家電のリサイクル需要高まる

森本毅郎 スタンバイ!

環境意識が高まる中、企業は家電のリサイクルに力を入れていますが、日立が8月13日に発売した、スティック型の掃除機が、「開発段階からリサイクルを意識した製品」として、注目されています。

 

■あえての「黒」でリサイクルしやすく

掃除機の設計に携わった、日立グローバルライフソリューションズの矢吹祐輔さんに伺いました。

日立グローバルライフソリューションズ 矢吹祐輔さん:

今回開発した掃除機は、充電式のスティッククリーナーになるんですけれども、本製品は、「開発段階からリサイクル性に配慮」して、再生プラスチックの使用量を40%以上としたモデルとなっております。

今までの掃除機ですと、目立つような金色の塗装であるとか、高級感の出るような表面処理等を行って、外観をまとめておりましたが、今回は、あくまでプラスチックだけでデザインが成立するような、黒いシックなデザインにまとめております。

やはり塗装やメッキ調のシートなどを貼り付けることで、廃棄された後に、更にこのプラスチックをリサイクルしようとしたときに、どうしてもそういったものが異物、邪魔になってしまいますので、そういったところまで視野に入れて開発を行いました。

部材の40%以上に再生プラスチックを使用した、日立のコードレスクリーナー「パワーブーストサイクロン」シリーズ(PV-BH900SK)
同シリーズの色違い、ゴールドも同時発売(PV-BH900K)

これまで、「再生プラスチック」は内側の部品や目立たないところに使うことはありましたが、今回は、パイプや正面のパネルなど、目立つ位置にも活用しています。

そして、これまでの「ゴールド」の掃除機が、「黒一色」と、ダークトーンになっていますが、廃棄後のリサイクルを考えてあえてシンプルにしています。

さらに、ブランドのシンボルであるロゴは、ピカピカのシルバーで「HITACHI」としていましたが、リサイクルするときには異物になってしまうので、色を付けずに凹凸で「HITACHI」としています。

「HITACHI」をシルバーで装飾していましたが…
プラスチックの質感を変えることで、「HITACHI」を浮き立たせています

 

■ヤマダ 国内最大「家電リユース工場」

使い終わった後だけでなく、使う前からリサイクルを考慮した製品開発が進めれていて非常にエコですが、一方で、まだまだ使える中古家電の「再利用」も広がっています。

ヤマダホールディングスの執行役員・経営企画室長の、清村浩一さんのお話です。

 

ヤマダホールディングス 執行役員・経営企画室長 清村浩一さん:

群馬県藤岡市という場所に、特に「冷蔵庫」と「洗濯機」に特化したリユースの生産工場を今回設立いたしました。

日本全国から買い取った中古品の冷蔵庫と洗濯機が、まず工場に集められます。で、一次点検から、分解、洗浄、修理、二次点検、最終点検を行いまして、それを順次、日本全国のアウトレットリユース店の方に出荷を行っております。これが中古品なのかどうか判断がつかないぐらいの製品に仕上げております。

私どもも1日300台、店舗に出荷をしますけども、店頭に並べれば即完売するというように、かなり好評をいただいております。これだけ大規模に、リユースを本格的に手がける工場は、世界に類を見ない、初めての試みです。

5月20日に落成式を開催した、「ヤマダ東日本リユースセンター群馬工場」。冷蔵庫洗浄の様子

家電量販店のヤマダデンキが、国内最大規模の家電のリユース工場を、5月に稼働しました。

ヤマダデンキが全国から買い取った大型家電が集められ、一つ一つ分解、手作業で洗浄。更に消耗品は新品に交換して、中古家電として売り出され、定価20万の500リッターの冷蔵庫は、10万円以下。定価10万円の縦型の洗濯機は5万円以下と、新品の半額以下で販売され、売れ行きは好調のようです。

 

■新品と中古品、客層が違う

やはり背景には、「上海のロックダウンによる品不足」や「世界的な半導体不足」、「物価高」などがある中で、少しでも安い中古品の需要が高まっているのではないかと話していましたが、ただ中古品の需要が増えると、新品が売れなくなるんじゃないか?心配になったので、再びヤマダホールディングスの清村さんに聞いてみました。

ヤマダホールディングス 執行役員・経営企画室長 清村浩一さん:

ここはですね、難しいところなんですけども、新品を求められるお客様というのは、間違いなく安定しております。全くバッティングしてないですね。

その中で、メルカリを中心として、特に若年層を中心に、「中古品」に対する抵抗感っていうのが確実に薄まっているのかなと。

家電というのは、希少な金属、プラスチックを非常に含んだ製品でございますので、ただ単純にメーカー様が作ったものを販売をしてそれで終わりですってことではなくて、最後まで面倒を見る。

最初に使われたお客様としては役割は終わったかもしれないけども、リユースとして再生産すれば、また次の方が、新たな価値として製品を使っていただくっていう、こういった仕組みを作ろうということですね。

新品とリユースは客層が違うので、お客さんはバッティングしないということです。また、掃除機を作った日立も、企業は作って終わりではなく、廃棄までを配慮する「売る責任」が重要と話していて、大量生産→大量消費→大量廃棄という従来のスタイルではなく、家電も資源として、繰り返し再生することが求められる社会になっているようです。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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