ウクライナ避難民が厨房に立つ、週末ランチ限定レストラン

人権TODAY

今回のテーマは…ウクライナ避難民が厨房に立つ、週末ランチ限定レストラン

お店を開いた理由

ロシアによるウクライナ侵攻から半年以上が経ちますが、戦闘終結がいつになるか見通しが立ちません。そんな中でウクライナから日本への避難民も、1,871人(8月31日現在) に達しています。避難民の方々には、住宅や支援金、支援物資などが提供されていますが、普段の生活費は自己負担。支援金などにもいつまで頼れるかわからない状況です。みなさん、経済的な自立は考えざるを得ないわけです。そんな中で、東京・吉祥寺にオープンしたのが、ウクライナ家庭料理の店「Babusya REY(バブーシャ レイ)」。

東京・吉祥寺駅から徒歩2~3分 Babusya REY(バブーシャ レイ)入口

週末の土日と祝日のランチタイム、午前11時~午後3時限定で営業。カウンター8席、夜はバーとなる小さなスペースの厨房に立つのは、ウクライナ東部ドネツク州からの避難民エフゲニアさんと、彼女を受け入れた、東京在住の妹のビクトリアさんです。エフゲニアさんは日本語が話せないので、妹のビクトリアさんとその夫の小笠原裕典(おがさわら ゆきのり)さんにお話を伺いました。

「夫のお母さんが、このBARのオーナー。いつもお昼はここには誰も居ない。だから、もし使いたい人が居たら是非使って下さいということでした。みんな料理も出来るし、でも日本語喋れないし、これは最高と思いました。」(ビクトリアさん)

「元々僕と妻で日本に生活してて、で今回ウクライナがこういうことになってしまって、妻の家族が日本に避難してきたんで、みんなの生活を守るためにも、ちょっと何か出来ることをやりたいなと思って。」(小笠原裕典さん)

(右から)ウクライナから避難してきたエフゲニアさん、日本在住の妹のビクトリアさん、その夫の小笠原裕典さん

店名は“おばあちゃん”

エフゲニアさん本人とその夫、中学生の息子さん、そしてエフゲニアさんの両親の、合わせて5人は、3月下旬に相次いで日本へと避難しました。そして、小笠原さんのお母さんがオーナーのバーのスペースが昼間空いていたのを利用して、「バブーシャ レイ」を4月28日にオープンしたというわけです。「バブーシャ」はウクライナ語で「おばあちゃん」という意味です。なぜその店名にしたか、小笠原さんに伺っています。

「実際にウクライナ人である、僕の妻のお母さんが、仕込みもやってくれてたりするんで、もうホントに、ウクライナのおばあちゃんが仕込んだ料理なんです。レストランというか、ちゃんと食事をする所というイメージになるんで「バブーシャ」に決めましたね。」(小笠原裕典さん)

この場所は、夜は『RAY-Ⅱ』というバーになるため、それと合わせて、「バブーシャ レイ」としたわけです。週末と祝日だけの限定オープンとした理由は、エフゲニアさんとその家族が、来日当初は日本語学校に通っていたのと、妹のビクトリアさんには、子育てなどがあるためです。現在エフゲニアさんは、学校の方はオンライン学習となっていますが、平日はこんな過ごし方をしているそうです。

「買い物だったりとか仕込みだったりとか。ペリメニっていう水餃子を1週間に1,000個作るんですが、全部生地から手作りで手で包んで1個1個作るんです。まあそれだけでなく他にも料理ありますし、結構仕込みとかで平日は使っていて…。」(小笠原裕典さん)

ペリメニ(ウクライナの水餃子)

その他に、エフゲニアさんとそのお母さんは、手作りのバッグや帽子などを作って、販売もしているとのことです。

お店は盛況。しかし…

さてお店の方ですが、当初の客は知り合いだけだったのですが、SNSで取り上げられてバズってから、お客さんが増えたと言います。主な客層はやはり日本人ですが、故郷の料理を懐かしむウクライナ人のお客さんもいらっしゃいます。営業はランチ限定ではありますが、料理の品数もどんどん増やしており、ボルシチやウクライナ風カツレツからデザート類まで10種類以上。私は取材の際に、ボルシチとウクライナの水餃子=ペリメニを戴いたのですが、いずれも美味しくてお酒が欲しくなる味で…というわけで、最近は現地で広く飲まれている、ウォッカをアレンジしたドリンクなども提供しています。

看板メニューのボルシチ

このようにお店の営業は順調な中で、エフゲニアさんとその家族は、今後どうしようと考えているのでしょうか?妹のビクトリアさんに伺いました。

「ホントにまだ、わからないですね。みんなまだ、ウクライナに帰りたい。ですけど、もしもっとこの戦争長引いたら、やっぱり日本に住むかも知れない。だから、まだ何も決まってないですね。」(ビクトリアさん)

ウクライナから日本への避難民に渡航費や生活費を支援する「日本財団」が実施して7月末に発表した調査では、避難民の方の65.1%の人が「状況が落ち着くまでしばらく日本に滞在したい」と回答。「なるべく早く帰国したい」の2.2%を大きく上回る結果が出ています。ビクトリアさんは、自分の家族と故郷を想って、今はこんな気持ちだと語ります。

「戦争終わって欲しい…。ホントに人生がちょっと壊れちゃったような感じ…。何かもう信じられない、いまも戦争続いてるのが…。ホントに早く終わって欲しいですね。」(ビクトリアさん)

ビクトリアさんの家族は、そんな日々を過ごしながら、日本の様々な方からの支援は、本当に感謝しているとのことです。ウクライナに一刻も早く、平和が訪れることを祈ります。

★Babusya REY (バブーシャ レイ)     
営業時間:土日祝 11時~15時     
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-25-4 2F(JR・京王井の頭線 吉祥寺駅下車)     
電話:0422-27-1658    
https://www.instagram.com/babusya.rey/

担当:松崎まこと(放送作家/映画活動家)

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