「卒業アルバム」の働き方改革

森本毅郎 スタンバイ!

学校現場で、この時期から本格化するのが「卒業アルバム」の制作です。

 

■卒業アルバム、納得の出来映え? 

個人の写真だけでなく、運動会や文化祭、就学旅行など、学校行事の思い出の写真が載った卒業アルバムですが、街で聞いてみると、撮られる側にも不満があるようです。まずは皆さん、納得のいく出来栄えだったのか、街の若い方に伺いました。

 

10代の方

(女性)写りが悪いものばかり厳選されているのが、ちょっと納得いかないなと思ってました。転んでる姿とか。借り物競争ですかね。たぶん先生とかカメラマンさんが、美味しい瞬間だと思って選んでると思うんですけど、私からすると忘れたい瞬間。恨んでますね…。

(男性)自分、結構目立ちたがりでして小学校の頃に。遠足とか、カメラマンの前とかでピースとかしたんすけど、卒アルに全然採用されないっていう悲しい過去がありましたね。親に「全然いないね」みたいに言われて、あんだけピースしたのに、みたいな…。

(女性)中3の集合写真みたいなやつで、全員で校庭で撮るんですけど、ちょうど折れ目。ちょうど真ん中ぐらいに自分がいて、折れてました。ちょうど顔みたいな。すごいショック受けました。

今回、10代の方たちに小学校、中学校の卒業アルバムについて聞いたのですが、思い出に残るものなので、皆さん写真写りは気になるようです。学校によってやり方は異なるようですが、だいたいは、先生と写真館、保護者で作る「卒アル委員会」のメンバーで、どの写真を載せるか選定し、レイアウトを考えていくようですが、「恨んでます」と言われると、責任重大です。特に、2人目の男性のように、「自分がなかなか写っていない」という方も結構いて、目立つ子が何度も写っていたり、特定の子がまったく写っていないということは、回避したいところです。

 

■写真選びをAIにお任せ

そんな中、写真選びが大変な卒業アルバムの制作を助けてくれる、あるサービスが登場し、学校現場で注目されているんです。株式会社エグゼックの取締役、山中 淑史さんのお話です。

 

株式会社エグゼック・取締役 山中 淑史さん

生徒さんが何回登場しているのかというのを、AIがカウントしてくれる機能になります。登場回数が極端に少ない子がいた場合に、スナップ写真の中から、特定の生徒さんの写真を、自動的に抽出してくれるという機能もありますので、今まで膨大な写真の束の中から目視で選ばなきゃいけなかったところをですね、AIが一瞬で集めてくれる。それから今年、新しく開発をした機能になるんですけれども、卒業アルバムによく使われる写真をですね、AIが、おすすめの写真として抽出してくれる。例えばリレーでしたら、やはりバトンを持って走ってるシーンでしたり、修学旅行行った時、神社仏閣の前で写ってるグループ写真。これで皆が笑顔で写ってるとか、ピースをしてるとか。そういった特徴を判断して、おすすめしてくれる。

「アルバムスクラム」候補写真セレクトの画面。子供たちの顔の横には、その子の写真が何枚使われたか、数字で表示されています。特定の子の顔をクリックすると、スナップの中から登場写真が抽出されます
顔のカウントだけでなく、卒アルに最適な写真をおすすめしてくれる機能も、今年から実装されました 

「アルバムスクラム」という、卒業アルバムの制作を支援するサービスで、AI(人口知能)が、誰がどこに写っているか検知して教えてくれます。例えば、修学旅行のカテゴリーだけで数百枚ある候補写真から、「おすすめ」ボタンを押すと、顔がわかるもの、かつ前を向いているものを選んでくれます。しかも、顔の識別もしてくれるので、「Aさん0回」「Bくん8回」など登場回数に偏りがあった場合、Aさんを選択すると、その子が写っている写真を自動的に検出。その写真を候補に入れると、「Aさん1回」とカウントが更新されて、平等性が担保できるようになっています。料金は、アップロードする候補写真1枚当たり0・5円、子供1人当たり300円の基本料金。これが、1冊数千円のアルバム代に追加されますが、3年目の今年、全国およそ800校にまで広がっているということです。

 

■卒業アルバムの「働き方改革」

やはり、「制作時間を大幅に短縮できる」ところが喜ばれているようですが、実際にこのサービスを導入した、千葉県柏市の「手賀西(てがにし)小学校」の教員、東條 正興さんに、4年前の6年生の担任をしていた時、どれぐらい大変だったか?卒業アルバムシーズンの動きを、振り返っていただきました。

 

柏市立手賀西小学校・教員 東條 正興さん

例えば「石川太郎さん」という人がいたら、石川太郎さんが何回写ってるかを正の字で全部数えるわけです。今度は、正の字で全員分チェックし終わった後、また写真を差し替えるわけですね。例えば「1050番の写真をやめて、1122番の写真にしよう」なんて差し替える。差し替えるとまた正の字が全部変わるわけですね。もうとにかくそれの繰り返しです。卒業アルバムの写真選定はですね、12月末までなんですね、それが納期なので、そこまでに写真屋さんにあげなければなりません。当然秋っていうのは、運動会からスタートして、文化祭があるわけです。さらに言うと、学期末って何があるかっていうと通知表っていうのがあって、さらに卒業文集の原稿チェックを、同時進行でやる。それにプラスして卒業アルバムをやらなきゃいけない、こんなに負担なことはなかった。酷い時は、土日を使ってやったりするような年もあったりとかですね。

柏市立手賀西小学校・教員 東條 正興さんにお聞きしました

色々やることがある中で、当然、普段の授業がメインです。このシステムを入れてからは、作業時間が半分に短縮。かつては、学校のサーバーに保管されている、1年生~6年生の間の写真、3000枚の中から目視で選んでいたそうですが、負担が激減したそうです。さらに、こちらの学校では、他の分野でもデジタル化を進めて、とくに激務だった教務主任兼6年生の担任の時間外労働(残業時間)は、3年前に比べて、年間606時間も減ったそうです。卒業アルバムの制作も、大きな業務改善の一つ。教員の働き方改革にも繋がる動きと言えそうです。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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