福利厚生は「筋肉」で採用急増?

森本毅郎・スタンバイ!

今日は「筋肉採用」がブームというお話。

コロナで運動不足にならないよう、筋トレをする人が増えているそうですが、そうした中、今、「筋肉」に注目して福利厚生を充実、採用活動する会社が話題になっています。

 

■筋肉自慢モトム「マッスル採用」

まずは、9月から「マッスル採用」を始めた、橋の設計・工事・管理を行う建設会社、ジュントスの朝稲啓太社長に伺いました。

 

ジュントス 代表取締役 朝稲 啓太さん

今「マッスル採用」っていうのを行ってます。

我々の会社の中には設計する部隊、実際に橋を作るもの作りをしている部隊があるんですけども、マッスル採用で言ってるのは工事現場で働く職種の人たちを対象にしてるんですけども、元々の発端は従業員の、設計であったり、工事する人たちっていうのは、設計にする人たちは長時間、長い机に座ると体調が悪くなったりとか、体なまってくると。

工事の方々は体をやっぱ使っていくので、日頃から鍛錬しないと。

共通項、何かなと思ったときに、やっぱり健康維持ってのは非常に重要だと。

その一環で従業員の方々も福利厚生の一環でジムに通えたりマッサージしたりっていうのをやり始めたんですけども、この福利厚生の仕組みっていうのは採用のときにも打ち出せるポイントになるんじゃないかと。

マッスル採用という打ち出し方をして始めました。

ジュントスの社員募集ポスター

ポスターには「求むマッチョ、やってみないか現場」というコピーと共にムキムキの肉体の写真があります。

筋トレを頑張りたい、ボディービルなどの大会で頑張りたい人を採用、応援する取り組みです。

また、募集要項の待遇欄には、休日として「土日」の他「ボディービルの大会のある日」。賞与については、「夏・冬」に加えて「ボディービル優勝時」などとなっていて、優勝すればボーナスが出ます。

元々は、「社員の健康診断の結果が悪い!」と危機感を持った社長が、まず社員の福利厚生として、ジムとマッサージの利用サービスを始めて、それが発展して、この9月、「マッスル枠」での採用の募集を始めたそうです。

建設の現場は人手不足ですが、小さな会社なので、採用の宣伝にほとんどお金をかけられません。

こうした事情もあって、これまで採用募集しても応募ゼロだったのが、「マッスル枠」というアイデアを出し、提携するジムにポスターを貼ったりしたら応募が数件入り、今、面談が進行中とうことでした。

 

■マッチョ×介護士

この筋肉採用。さらに発展して実業団まで作って、すでに採用につながっている会社もありました。

障害者の介護福祉を行う株式会社ビジョナリーの代表、丹羽悠介さんのお話。

 

株式会社ビジョナリー 代表取締役 丹羽 悠介さん

フィットネスのコンテストに出ているマッチョたちを応援する実業団が会社内にありまして、「自分たちも実業団になりたい」「フィットネスのコンテスト頑張って出てるんだ」っていう人たちが非常に多く集まってくる福祉の会社っていうふうになってますね。

提携している24時間ジムは全国使い放題。

みんなマッチョたちも介護の仕事しながらトレーニングしてますね。体が仕上がってきてるシーズンってなると、やっぱり見せたいんですよね、彼らは。

「ちょっと腹筋見せて」とか「いいね」みたいなのは行われたりしてますね。僕らちょっとね感覚麻痺して、見慣れてきちゃってるのであれですけど、普段見慣れない方が見たらびっくりするぐらいなレベルだとは思いますね。

始めって、結構みんなかっこいいとかモテたいとかでやるんですけど、やっぱちょっと度を過ぎてしまって、モテないレベルまで行ってしまうって、ちょっと気持ち悪がるみたいなレベル感ではあります。

ビジョナリーの代表、丹羽さんに伺いました

筋肉を見せたがる社員も少なくないそうです。

この丹羽さん自身も、体を鍛えていたのですが、ある時、「筋肉を鍛えている人たちは、まじめで、ひたむき。自分の好きなことを頑張っているので表情が明るい。こうした人たちに介護を手伝ってもらいたい」とひらめいたそうです。

そこで福利厚生として「24時間ジム使い放題」とした上で、2018年には実業団も設立。

一般社員がボディービルなどの大会で活躍すると、その「実業団選手」に昇格し、8時間勤務の内、2時間は練習の時間に使えて、さらに月に2万円のプロテイン代、大会出場費の手当も出る仕組みだそうです。

今では、20~30人の筋肉社員がいて、その内の7人が実業団選手に昇格。全国大会トップ級も。

会社が若い人を応援し、彼らが楽しく働くイメージが、筋肉系以外の若い人たちにも人気となって、事業規模拡大に合わせ、ここ数年で、社員を150人まで拡大する採用に成功したそうです。

そしてもちろん、利用者さんからも、体ががっしりしているので安心感があると好評だということでした。

 

■若者が集まるきかっけに

このように、宣伝費をかけるより、福利厚生を充実させて、それを話題にして、採用に結びつける。

この作戦がうまく行っているようですが、ただ、丹羽さんに伺うと、単に人数が欲しいだけでなく、若い人が必要だったということでした。

 

株式会社ビジョナリー 代表取締役 丹羽 悠介さん

実は結構意外っていうのか、思いがあってですね、うちは障害福祉の会社なんですね。

その中で、障害を持たれているお子さんがいる家族からすると、基本的には自分の方が先にお亡くなりになるじゃないですか。

そうなった時に、「残された子供は、ちゃんと、楽しく生きていけるのかな」って不安をすごく抱えられている方たちが非常に多く、その中で、もしお願いしてる介護士さんがみんな高齢の方ばっかりだと、「あれ、これって自分の子供は残された後も見てもらえるのかな」って心配になりますよね。

なので、僕はすごく若手の採用を重要だなと思って、すごく意識してたんですね。

会社自体は年をとらせない、会社の平均年齢を上げないよっていうのをすごく大事にしてるんですね。

その中で若い子たちの採用をどうやってしていくんだっていうところをポイントにして始めたのがこのマッチョの実業団だったっていう流れなんですよね。

自分がいなくなった後、障害のある子が幸せに生きられるのか、そんな親御さんの気持ちに触れて、「会社は歳を取らせない」と。

介護の仕事は、きつい、汚い、キケン、という、3Kのイメージがあり、敬遠されるが本当はいい仕事。最初に会社に興味を持ってもらって、その後で、介護の魅力に気づいてもらうのでもいいからとして、今は、若い人を応援する姿勢で、福利厚生を充実させているそうです。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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