鈴木啓太×角谷リョウ1

スナックSDGs powered by みんな電力

土曜日の夜、ラジオの中にオープンする社交場が、「スナックSDGs」。   
毎週いろいろなお客さまを迎えて「この星の未来」を話し合う番組です。   
スナックのホストは、再エネソムリエの大石英司TBSアナウンサー上村彩子   
今回のお客さまは、鈴木啓太さんと角谷リョウさんです。   
 

         ↓放送音源はコチラ!

 


鈴木啓太 

16年にわたって過ごしたプロサッカー選手の時代には、Jリーグ年間優勝、AFCチャンピオンズリーグ制覇などを経験。日本代表として国際Aマッチに通算28試合出場。2015年にプロ生活を引退後、起業。アスリートの便を集めて腸内細菌を研究し、その成果を、アスリートや一般の人に向けた健康維持に役立てる会社、「AuB」の代表を務めている。 
 

角谷リョウ 

肩書きはスリープコーチ。上級睡眠健康指導士。これまでに累計6万5千人の睡眠改善をサポートしてきた。大学時代には都市工学を専攻。神戸市役所に勤務していた頃に体づくりに目覚め、トレーニングスタジオの経営者として独立。運動と食事のプロフェッショナルを経て、スリープコーチに。2022年3月には、『働くあなたの快眠地図』を上梓。 
  


今回のSDGsは・・・

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アスリートの腸内細菌を研究する理由。


上村
鈴木啓太さんは、サッカー選手としてのキャリアを終えて、次に選ばれた道が、起業です。まずは、啓太さんが手がけている「腸内細菌を研究するバイオベンチャー」、どんな研究をされているのか教えていただけますか?


鈴木
そうですね。もうダイレクトでお話すると・・・うんこを集めて研究をしています。うんこの中に菌がたくさんいるんですね。お腹の中に菌がたくさんいるんですけど、「どの菌がどのぐらいいるのか」っていうのを研究しています。みなさんのお腹の中には、1キロから1.5キロぐらいの菌が住んでいるんです。


一同
菌が!?菌だけで?


鈴木
はい。数にすると約100兆個以上って言われています。もう、それってすごい数じゃないですか。


上村
想像つかない・・・。


鈴木
その菌達が、お腹の中でいろいろ働いてくれているんですね。食べたものが胃で消化されて、小腸でそういったものが吸収されて、最終的に大腸で便の形になるんですけど、お腹の中に住んでいる菌が働いてくれて、うんちとして出てくるんですよ。もうそれだけでも腸内細菌ってすごい役割を担ってくれているんじゃないかって想像できると思うんです。人間の遺伝子とか血液とか尿とかっていうのは、結構、調べられているんですけど、ここから先は、腸内細菌の時代が来る、と言われているので、僕たちはそこを調べることで、「健康に貢献できたらな」っていう感じなんですよね。


上村
よく「腸内細菌を整える」とかって聞きますけど、そんな、100兆個もあったら何の菌が効いているのかもよくわかんないですね、(笑)


鈴木
そうなんです。なので、ただ一つだけ「この菌がいいですよ」って、それも大事なんですけど、それよりも”多様性が大事”って言われているんです。「いろんな菌を体内で飼いましょう」っていうふうに言われていて、実はそれがいろんな病気、疾患なんかと関わっていたり・・・。今、まだまだ、わからないんですけど、腸って、体の中の土台なんですよね。是非、皆さんには整えていただきたいなって僕は思って活動しています。


上村
便は便でも、鈴木啓太さんが主に研究されているのはアスリートの便。そこから、どんな特性があることが分かってきているんでしょうか?


鈴木
アスリートは、菌の多様性が高かったんです。食事をしっかりバランス良く摂っているとか、運動をしているとか、規則正しい生活をしているとかっていうことがその理由なのかなと思うんですけど。
あとは、酪酸菌という菌が多かったんです。この菌は、短鎖脂肪酸というものを作り出したりする菌と言われています。これがたくさんいる人は、持久力が高い、と言われたりします。「免疫をコントロールする菌」というふうにも言われているんですが、免疫って低下してもいけないですし、逆に、上がりすぎてもいけないんですよね。この辺りを司る菌と言われている酪酸菌がアスリートの場合は、一般人の約2倍も多かったんです。


大石
面白いですね。


鈴木
研究自体はまだ途中の段階なんですが、その研究がどういうものに繋がっているのか、ということがすごく大事です。食事に繋がってきたりするんですよ。まず大事なのは、腸内細菌のデータだけを見るのではなくて、その人がどういう生活習慣をしているのかとか、それによってどうなったとか、また、なにかの症例が増えていくことで「この人はこういうことをしたほうがいいよね」ということがわかったりします。

僕たちは、今、アスリートの検体を33競技、800 名以上持っています。この方々のデータは、「どういう競技をしているのか」、「競技によって、どういう負荷が体にかかっているのか」、「どういう食事を摂っているのか」ということがわかるという意味で価値があるんですね。これから腸内細菌の研究がもっと進んでいきます。僕自身、子供の頃から母親に「腸が一番大事だよ、うんち見なさい」って言われてずっと育ってきて、高校生の時には腸内細菌のを整えるサプリメントを飲んできて、そうやって、自分のコンディションをお腹で作ってきているので、まさにこれは、僕の人生そのものだなって。

サッカーをやってきたのも、もしかしたら、この仕事のためでもあるのかな、って思うぐらいです。「なんか、全然違う職業、ジャンルだね」とは、よく言われるんですけど、僕は、そう思わないというか。繋がっているし、なんなら、こっち側が本当の人生かも知れないなって思ったりもしますね。


大石
現役の時から、これで独立しようとか思っていたんですか?


鈴木
それは思ってなかったんですけど、たまたま自分がトレーナーと話をしている時に、「うんこの記録のアプリ作った人がいるよ」って言われて。それで、「えっ!会いたい!」って言って会いに行ったのが始まりだったんです。そこで、「特徴的な被験者を調べるとね・・・」とか言われた時に、「あれ?特徴的な被験者って言ったら、アスリートじゃん!」って思ったんです。世の中の人とか、ファンやサポーターの人とか、「いつまでもスタジアムに元気に通いたいよ」とかって言ってくれる人たちのために、何か貢献できるかな?って思ったんです。

結局、サッカーも、ファンやサポーターのみなさんのためにやっているんですよね。応援してくれる人が喜んでくれる、自分の母親が喜んでくれるっていうところからスタートしています。それがあって、認められていると僕は思っているので。その人たちがいつまでも元気にスタジアムに通ってくれたら嬉しいじゃないですか。アスリートが、オリンピック、ワールドカップ、日本代表・・・そこを目指してコンディションを整えてきたものが、もし、応援してくれる人の健康に役立つとしたら、そんな素敵なことないじゃない!って話をしたら、みんなわかってくれて、便の検体を提出してくれるようになったんです。だからこそしっかり研究しなきゃなって思っています。




―睡眠改善の指導に教科書はない。


上村
角谷リョウさんは「スリープコーチ」「上級健康睡眠指導士」といった肩書きをお持ちですが、こちら、どういうものか教えてもらっていいですか?

角谷
はい。スリープコーチになりたいという前提で「上級健康睡眠指導士」の資格を取りました。そこで睡眠学は学んだんですけど、学びは学びとして、現場で睡眠改善のコーチをすることは全く別の話なんですね。たとえば、食事も睡眠も、改善するために何をやったらいいかっていうのはなんとなく、みんな、そこそこ分かっていたりするじゃないですか。「寝る前にスマホはやめましょう」とか「寝る前にお酒は控えましょう」とか。わかってはいるけど、なかなかできないですよね。たぶん、海外のサッカー選手とかもそうなんですけど、やっぱり、夜、練習して疲れた後に食事は摂るけど、そのあとは自由にさせてくれよって思うじゃないですか。ここに介入するのってめちゃめちゃ難しいんです。会社とか他の人が言っても、「そこって僕の自由な時間でしょ?」って。

でも、そういう、「だれかにとっての自由な時間」に介入しないと睡眠って良くならないんですね。だから、スリープコーチとはなにをするかというと、「その人に納得してもらって、良い睡眠に入ってもらう」ことが重要です。その上で、個人差があるんですね。理屈通り、教科書通りには全くいかない感じですね。たとえば、睡眠改善のセミナーがあります、というときに、自分でお金を払う人って、やる気がありますよね。「睡眠を変えたいので、10万円でも、払います!」という人であれば、なにをすればいいかがわかれば、ちゃんと、変えてくれるんです。だけど、僕は法人で仕事をすることもあって、そこで出会うのは、基本的に、変わりたいという意志がない方なんですね。会社に集められて、なんとなく、言われるままやってきた。そういう方を前にして、さあ、どうするかというスタートです。

日本は、睡眠改善のために、少なくない金額をかけているんですが、ある研究結果によれば、1%も変わっていません。「こうしたら、数字が良くなりますよ」って言われても、その時は「なるほど」と思うんですが、その場を離れたら、もう忘れてしまうんですね。手を替え品を替え、そういう方たちを、僕たちは、9割以上変えて正常値に戻していく、ということをやっています。だから「睡眠改善の方法を伝える」というよりも、自分でお金を出していない、そんなに改善する気がない人の「意識を変えること」が得意、みたいな感じかもしれないですね。


大石 
まず、第一歩はどんなことをするんですか?


角谷
そもそも大抵の場合は悩みに気付いていないというか、悩んでないんですね。「あなたは、こういう結果ですよ」って言っても、「へえ~」で終わってしまう。そういうリアクションに対して、「あなたは全然悪くありません」と話します。人間って責められると、変えてくんないんですよね。正当化しようと思ったらいくらでも論理的に出来るんです。ちょっと捻じ曲げれば屁理屈が言えるんです。で、そういうふうに脳を作動させちゃったら身も蓋もなくなってしまうので、そうではなくて、「健康になりたい」と思っている心の穴をグワーッと広げていく、みたいなことをしています。「改善することによって家族にいい影響がありますよ!」とかっていうふうに。

喫煙者に「あなたの健康状態では控えた方がいい」と言っても、「おー良いよ、別に」って言われることが多いんですけど、「子供にこんな風な影響がありますよ」って言うと「やめようかな」ってなったりするんです。”人のため”っていうのは習慣を変えるトリガーになりうるんですね。だから、この人のトリガーはどこかな?っていうのを探しながら当てていくっていう地味な作業をしています。僕は、毎日、500~600人の人に対してそれをやっています。もしかしたら、機械とかチャットボットだと思われているかもしれないですけど・・・。



―人間にとってベストな睡眠時間とは?


鈴木
ちょっと質問したいんですけど、僕、早起きなんですよ。最近は、朝4時半とかに目が覚めるんです。もちろん寝るのも早いんですけど、朝4時に起きているからか、昼、仕事中に眠くなっちゃって・・・これっていいのかなって思ったりするんですけど。


角谷
そうですね、順番を追って話していくと、まず、たとえば20代の時の睡眠時間って、人によりますが、ベストなのはだいたい8時間ぐらいなんですね。それが40代くらいになると、同じ人でも6時間とかに減っていくんです。なので、それは普通というか・・・老化現象というか。それと、基本的に良い睡眠が取れたらビジネスマンはそんなに長い睡眠っていらないんですね。アスリートは、脳がクリアになることに加えて体を作ったり神経を作ったりっていうのがあるので、ある程度は必要なんですけど、ビジネスマンは良い睡眠がギュッと凝縮していれば「5時間ぐらいでも平気だな」みたいな人はいっぱいます。特に、アドレナリンが出ている状態っていうのは睡眠が深かったりするので、経営者とかになると短眠は普通だったりして、全然問題ないんです。


上村
7時間とか8時間は寝ないといけないのかと思っていました。


角谷
全然そんなことないです、平均で6時間くらいです。平均で6時間がベストなので、7時間とかになると寝過ぎの場合もあるぐらいです。年代にもよりますが。で、次に、どこで眠くなるかなんですけど、起きてから4時間後に眠くなったらそれは睡眠不足なんです。「4時半に起きました、8時半に眠くなりました」だとしたら、これは寝不足。だけど、お昼ぐらいに眠くなるっていうのは生体のリズムは正常で、全然問題ないです。


鈴木
いいんだ!


角谷
そこでちょっとだけ寝てもいいし、寝なくても、目を閉じるだけでも回復するんですよ。連続運転を止めるだけですごくパフォーマンスが上がるんで。


鈴木
じゃあいいんだ!ちょっと心配だったんですよ。現役の頃って、8時間とか、多い時は9時間とか寝ていましたけど、だんだん5~6時間とかになってきて、でも、体はそんなに疲れてないんですよね。だけど、「なんかこれ足りないんじゃないか」って思ったりして。それで昼ご飯とか食べた後とかに眠くなるんで「これ睡眠不足かな?」みたいな・・・。大丈夫ってことなんですね。


角谷
大丈夫です。むしろ、そこで心配しちゃって余計に寝るとリズムが狂っちゃいます。ただし、「食後の眠さがどれくらいなのか」っていうことは気になるところで、運動している時って、基本的に分解しちゃうから何を食べても血糖値って上がらないんですね。今、鈴木さんがどれくらいの運動量かわからないですけど、体が変わって、血糖値がお昼にガーンって上がりやすくなっているかも知れないので、その点は少し心配です。血糖値の問題でめちゃめちゃ眠くなっている可能性もあるので。昔の日本人は、糖質って、1日が100だとしたら80%ぐらい摂っていたんですけど、糖尿病とか透析の人ってほとんどいなかったんですね。でも今は大体平均60%くらい。60%くらいだけど、今、糖尿病の方が予備軍も入れると2000万人ぐらいいると言われています。それはやっぱり血糖値が上がりやすい生活っていうのもあるんですが、運動しているかどうか、というのはありますよね。


鈴木
なるほど。もう一つ気になるのが・・・夢ってどうなんですか?


上村
夢の話、聞いてみたい!


鈴木
夢をよく見るんですけど、大丈夫なのかな?と思って。


角谷
夢は一応、覚えているか覚えていないかだけの話で、誰でも見ているんですよ。睡眠の波があるんですけど、上の方の浅い睡眠のときにはみんな見ています。


上村
じゃあ夢を見ていたからって睡眠が浅いってわけじゃないんですね。夢を見た時間が長かったなって感じた日とか、「あ、眠れてなかったんだな」って勝手に思っていました。


角谷
それは全然大丈夫です。朝方は基本的に深くないんで、寝た最初のところのいくつかの波が深ければ全然関係ない。
 

   


 

 

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