生活困窮者にレトルトスープを。府中市のNPOの食糧支援

今回のテーマは「生活困窮者にレトルトスープを。府中市のNPOの食糧支援」
今回は、生活困窮者に対する新たな形の食糧支援を始めた東京・府中市のNPO法人「シェア・マインド」を取材しました.シェア・マインドは2015年の活動開始以来、様々な団体から食料の寄付を受け付け、地域のイベントなどで配布する活動をしてきましたが、この活動を継続するために、今年7月から新たな支援策を始めました。代表理事・松本靖子さんのお話です。
「いただいた食品のマネジメント、倉庫代がかかったり、会場に運搬するお金だとか、手間、時間がかかっていて、それをボランティアの持ち出しで常に行っているんですけれども、それではいつか活動の終わりが来てしまうということで、チャリティーを始めました。スープをレトルト化して、それを購入していただく。その購入されたものと同じ一品、全く同じ物がお困りの方に届くという企画です。」(NPO法人シェア・マインド 代表理事・松本靖子さん)
こちらの「チャリティースープSTANDBY」は、シェア・マインドのホームページから1パック500円のレトルトスープを購入すると、実質2つ購入した扱いになり、自分の手元に1パック、もう1パックは地域の子ども食堂やフードバンクなどに渡り、実際に当事者に届けられるという仕組みです。また、この取り組みがNPOの活動資金の支援にもつながります。また届く食品が「レトルトスープ」であるという点も1つポイントとなっています。
「冷蔵品のご寄付のお問い合わせを頂いた時に、冷蔵庫がないからとか、それを迅速に届ける人手が確保できないからとかで、一番体に栄養のあるものを見送ってきたんです。お肉の寄付は受けられません、お魚も扱えません。お野菜は痛んでしまうから駄目ですという。なのでどうしたらいいんだろうということをずっと考えていて、野菜や肉を調理してレトルト化してしまえば、持ちが良くなって栄養がいっぱい詰まったものをお困りの方にお分けできることができるなと。」(NPO法人シェア・マインド 代表理事・松本靖子さん)
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今回番組で試食したのは「豆とハーブのごろごろトマトスープ」と「鶏肉ととけこみ野菜のサムゲタン」。スープに使われている鶏肉や野菜は、東都生協から提供されたものです。生協では、野菜が急遽傷んでしまった時のために「予備野菜」が倉庫にストックしてあり、それを食糧支援で提供してもらっているということです。生活困窮状態の方は炭水化物が一番安いことからお米、パン、乾麺だけの食事で済ませざるを得ない場合も多いといいます。しかし、栄養のある肉・魚・野菜は支援したくても保存にコストがかかる。こうした課題を解消するのがこのレトルトスープ。 電子レンジや、湯せんだけで、このような栄養満点の食事がとれるのです。ただ、こうした食糧支援を必要としている人々は今、特に増加傾向にあるといいます。再び松本さんです。
「新型コロナで困窮している人が、全体的な年齢層で増えているんですけれど、すごくインパクトが大きかったのは、私自身は学生かなと思っていて。バイトがなくなったことで、いつも3食食べていた学生だったら今2食しか食べられない、2食で済ませていた学生だったら2食のうちの朝食を抜かなくてはいけないとか、そういう実際の声が上がったのがすごく胸が痛かったです。」(NPO法人シェア・マインド 代表理事・松本靖子さん)
また、実際に、府中で学生を対象に食糧支援を行うNPO法人 フードバンク府中にも取材しました。理事長の照井丈夫さんによりますと、活動を始めた新型コロナ感染拡大当初は50人ほどを支援していたが、今は150人に増えている。団体としてそれ以上支援することが難しく、やむなく150人までで申し込みを締め切っているという状況。また、松本さんは、今は物価高や円安の状況もあり、今後が本当に不安だとも話していました。チャリティースープSTANDBYの取り組みは7月から始めて、フードバンク府中などとも連携しこれまで500パック弱を配布したそうですが今後は月間1500パックの配布を目指していくということです。そのためにはスープ作りの体制強化が急務。その上で、今後は生活困窮者の雇用による支援も考えているといいます。
「まず一つは、厨房入りして頂くという選択肢で、今月から一人、就労してくださることが決まっています。もう一方、レトルト化した後にパッケージのラベルを貼るとか、説明書きの紙を貼るという作業があるんですけど、こちらについては『急遽、5分後にお金必要なんです』という方が現れても、『じゃあこの作業あるからやっていって』とすると、1時間1100円とかをお渡しできるというものです。」(NPO法人シェア・マインド 代表理事・松本靖子さん)
この。スープ作りにおける人材募集は府中近辺に在住の方限定にはなりますが、地域の困窮者を雇用することで、収入面でも支援しようとしています。一方「チャリティースープSTANDBY」購入による支援は誰でも参加できます。 NPO法人シェア・マインドのホームページ(https://standby.base.shop/)から6パック送料込み3520円で購入できるのですが、9月納品分はもう完売していて、10月納品分の販売は9/28(水)からの公開予定となっています。
(担当:中村友美)