自分で本を編んでみた

たいぶ涼しくなってきましたが、秋といえば「読書の秋」。ということで今日は、忙しくて本を選ぶ時間のない!という人のために、「新しい読書の楽しみ方」をご紹介します。
■本との出会いは運試し!本の「ガチャ」
まずは、本との出会いは運試し。先月から「本のガチャ」というサービスを始めた、オンライン書店「honto(ホント)」の高橋 亜悠子さんに伺いました。
ハイブリッド総合書店「honto(ホント)」 高橋 亜悠子さん:
「本のガチャ」は、価格とテーマだけで、本のタイトルを選べない状態で販売するサービスとなっております。
選び方としては、お客様の方に「honto」のサイトに来ていただいて、「短編集」とか「長編小説」とかそういったテーマだけが見れる状態で、その中で、とりあえず気になるものをクリックすると、そのテーマに沿った内容の本が届けられる。届くまでは中身が何かはわからない。
例えば、普段ホラーしか読まない人って、ファンタジーはちょっとっていう方もいると思うんですけど、そこはもう、まさにガチャの運試しというか。
「なんて本を送ってきたんだ」とか怒られたらどうしようっていうのはあったんですけれども、「本当に面白い本が届いたわ」っていう好意的なご意見だったのでホッとしております。


アマゾンなどのネット書店は普通、タイトルとか作家名を見て購入しますが、こちらのサービスは、どんな本が届くかお楽しみ。家に届くまで、その中身がわかりません。
話にあった小説のガチャは、先月行った第一弾。この時は「文庫本」がメインで、用意していた100タイトルが即日完売したそうです。
そしてこの反響を受けて、現在行っているのが、「レシピ本」に絞った、第二弾。レシピ本と一口に言っても、いくつかに細分化されていて、初心者向けの「簡単レシピ」、ダイエットしたい人の「痩せレシピ」、「食がテーマのエッセイ」など、気になるテーマから選んで、注文し、自宅まで届けてもらいます。
本はそれぞれ、書店員さんが厳選したものですが、気に入らなくても返品は受けつけないということですが、それでも利用者からは、概ね好意的な評価。あくまでもガシャポン感覚で、偶然の出会いを楽しんで下さいということでした。
■すれ違った人と「おすすめ本」を交換
一方、「書店員などのプロに限らず、色んな人のおススメを知りたい!」という人は、こんなサービスもあります。大阪ガスのイノベーション推進部、中村大輝さんのお話です。
大阪ガス・イノベーション推進部 中村大輝さん:
サービス名は「taknal(タクナル)」というサービス名でして、スマートフォンのアプリになっています。
具体的には、タクナルのアプリをスマートフォンにダウンロードしていただいて、位置情報をオンにして、移動すると、半径1km以内にいらっしゃる方の、おススメする本が表示される。
漫画もアリで、ビジネス書もアリです。で、文芸とか、文庫本とかもアリです。
本屋に並んでいる本は、新刊とか、いわゆるランキングみたいな形でよく見る本が並んでいたりするんですけど、タクナルで出会える本は、それこそ10年前の本とか、20年前の本とか、気象の仕組みとか、量子コンピュータの仕組みとか、実用書とかも色々載っていたりとかして、発掘本を探す楽しみもあります。
社内の新規事業コンテストで生まれたサービスで、読み「たくなる」、読んで行動し「たくなる」という意味を込めて、「タクナル」と名付けられています。
タクナルのアプリをダウンロードして、位置情報をオンにしておくと、すれ違った人と本の情報を交換できます。
また、自分の好きな本をすすめることもできて、最大100文字の紹介文とともに、本の表紙を登録すると、相手のスマホにも表示されます。
私も実際にスマホにアプリを入れて、外をブラブラしてみたら、たくさんのレコメンドを受け取りました。
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どんなに多くの人とすれ違っても、アプリ上に表示されるのは、直近の10人のレコメンドのみ。
私の場合は、エーリッヒ・フロムの『愛するとういこと』、『世界の犬の民話』、ミヒャエル・エンデの『モモ』などを紹介されました。
2年前に始まったサービスですが、ユーザー数は、現在16万人。
ここで紹介してもらわないと一生出会わないような本を目にすることが出来、知らない人のおススメ本を知ることに面白味を感じました。
■オリジナルの文庫本を作る
「新しい読書の楽しみ方」、最後は、自分だけのオリジナル短篇集を作れる「ポケットアンソロジー」というサービスについて、販売元の田畑書店の代表、大槻慎二さんに伺いました。
田畑書店・代表取締役 大槻慎二さん:
短編小説をですね、一篇一篇、個別にパッケージングして、ブックジャケットという別売りのバインダーのようなものがあるんですけど、それに自分で綴じ込んでですね、色んな作家の短編が入った一冊の本を、自分で作れるという商品です。
例えば、芥川龍之介、太宰治など皆さんご存知の、いわゆる文豪ですね、の代表作から、おそらく全集に当たらないと読めないぐらいの珍しい短編なんかが、だいたい140点ぐらい、ラインナップで入ってます。文芸編集者、主にやってきたんですけども30年ぐらいやっていて、アンソロジーを編むっていうのはよくある仕事なんですけれども、非常に楽しいんですよね、これが。
あるテーマを決めて、いくつか作品集めて、その中からチョイスして、しかもその配列も決められるっていう。
この楽しみ方を、読者の方にぜひ味わってほしいということが、着想の一つですね。



今年4月から始まったもので、都内では、紀伊國屋書店新宿本店や、ジュンク堂書店池袋本店などで扱っている、「ポケットアンソロジー」という商品です。
一篇330円の小冊子を、システム手帳のように、綴じたり外したりしながら、自分だけの短編集を作ることができるんですが、私は今回、「生き物」をテーマにアンソロジーを組んでみました。
この秋は、アマゾンに薦められた自分好みの本ではなく、「意外性」を求めて本と触れ合ってはいかがでしょうか。
(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)