日本初のスゴイ包丁ってどんな包丁?

森本毅郎 スタンバイ!

実は最近、クラウドファンディングで販売されるや、一日で1200本が完売した、という包丁があるんです。その包丁は、日本で初めて商品化された、「超硬合金」の包丁。「超硬合金」というのは、炭化タングステンとニッケルとかコバルトを焼き固めた素材で、ダイヤモンドに次ぐ硬さがある、というもので、機械刃物や金型などの工業用機械に使われている素材です。

 

■玉ねぎ切っても涙が出ない包丁!?

その「超硬合金」を初めて包丁に使って作ったのが、刃渡り18・2ミリの三徳包丁「KISEKI:(キセキ)」。どんな包丁なのか、開発した岐阜県関市の福田刃物工業の福田克則社長に聞きました。

岐阜県関市 福田刃物工業・福田克則社長

●「包丁の厚みですね、刃の、1・2ミリなんですよ。で、通常のステンレスの包丁は3ミリくらいです、だいたい。なので薄いんですよね。結果的に重さが140グラムということで、軽くなるんですね。ちょっともろいというか、大丈夫かなと思う方もいるかもしれませんけれども、超硬(合金)はすごく硬いので、逆に硬いもので、薄いもので、軽い、というと、すごく使いやすいんですよ。「美味しく切れる」というのが今回のコンセプトで、どうしても包丁で切ってしまうと繊維が壊れますよね。それを極力抑えるというか、断面とかが、すごく、素人でも分かるくらい綺麗なんですね。それで、苦みとかそういうのを出さないというかですね。結果的に美味しくなるというか、美味しく切れる、というか。よく聞かれるのが、玉ねぎどうですか、って聞かれるんですけど、玉ねぎを切ると涙が出る人っていますよね。それもテストしたんですけど、出ないですね。やっぱり繊維を潰してないので。」

硬くて、薄くて、軽いから、使いやすい!一般的な三徳包丁で、140グラムは軽いですよね!しかも、切れ味も抜群!食べ物の繊維を壊すことなく、スパっと切れる。だから美味しく切れるのだそう。第三者機関の調査でも、食材の甘みやうまみを保ち、苦みを抑える、という結果が出ています!繊維が潰されないので、涙を流さずに玉ねぎも切れるほど!

また、超硬合金は錆びないし、合金なので金属臭もない。さらに、プロの料理人2人に、
半年使ってもらった所、半年間一度も研がずとも切れ味が全く変わらないという特徴も!

 

■職人ではなく、エンジニア

さらにもう一つ、その作り方にも特徴がありました。再び福田社長のお話です。

岐阜県関市 福田刃物工業・福田克則社長

●「すべて機械で出来るようにしている、というところも違うと思いますね。我々としては、ちょっと言い方難しいんですけれども、職人ということではなくて、やっぱりエンジニアというか、すべての品質を安定させると言いますか、やはりバラつきがあってはマズイので。刃物も楽器とか一緒で、クセがあると思うんですね、その作り手の、一つ一つ。道具というものはあるんですけど、今回のキセキはそういうことがないように、機械刃物で培ったその技術っていうのはやはり、最終的に精密機械で刃付けをしていくので、どれを買っても、誰が買っても一緒だ、ということで、それも売りにしてますね。」

職人ではなくエンジニア、というのも、今回の包丁は、超硬合金を、1000分の1ミリの精度で加工できるワイヤーカットという機械で、10時間かけて切り出し、ダイヤモンド砥石を使って専用機で刃付けをしていくのですから、まさにエンジニア!

そして、だからこそ、どれを買っても同じ品質に。福田刃物は、創業以来社内一貫生産にこだわっており、すべて自社で作っている。関市の刃物メーカーでは、プレス、切断、熱処理、刃付け、と分業が一般的ですが、これは、人手不足などで生産が止まってしまわないように、ということも考えてのこと。品質の安定もですが、職人不足などの話が多い昨今、途切れることなく、作り続けることにもつながりますね。

 

■創業100年超の高度な技術

しかし、機械で作るからカンタンなわけでは、もちろんありませんでした。

岐阜県関市 福田刃物工業・福田克則社長

●「そもそも、ウチが超硬合金を使った製品・商品を、もう100年くらい作ってたので、包丁にも使えないかな、っていう発想から始まったんですけれども、工業用やってなかったら、超硬合金は扱うことできなかったと思いますんで。やっぱり扱いは難しいんですけども、超硬合金っていうのは。その扱いを間違えるとすぐ欠けてしまう、という。なんですけど、切れ味が一番いい、というのは間違いないんですよ、きちっとやれば。やはりかなり加工が難しいので、我々も実は100年も歴史がある割には、想像以上に苦労しましたね。お札を切ったりする断裁包丁はだいたい平均で160センチくらいなので、ずいぶん小さいものになりましたけれど、でもやはり、工業用刃物で培った、その精密な加工技術っていうのは、ふんだんに取り入れてると思います。」

福田刃物工業は、1896年創業の老舗刃物メーカー。創業から25年間はポケットナイフを作っていましたが、その後、機械刃物の専門メーカーに。以来、100年、お札や雑誌を切る断裁包丁や、ペットボトルなどを粉砕する機械、金属を削るようなドリルなどの工作機械の刃物を作っていたのですが、今回100年ぶりに家庭用の商品として、包丁の開発に取り組みました。プロジェクトチームを組んでの開発で、二年かかってここまで漕ぎつけました。

切るのが一番難しい、と言われる紙を切る断裁包丁を100年作ってきて、もっと切れ味が良いように、もっと欠けにくく、と研究し続けてきた歴史が、今回のキセキの包丁を生んだ、ということです!

「KISEKI:」の発売は来年の3月の予定、お値段は34650円。

詳しくは、「KISEKI:」専用ホームページ(https://kiseki-products.jp/)から。


(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)

ツイート
LINEで送る
シェア
ブクマ