担をかけない状態で検査をしているので、身体に負担がかからない状態ではかっているのに筋肉は異常な活動を続けていた、つまり、自分は「楽な姿勢」だと思っているのに、筋肉は楽な姿勢だと感じていないということが分かったんです。
■あなたもストレートネック予備軍!?
さらに今回の研究結果、もう1つ大きなポイントがあります。再び西川助教のお話です。
金沢大学理工研究域フロンティア工学系 西川裕一助教
この研究の大きなポイントとして、ストレートネックの人を対象にはしているんですが、今回ストレートネックと言っても症状がほとんどない人たちを対象にしていたので痛みとか疲労感とか痺れとかそういうのを日常的にはほとんど感じていない、非常に軽症の人を対象にしてもそれでもかなり差が出たので、本当はあまり差が出ないんじゃないかなって個人的には思ってたんですけどかなり予想外の結果ではありました。
実は今回の研究は、肩こりや頭痛などの症状がまだ出ていない人が対象になっていました。それなのに、予想以上に筋肉の異常活動が起きていて、ストレートネックではない人との差がかなりありました。つまり、いつストレートネックの症状が出てもおかしくない「予備軍」がかなりの数いるのではないかということです。今回の研究結果は国際学術誌に掲載されていますので、これから世界的にストレートネックの対策がまとめられていくはずです。まさに、スマホが欠かせない現代ならではの問題なんですが、もうひとつ、今気をつけないといけないのは、スマホだけではないんです。リモートワークやオンライン授業ではパソコンも必須。パソコンのディスプレイを見過ぎて長時間同じ姿勢が続くことで、腕や手の痺れ、目の疲れなどの症状が出てきます。
■スマホやパソコンによる身体の不調 対策は

デジタル端末が欠かせないこの時代、私たちはいったいどう防げばいいのか。対策を調べてみると、現役の救急医、医師のみなさんが集まって、論文ではなく、誰にでもわかるようにイラストで対策を発信している団体があります。イラストを見てみると例えば「適度に休憩する」「肩を回したりストレッチをする」などはみなさんもイメージしやすいと思います。ほかにも、より具体的な対策があったのでお話を聞きました。「Smart119」のマーケティング責任者・中村一志さんのお話です。
「Smart119」マーケティング責任者 中村一志さん
パソコンの場合はモニターが結構上の方に置いている方が多いんですけど、やや視線を下向きになるように配置してもらって、あとは環境なんですけど、エアコンとかが直接目に当たらないようにするっていうのが対策になります。やっぱり若い方だと集中して長時間同じ作業をしてしまうのでなりやすい、ご年配の方だと1時間ごとに10分とか15分とか休憩しようという方が多いので、もしかしたら若い方の方が多かったりするのかなと思います。
モニターの位置は視線を下向きになるように配置する。これが非常に大事です。それと、エアコンの風が直接顔に当たらないようにする。そうしないと目の疲れ、身体の乾燥につながってきます。今日からぜひ意識してみてほしいと思います。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)