この時期、目が行く菊と花業界のいま

森本毅郎・スタンバイ!

この週末はお彼岸でしたが、今日は、この時期、目が行く菊と花業界のお話。先週金曜日のズームアップでも「コロナ禍で厳しいのは、観光業だけではない」という話がありましましたが、花業界ももちろんそうです。

 

■コロナが大きな打撃をさらに加えた

東京都中央卸売市場北足立市場に本社のある、花の卸、第一花きの田先仁美さんのお話です。

株式会社第一花き 田先仁美さん

●「もともと、お花の国産の生産量自体が、総量として、輪菊に限らず下がってきている、という現状もあって、あと、10年前比べて約2割以上、生産量ではなくて取引量が、落ちているっていうデータも出ているので、年間通じてお花の危機にある、ということは感じてます。コロナだから減っているということではなくて、農家さんの高齢化などそれ以外の要因もあったところに、コロナが大きな打撃をさらに加えたという風に感じていまして、やはりお花一番活躍できるのが冠婚葬祭、お祝い弔いといった人生の区切りのイベントごとなので、そういった場所が大きく開かれることが減って、需要が減って、件数もさることながら、一件一件の規模がとっても小さくなっていまして、花全体の需要が低迷している、というのはあると思います。」

結婚式やお葬式の数が減り、規模も小さくなっている影響はずっと言われていますが、コロナは、非常に大きな打撃となって花業界に襲い掛かっています。また、取引量が減った要因としては、もう一つ。海外の人件費の高騰により、安く輸入できていた中国などのお花が入ってこなくなった、というのもあり、円安の影響も受けていました。

 

■冷暖房費、種苗、土、薬剤、花を入れる段ボール、全部値上げ!

さらに、ロシアのウクライナ侵攻も、影響があるのです。

株式会社第一花き 田先仁美さん

●「やはり原油問題、直結していると思いますね。原油の高騰っていうのは花の生産にも大きく影響しています。冬場の暖房や夏場にヒートポンプという冷房を使ったり、輸入コストが上がることによって、種苗を海外から取り寄せなければいけないお花というのも、多くありまして、種苗価格が上がる、土などの原材料も上がる、薬剤も上がる、そして一番大きいのが物流コストですね。紙の段ボール資材まで上がってきているので、段ボールに詰めて、それを市場に出荷するという作業と、物流コストだけでもものすごくコストが上がってしまうので、うーん、やっぱり出荷控えしちゃいますね。もう50本くらいにしとこうかな、っていう風になってしまいますよね。100本出荷しようと思うと100本分の送料がかかっちゃいますから。」

原油も大きいですね。冷暖房、種や苗の仕入れ、土、薬剤、花を入れる段ボール、そして送料も値上がっている!さらに、ロシアのウクライナ侵攻の関連では、航空機の便数に制限があったり、輸出入のときの検疫に時間がかかるなども、生鮮品であるお花には、検疫所で足止めをくっている間に、ダメになってしまうなどの影響もある。

加えてこの異常気象も大きな影響を受けています。台風や豪雨などで、生産地が直接被害を受けることもありますが、お花は、日照時間や温度などを緻密にコントロールし、必要な時に、ちょうどよく咲くようにするのですが、今までの知識と経験では、天気が読めなくなってきており、これも出荷数や価格に直結してしまっています。

つまり、日々、私たちが目にするニュース、すべてが花業界に大きく打撃を与えている感じ・・・。

 

■高いなら買わなくていっか。を変えられるか?

さらに、お花ならではの問題もある、と田先さんはおっしゃいます。

株式会社第一花き 田先仁美さん

●「花の単価は食事と違って、高いと買われないという現状もあって、原材料を賄えない状況に来ている品目もあります。絶対必要だからって思って頂けるところにまで、あと一歩、私たちも頑張らないといけないな、と思っているので、まず一輪飾ってみて、無いと寂しいな、っていうのを実感していただくことから、とは思ってるんですが、浸透を待っている間に、生産が持たなくなってしまう、廃業してしまう、そういったお花農家さんも出てきてしまうだろうなということで、日本の花ってものすごく少量多品種で、海外では見られないような品種、美しいものがたくさんあるので、それが、この品種作られなくなりましたって毎年あるわけです。この農家さんしか作ってなかったよね、みたいなものもあるので、それがどんどん見られなくなっていくっていうのは、すごく寂しいことだなと思いますね。」

コスト高ですが、それを価格に反映してしまうと、売れない。だからますます出荷を控える。すると供給が減って、ますます単価は上がって、ますます、消費者は手にしにくくなってしまう・・・。花業界としても、冠婚葬祭ではなく、日常の花という需要を掘り起こすべく頑張っていますが、花のある日々をゆっくり浸透させている時間はない。本当にキビシイ状況です。

スタンバイで名付けたスプレー菊のベニマルコも、この異常な暑さの中、農家さんではあの鮮やかな紅色を綺麗に出そうと頑張っていますし、その次の世代では、白い花を希望の色にあとから染める技術も進んでいます。

ちなみに、花業界は、8月、9月、12月、3月、ここが需要期。コロナが多少落ち着いて、もしも冠婚葬祭を改めて、結婚式を、お別れの会をしよう、お花をぜひ使おう!と思って下さったときは、この需要期を避けて頂くと、お花の安定した相場につながるそうですよ。

 

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)

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