VRで認知症体験!

森本毅郎・スタンバイ!

毎年9月は、世界アルツハイマー月間。先週の水曜が、世界アルツハイマーデーということで、 この時期、認知症の啓発活動が様々行われますが、その中で話題となっているものがありました。 それは「認知症フレンドリー講座」というもの。どんなものか?
 


「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で竹内紫麻が取材報告しました。

 

★認知症の症状をVRで体験!

 講座を導入している福岡県社会福祉協議会の福祉介護研修センター、加藤伸代さんに伺いました。

福岡県社会福祉協議会の福祉介護研修センター:加藤伸代さん

3年前からですね、認知症フレンドリー講座という講座を開催をしております。年に4回、福岡県の春日市の会場で一般公募をしてですね、県民の方向けに開催をさせていただいてます。この認知症フレンドリー講座というのは、認知症の方が見ている世界をバーチャルリアリティ(VR)を使った動画を拝見して体験するような内容になっています。実際は在宅で認知症の方を介護されている方や、お仕事で施設で認知症の方を介護されている方が多く参加しています。 


この「認知症フレンドリー講座」は、2019年から始まった取り組みで、今は全国各地で行われています。

福岡県社会福祉協議会では、その初期から導入、年に4回、開催してきました。実際になってみないとわからない認知症の症状を、専用のゴーグルをつけると、VRで体験できるという事で、関心は高いそうです。1回の開催あたり、定員以上の10名から20名ほどの参加があるということで、参加料は無料、介護職の方や自宅でご家族を介護されている方が多く参加しているそうです。

 

★錯視や幻視

では、具体的にはどんな体験ができるのか、筑波大学の認知症の専門医の監修のもと、このプログラムを作ったという、朝日新聞のプロデューサー、坂田一裕さんに伺いました。

朝日新聞プロデューサー:坂田一裕二さん

階段を下りるという状況や、ものが他の物に違って見えるという錯視ですね。それからバスの乗車時にお困りになるポイント、そして認知機能が低下されたご高齢者の運転の混乱ぶり、そしていわゆる幻視という状態。こういうものをですね、再現をして体感をいただいています。今回福岡県社会福祉協議会さんでご体験いただいた「錯視」なんですけれども、格子状の模様の廊下を見るとですね、ゆらゆら揺れて歩きづらくなる状況や、足が踏み出しづらくなるというような状況をですね、再現しているものを見ていただいたんですね。認知症の原因疾患の一つでレビー小体型認知症というのがあるんですけれども、これになるとですね、初期の段階から幻視や錯視が見えやすいというふうに言われているんですけれども、特にその空間認識と言われるような距離感が掴みづらくなる症状が出てくるというふうに言われておりまして、その状況を再現してるのが階段を下りる、や、錯視ということになるんですね。

 

体験できるのは、錯覚で、モノが別のものに見える「錯視」や、まぼろしが見える「幻視」といった症状で、VRで視覚的に再現しきれないものは、認知症患者の戸惑いの声などで表現される。最近の福岡県社会福祉協議会でのVR講座は「錯視」の体験を行ったそうで、

①1つ目は階段の体験。実際は10段ぐらいあれば普通に降りていける階段が、VRを装着すると、20段30段位の、すごい角度のある階段に見えて、足を踏み出せないような感覚になってしまうという体験。

②2つ目はバスの体験。バスに乗っていて、お金を実際に払おうとしたときに、金額がまずわからないと言う状況を再現。認知症の方の声が流れてきて、お財布を開けて、220円を払おうとすると、「どれが100円玉かしら?それが10円玉かしら?」との音声が流れてきて、最終的に1000円札を出そうとしてしまう、という体験。

③3つ目は図書館での体験。図書館の格子柄の床がゆらゆら揺れたり、変な模様に見えたりして歩きづらくなると言う体験。

では、実際に講座を受けた方はどう感じたのか?介護予防の教室の指導員をしている60代女性の方のお話しです。

★受講者の声

介護予防教室の指導員(60代女性)

自分が認知症になってたときの、こういうふうに周りが見えてたりとかするという例を実際に体験させてもらって、こんなふうに感じてるのかなっていうことを少し勉強することができました。認知症っていうのはなかなか一般の人私達も含めてなんですけど、わかりにくい、この人が本当に認知症なのかどうかっていうのは判断がとても難しいものなんですよね。それとあとご家族の方でも、うちの親に限って認知症なんかではない!っていうふうに思われる方も多いんですけれども、こういう講座を受けたときに、うちの親そう言えば階段下りのとっても怖がってたな、もしかしたら認知症かもしれないとかそういうふうな判断何か気づきになれるんじゃないかなと思うので、いいことだと思います。今後、介護職をしていたときに、認知症の方と直接お会いしたときに、その方が言ってることこういうことだったのかなっていうふうに、その方の理解に繋がればいいかなというふうに思っています。

今後介護職をしていく中で、認知症患者の方への理解が深まったと同時に、この講座を多くの人に受けてもらう事で、周りの人が認知症かもしれないと、気付き易くなるのではとのお話がありました。坂田さんも仰ってましたが、学校や学生さんたちからも依頼や反響もあるそうで、若い人たちにもぜひ受講してもらって、将来介護職への興味を持ってもらったり、周りの高齢者の方への理解へつながればとのコメントもありました。
 

取材:竹内紫麻

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