本屋は無くならない!これが新しい本屋の生きる道!

森本毅郎・スタンバイ!

先週、泰子さんも紹介していましたが、東京駅近くの八重洲ブックセンター本店が、 来年3月で営業終了する、というニュースがありました。本屋さんが無くなるという話題が目立つ昨今、2019年の大みそかに閉店した、ある老舗の本屋さんにお話を聞きました。

 

■創業明治元年 150年の歴史に幕

まずは、どんな本屋さんだったのか。なぜ閉めることにしたのか。長野県長野市、善光寺近くの「書肆 朝陽館」店主の荻原英記さんのお話です。

「書肆 朝陽館」店主の荻原英記さん

●売り上げが減っていく、元々、利益が少ない商材という書籍を扱う本屋がキビシイというのは、どこでも言われている通りで、このままの形だと、もう立ち行かないというのが、はっきりと見えてしまったので、一度畳んで考え直すというところに辿り着きました。家族三代でウチをご利用いただいた、というお客さんもたくさんいらっしゃいましたし、もう言葉には、ちょっと表せないぐらいの色んな感情がありましたけれども・・・。

明治元年には本を扱っていました。書籍が流通する前からっていう形になるのかな。まだ汽車も無かった時代なので、版木を手に入れて、こちらで印刷して製本して売る、っていうところから始めてました。6代目になるんですけれども、さすがに長く続けてると、みんな自分の代では辞めたくない、っていうのがありまして。どちらかというと、家族に対してというか、先祖に対してというか、引け目みたいなのは感じましたよね。

明治元年、1868年創業、150年の歴史の本屋さんを畳みました。おじいさんに手を引かれて来ていた方が、今はお孫さんの手を引いて来店するというように、三代に渡って来てくれていたお客さんも多く、畳むときの気持ちは言葉に表せない、と。辛さが伝わってきますよね。

 

■営業再開!!本屋はもっと面白い場所になるはず!

ところが、なんとしても立ち行かなくて、家族やご先祖さんに引け目を感じながら、店を畳んだ荻原さんでしたが、なんと去年12月に、お店を再開させたのです!

(長野市の「書肆 朝陽館」)

立ち行かないのがはっきり見えたから畳んだはずなのに、なぜ復活?と聞くと、まだ本屋で出来ることがある、と思っていたのが一つ、そして、自分たちの意地もあるけど・・・。一番の理由についてこう話します。

「書肆 朝陽館」店主の荻原英記さん

●一番大きかったのは、もっと本屋は面白い場所になるっていう感じを自分の中で、実感として持ってたから、だと思うんですね。

アマゾンの台頭だったりとか、活字離れって言われてますけれども、その面白さとか楽しみ方っていうのを、本屋はちゃんと言えて来ただろうか、って思ったときに、本屋って、一般的な小売りと違うお店の形態だったと思うんですね。本も、自分たちで選ぶというよりも、問屋から来るモノを棚に並べていたし、出版社、問屋、本屋っていう本を流通させる関係性の中で、自主性を、本屋は失っていたところがあるし、そこに甘えてた部分もあると思うんですね。だから、それを、自分たちの自主性を取り戻すっていうところで、本屋がもっとユニークになるし、個性が発揮されるし、面白い場所になる、っていう風には考えてました。もう一度、ほんとの商売っていう部分で、モノを、扱っているモノの良さとかを、ちゃんと発信していくことができれば、お客様にもそれが伝わるんじゃないのかな、っていう風には考えてました。

お店に並べる商品に対する自主性が無かったかも、ということなんですね。ドラッグストアやコンビニも、渋谷と巣鴨では、ラインナップが違う、というのは目にしますよね!そう考えると、確かに一般的な小売りとは少し違っていたのかもしれないですね。

しかし、だからこそ、まだまだ、本屋さんは変われる余地があるはず!と、荻原さんは考えたのです。そこで、再開した新しい本屋では、自分たちで並べたい商品(本)を選んで、その商品の良さをちゃんと伝えていこうとしています。もちろん、書籍は利益が少ない世界なのは変わりませんので、経営的にキビシイのは変わりません、ということですが、売り上げは、以前と比べると7~8倍に増え、客層や売れ行きの本などに、はっきりと変化があり、手応えを感じているそうです。

(店内は荻原さん夫妻が二年かけて改装したそう。併設のカフェで読書もできます!)

 

■実は本屋は増えている!あとは続けられる商いにすること!

好みの洋服がある店に行くように、好みの選書の本屋さんに行く、という風に、これからは本屋さんも変わっていく、ということですか?と思いきや、既に再構築が始まってるそうです。

「書肆 朝陽館」店主の荻原英記さん
       
●本って今、年間8万点くらい出てるって言われていて、どれを選んだらいいか、分からない、っていうような状況ができてる気はするんですよね。それをある種、僕らが傲慢な言い方になるかもしれないけど、ふるいにかけるというか、選んでみて、これが面白いよ、これ長く読めるよ、手元に持って置いたらいいよね、っていうような本を、選んで置いておく、っていうところから始まるのかな、と思います。

本屋がどんどん無くなっていくって世間には言われてますけれども、独立系とかセレクトの本屋っていうのは、日本中で増えてます。もうブームじゃないかっていうくらい本屋は増えていて、本屋をやりたい人は多いんですよね。ただそれをじゃあ続けることができる環境ができるか、っていったときに、僕は、あと100年続く本屋をやりたい、って前々から言ってるんですけど、100年っていう単位だと、僕の代で済む話ではなくなってくるので、引き継ぎたいって言う人が現れるようなお店にしたいし、それができる商いであるようにしなきゃいけないな、と思ってますね。

 

蔵書量で言ったら、アマゾンなどのインターネットでの購入には敵わない。日本中に当たり前にあった本屋さんは、大きな転換期を迎えて、再構築された、新しいスタイルの本屋に生まれ変わって、増えてきているそうで、本屋が無くなったと言われている赤坂にも、選書で有名な「双子のライオン堂」さんがありますよ、と教えてくれました。

久しぶりに、ぶらぶら歩いてみたら、みなさんの街にも、お好みの選書の本屋さんが誕生してるかも、ですね!

 

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)

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