日本の職場のウェルビーイング改善の鍵は?

森本毅郎 スタンバイ!

今週のTBSラジオは「ウェルビーイング・ウィーク~幸せな生き方、働き方を考える~』1週間。

ウェルビーイングというのは、肉体的・精神的・社会的に満たされた状態を指す概念で、今は、さまざまな企業が、持続的な経営のために、職場のウェルビーイング対策を進めています。

 

■日本の職場環境は、世界ワースト?

ただ現状では、日本の職場は、世界から比べると、とてもいい環境とは言えない、むしろ最悪という状況のようです。組織開発の専門家の沢渡あまねさんに伺いました。

沢渡 あまね さん:

残念ながらそのような調査結果が出ています。いわゆる働きがい、働きがいに関する国際調査でも、日本は先進国中も下位低迷というような、こんな結果もあります。

他にも、ISSPという国際比較調査プログラムの2015年度の調査レポートをから申し上げていますが、そのレポートでも、日本の職場の間での人間関係を良いと答えた人の割合は、日本は調査対象の37カ国中なんと、37位、最下位、こんな数字が出ているんですね。

沢渡 あまね さん

沢渡さんに伺うと、さまざまな調査で、働きがいが感じられない、人間関係もギスギス、幸福度も低い…と、日本の職場は評価が低いそうです。

こうなると何らかの対策が必要ですが、そうしたものも進んでいないのが実態。

 

■シリコンバレーの「ウェルビーイング補助」

こうした中で、注目されているのが、アメリカ、サンフランシスコ、シリコンバレーの企業たち。先進的なIT企業が並ぶシリコンバレーでは、働きがいのある職場作りの対策が、さまざま広がっているそうです。

ではどんな状況なのか?シリコンバレーのIT企業で働くエンジニアで、ウェブメディア「ITメディア」などで現地の様子をリポートしている五島正浩さんに伺いました。

シリコンバレーで働くエンジニア 五島 正浩 さん:

例えばですね、ウェルビーイングを意識してですね、全社休業になる休日っていうのを設けてですね、ワークライフバランスを取れるようにするですとか、あとは会社によってはノーミーティングデーみたいのを設定しまして、会議ばっかりやっていなくて、自分がやらないといけない仕事に集中できる時間を設けるなどのような取り組みをしているところもあります。

私の勤務先の場合ですと、ウェルビーイング補助というのが導入されました。年間1000ドル、日本円でいうと13万円ぐらいですかね、ウェルビーイングのための健康や幸福のために、自分でどういうふうに使うかというのを選択して、使えるようにしているという特徴があります。

五島 正浩 さん

シリコンバレーに広がる職場のウェルビーイング対策。

まず制度として、全社休業になるお休みの日を作る会社が多いそうです。有給を取っても、他の人が働いていると、結局メールが入ってきて、落ち着いて休めない、というのはありがちですが、こうしたことのないように「全社休業」で、全員でちゃんと休もうという施策が広がっています。

そして、年間1000ドル(今のレートでおよそ13万円)のウェルビーイング補助金。こちらは室内バイクや、心拍数がチェックできるアップルウォッチなど、使われ方も色々。

先程の、ウェルビーイング補助金も、元は「スポーツジムの利用料」の補助だったようですが、健康対策は社員によって、さまざまなので、それぞれに対応できるように変えたそうです。

 

■多様性を受け入れる姿勢

では、なぜシリコンバレーでウェルビーイングが広がっているのか、日本で広がるためには何が必要か。

それぞれ五島さんと沢渡さんに伺うと、同じキーワードが出てきました。それは、多様な人材を採用して、その違いを認め合う「ダイバーシティ・インクルージョン」でした。

沢渡 あまね さん:

ダイバーシティ・インクルージョンみたいなものがどんどん進んでいますので、多種多様の人が集まる会社の組織になってきていますので、いろんな人がいるという前提に立つと、もうそれぞれの人で考え方が違う、それぞれの個人の意見っていうのをちゃんと聞いて議論をして、仕事に活かしどうするかってのを決めていかないといけなくなりますと。

シリコンバレーで働くエンジニア 五島 正浩 さん:

私は職場のウェルビーイングとは、ダイバーシティ・インクルージョンについても私はこう説明しているんですけども、「意欲、能力のある人が正しく活躍し続けられる状態」が職場のウェルビーイングだと思います。

例えば、家族に何らかの事情があって、テレワークだったら自分はその仕事で価値を出せるとか、こういう人たちが活躍するための、今までのハードル常識を取っ払っていく。

これがねウェルビーイングであり、組織にとってもダイバーシティ・インクルージョンだと思うんですよね。

シリコンバレーは積極的に、人種も宗教も転職歴など様々違う多様な人材を活用しているので、その違いを尊重して、意見を汲んでいかないといけない。すると、自然と一人一人を大切にする環境に近づきます。

沢渡さんによれば、日本では、まだ同質性が高く、同調圧力があって窮屈。ここを変えていくことが鍵になるのでは、ということでした。

日本は、なかなかシリコンバレーのようにはいかないかもしれませんが、今は、デジタルの活用で個々の働く人の状態を把握できるようになっているので、今後の労働環境改善に期待したいところです。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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