皮革と油脂のまち、墨田区木下川地域で、3年ぶりに開かれた「きねがわスタンプラリー」

人権TODAY

東京・墨田区の木下川地域は皮革産業と油脂産業が集まっています。この地域の歴史と現状を、街中でスタンプを集めながら、楽しんで知る「きねがわスタンプラリー」が、新型コロナ流行で中止が続いていたのですが、3年ぶりに再開、先月16日に行われました。
 スタンプラリーの出発点は「墨田区社会福祉会館」。

 子供たちが昔の遊びで楽しんだり、近くの繁華街、浅草や錦糸町の街の鉄道模型ジオラマで遊んだりする一角には、以前から行われていた、牛の皮を使ったキーホルダー作りの体験が行われていました。皮は水を含むと柔らかくなるので、その時、犬のような形に成型して、乾燥すると、その形で固まってできあがりです。皆さん、けっこう難しいなあと言いながらも、完成すると嬉しそうに持ち帰っていました。参加していた女性は「ちょっと硬くて難しいかなと、最初思ってたんですけど、 教えていただいて、一応、かわいくできました。墨田区内で、自転車で来れるぐらいの距離なんですが、こういうのがあると知ったので、初めて参加しました。犬を飼っているものですから、親しみがあるので、体験しようと思ってきました」と話していました。

 墨田区社会福祉会館を出発すると、公園に小さなテントを立てた、二つ目のスタンプのポイントが見えてきます。地元のボランティアの男性は「思ったより人が来てますね。こういうことがないと、まちも活気づかないですしね。お祭りも何にもないしね。こういうことでもなきゃ」と賑わっているのを喜んでいました。
公園の一角にあるのが、次のポイント、「産業・教育資料室きねがわ」です。皮をなめす工程の説明や、昔の道具の展示、なめした皮がどんな革製品になっているのか、またどんな油脂製品が作られているのか、地域の歴史と共に、学べます。また、今は廃校になった木下川小学校での教育の資料があります。資料室の運営を手伝う、大学院生の佐藤雄哉さんは近現代の教育の歴史を研究しているということで、「高齢の方なんかは、昔はこういう皮なめしやってたんだよねとか懐かしいっていう風に言われる方と、小学生の方だと、小学校で工場見学行ったりとか太鼓づくりみたいなのをやってたりするので、これ学校で見たことあるとか、楽しく見ていかれています」と話します。そして「やっぱり、ここは資料室なので、当時の教育実践の資料なんかも随分残ってるんですね。それを紐解いていく中できょうの人権教育に活かせるものは何かないかなっていうので、運営手伝ってます」と話していました。

 そのあと、年1回の公開日になっている「東京都立皮革技術センター」で最新技術などを見学したあと、スタート地点の「社会福祉会館」に戻って、ゴールです。社会福祉会館では、、今回の新しい試みとして、協賛している東京都人権啓発センターが開発した「車椅子を使ったアクティビティ」も好評でした。筋ジストロフィーなどの病気で、身体が思うように動かない人の状況を体感できるよう、腕の上のほうを軽くしばって車椅子に乗り、車椅子を押す人と連携しながら、ホッケーのようなスティックで、ボールをゴールに入れます。参加した親子に聞くと、「難しかったけど、けっこう楽しかった」「めっちゃ面白かった」「腕の先しか動けない気持ちがわかった」と、様々な答えが返ってきました。

  こうした新しい試みもあった2022年の「きねがわスタンプラリー」、午前10時から午後3時までで、約600人が参加しました。ラリー終了直後に聞いた参加者の男性は「地元の皮のお仕事とか商品とかすごくわかりやすく展示もされてますし、30年以上住んでいるんですけど、愛着というんですかね、あと、皆さんとの触れ合いがありますからいつも参加しています。あと、先ほど、昔の学校の先生が資料室にいらっしゃって、お会いして、なつかしい話とかもできて、こういう催し、すごいありがたいなあ、と思っています」と話していました。

  
私たちの生活を支える、革製品や油脂製品の材料が作られている東京・墨田区の「きねがわ」地域。興味を持ったら、「産業・教育資料室きねがわ」などを訪れてみて下さい。

担当:崎山敏也(TBSラジオ記者)

 

 

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