パキスタン洪水の支援報告会

人権TODAY

水が引き始めた被災地(AAR Japan ホームページより)

国土の3分の1が冠水する大洪水

パキスタンではこの夏、例年の5倍というとんでもない量の雨が降り、さらに北部山岳地帯の氷河が溶けたことによって洪水や土砂崩れが相次いで発生。 国土の3分の1が冠水する被害となりました(面積にすると、日本の本州と四国がすべて水に浸かったくらいの広さ)。9月15日現在、1500人あまりが死亡、国民の7人に1人にあたる3300万人が被災しました。

現地で被災者への食料配付や給水などの支援活動を行っている「AAR Japan(難民を助ける会)」が9月15日、洪水被害についての報告会を開きました。

現地パキスタンから状況を報告

現在の状況について、駐在員の大泉泰さんの話です。

6月以降、各地で洪水が頻発していました。まず大きな被害が出たのが南部の辺りですね。インダス川沿いで洪水が発生しまして、きょう時点でもこの南部の辺りの平らなところでは、まだ水没しているという状況です。あと、北の方にはカラコラム山脈があるんですが、氷河が溶けて、それで濁流によって石の橋が流されたりとか、そういう状況です。
私たちが活動しているのはNowchera(ノウシェラ)というところです。イスラマバードから大体2時間ぐらいの位置にあります。隣のアフガニスタンのカブールから流れているカブール川がインダス川につながっているんですが、この川沿いで洪水が発生したという状況です。川幅はそんなにすごい広いというわけではないんですが、この川が氾濫して、川から2キロとか3キロ遠くまで水が押し寄せて、家が流されたりとか、そういった被害が出ています。

報告会では、映像や写真とともに現地の様子が紹介されました。
・高台を走る高速道路の脇に何百人も避難
・ある商店では天井まで水が来て、陳列してあった商品がすべて流される
・井戸水は泥が混じって飲めなくなる   ・・・など様々な被害があったそうです。

困窮+洪水 貧困層に打撃

パキスタンという国は、首都のイスラマバードは非常に発展した部分もありますが、少し地方に行くと、経済格差で非常に貧しい家が多いそうです。
駐在員の小柳勇人さんの話です。

この地域に住んでる方は、パキスタンの平均の方と比べると収入が低い。彼らが実際何をしてるのかというと、日雇いの労働をしていてまさにその日暮らしをしているという状況ですので、こういった洪水が起きた時に貯蓄っていうものがないので、家を直したりだとか、野菜を買ったりだとか、自分たちの今までの生活の必需品を買うお金が今手元に入ってこないと。そういった生活をしています。

貧困世帯は、ただでさえ苦しい生活を送っていたところに洪水が発生して家を失い、食料も買えずに追い詰められています。今食べることができる食事は、支援団体からもらったお米とパンだけ。野菜も肉も卵も何も入ってない栄養のない食事ばかりとっているということです。AARでは、栄養のある食事、肉・野菜・卵・牛乳などの支援も検討しているそうですが、食材を保存する冷蔵庫も使えない状況で、そこをどうするか考えないといけないと話します。

アフガン難民も被災

今回の洪水では、パキスタンの隣国アフガニスタンからの難民も多く被災しました。難民の住む場所は、あくまで一時的な避難先という位置づけなので、鉄筋やコンクリートを使った建物を建てることはできず、泥やレンガで家が建てられています。そのため洪水で流されてしまい、大切な財産である牛やヤギなどの家畜も失われたといいます。
そんなアフガン難民で、かつ障害者の男性と出会ったAARの酒匂まどかさんの話です。

この男性は両足ともアフガニスタンにいる時に爆撃で失って、今は義足をつけて生活をしています。両足を失ってからは、やはり生活していくのが大変ということで、義理のお兄さんから支援を受けていたということですが、洪水被害に遭ってからはその義理の兄さんも自分の家族を養っていくのが精一杯ということで、洪水被災後はなかなか支援を得られずに暮らしているということを話してくれました。

今回の災害に限らず、災害が発生した時に一番打撃を受けるのは貧困層です。また、障害者への支援も含めて、パキスタンで今起きていることは日本にも共通する課題といえるのではないでしょうか。

(担当:進藤誠人)

■取材協力
AAR Japan 難民を助ける会(https://aarjapan.gr.jp/) 

『人権TODAY』は、TBSラジオで毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8:20頃に放送。人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

ツイート
LINEで送る
シェア
ブクマ