外国籍の10代が、将来のことを考え、必要な情報につながる場を作る試み

人権TODAY

外国人の数が全国で最も多い埼玉県川口市で8月7日(日)、「外国籍の10代のための資格・進路・仕事 ミニフェスタ」(川口こどもの未来アソシエイツ主催)というイベントが開かれました。外国籍の子供と保護者だけでなく、外国籍の子供の進学や就職に、様々な関心がある約50人が参加しました。

 川口市に多く暮らすのは、中国、ベトナム、韓国、フィリピン、トルコの順ですが、崎山記者が話を聞いたのは、川口市外から来たという、母親がバングラデシュ国籍、子供がアメリカ国籍の親子。母親は「娘は高校を卒業したんですけど、外国籍なんで、どんな仕事ができるか、わからなくて。あとは、好きな仕事をしたいなら、どんな大学を卒業すればいいか、色々悩み、相談に来ました」と話します。回りに相談する人や場がなかったようです。 
 「外国籍の10代のための資格・進路・仕事 ミニフェスタ」ではまず、埼玉県国際交流協会の担当者が、日本の就職活動や社会人マナーについて説明しました。次に、外国にルーツがある若者を応援する特定非営利活動法人「グロラボ(glolab)」が、参加した10代を対象に、「お仕事MAP」作りを行いました。社会の中にある色々な仕事を知って、将来やりたいことを考えようというものです。

「お仕事MAP作り」では、2人一組で、好きな仕事、興味がある仕事を一つあげ、それに関係ある他の仕事を一緒に書き出しながら、MAPにしていきます。話を聞いた母親の子供は、トルコ国籍の子供と組み、「トルコ料理屋のオーナー」をやりたい仕事にあげました。そして、関係ある仕事については、トルコ国籍の子供が「シェフ。ウェイトレス。掃除する人と、掃除の洗剤作る会社」等々をあげ、アメリカ国籍の子供は「トルコ料理なので、輸入品とかも必要になってくるから、輸入品の会社。トルコの料理はたぶんほとんどハラールなんで、ハラールのお肉屋さん。あと、牛とか鳥の牧場。」という感じであげて行きました。そういった様々な仕事の中で、自分のできることが生かせそうな仕事や、この日新しく知ったことなども発表していました。
一方、参加者の中には、東京・北区にあるJCLI日本語学校の担当者がいました。話を聞くと、「最近、特定技能コースを設けました。特定技能1号ビザという在留資格があり、この資格で働ける仕事のうち、外食産業や、介護、ビルやホテルの掃除などの仕事を目指すためのサポートを行うコースです」と説明してくれました。そして「日本で就職をしたい、という留学ビザ以外の外国籍の人たちにも、この特定技能について、色々知ってもらいたいなと思うので、こういう場は大変ありがたいです。留学ビザ以外の外国人とはなかなか接する機会がないので、こういった機会があると、日本語教育の裾野が広がるのでいいのかなと思っています」と話していました。

 この日の最後は、行政書士の大塚香織さんが、在留資格と、進学や仕事の関係について、説明しました。大塚さんは、どんな仕事にどんな在留資格が必要なのか、ある在留資格を得るためには、どういう条件があるのか、また、高校を卒業することで、在留資格を変えられる可能性があることなどを説明しました。

 今回のミニフェスタは、大塚さんのほか、川口市内で日本語教育に関わっていたり、外国籍の10代と日々の暮らしの中で付き合いのある人たちが企画したもので、大塚さんは「外国籍の子たちの、高校から進学だったり、就職だったりというところに関しては、普通の進路指導の枠を超えてくる部分があって、そのへんの情報をもっと伝達できないかなっていうことで、今回、こういう場を開くことを試みました。子供の頃から日本に来てしまうと、なんとなくお父さんについてきて、お母さんについてきて、そのまま働けるんじゃないかとか、普通に進学できるんじゃないかとかいう風に思っているケースも多いのかなと普段の仕事を通じて、思ってます」と話していました。
ミニフェスタで最初にあいさつした、川口市多文化共生係の担当者は「きょうのミニフェスタが、将来の進学や仕事など、人生設計の参考になり、川口市の多文化共生のお手伝いを将来していただければ、うれしいです。多文化共生係としては今後、皆さんが川口市で大いに活躍できる環境づくりを進めていかなければいけないと思っています」と話します。主催した人たちは、今回のミニフェスタのような場を、継続して設けていきたいということでした。

(担当:TBSラジオ記者 崎山敏也)
  

 

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