「パラリンピック・ムラール」の設置と体験イベント

人権TODAY

”パラリンピック・ムラール”の設置と体験イベント

去年開催された東京パラリンピックの期間中、選手村に設置されていたムラールと呼ばれるモニュメントがこの度、東京・港区にある東京都人権プラザに設置されました。ムラールとは英語で「壁画」という意味を持ちますが、パラリンピック・ムラールとは、どのようなモニュメントなのか?  
東京都人権啓発センター中村雅行(なかむら・まさゆき)さんに伺いました。  
 

東京都人権啓発センターの中村雅行さん

 

去年のオリンピック・パラリンピックの期間中に、パラリンピック選手村に設置されたもので、大会に参加した選手が「障害者の権利の推進」と「持続可能な共生社会実現」への願いを込めてサインすることでできたモニュメントです。差別が存在するという情報が十分に伝わっていないために、身近に感じづらい状況になっているのではないか?他人事に感じてしまっているのではないか?ムラール設置が、自分事として感じてもらえるきっかけになればいいなと思っています。

パラリンピック・ムラールは、木材を組んだ、人の背丈よりも少し大きいほどの台形型のモニュメントです。サインや出身国などがびっしりと書かれています。東京大会で作られたものは多摩地域の木材を使っています。選手たちが障害者の権利推進、SDGs実現への願いを込めたモニュメントです。 

パラリンピック・ムラール

 

私が取材に伺った日、近隣の小学校の6年生が課外授業の一環として見学に来ていました。ムラールの見学の後、子どもたちに、障害の有無に関わらず誰もが楽しめる新しいスポーツを体験してもらうイベントがありました。

東京都人権プラザにおいて、子どもたちがスポーツなどのアクティビティを通じて当事者の課題を「自分事」にできる仕掛けとして発明された、馬に乗って行う球技ポロになぞらえた「ポロッとジェントル」というアクティビティを行いました。

車いすに乗る人と車いすを押す人の2人1組で行います。車いすに乗った人は、腕を固定して、腕先だけを使ってハンマーでボールを得点エリアに打ち込みます。打ち込みやすいような位置取りは、車いすを押す人が行います。  
 

スポーツ体験をする小学生

 

知らないことを理解してみることが第一歩

アクティビティ体験の後、進行役の一般社団法人「世界ゆるスポーツ協会」の萩原拓也(はぎわら・たくや)さんは子どもたちにこのように語りかけました。

このアクティビティは筋ジストロフィーという筋肉が動きづらくなる障害のある男の子のために作りました。車いすに乗って不自由な状態を体感した。これを忘れないでほしい。腕がくっついて動かなかったり、自分で動かせないだけで不自由をしたと思います。後ろの人に助けてもらわないといけなかったよね。最初は難しかったけど話していくうちに、「右の方がいい!」とか「下がって!」というような指示がうまくなったと思います。体験していくと相手のことが理解できるし、知らないことが理解できるようになってきて、自分たちで考えられるようになってきます。

今まで、車いすに乗ったことも、押したこともない子どもたちが、互いに声を掛け合いながら協力してゲームをしている様子が印象的でした。

この日、ムラール設置のイベントと小学生のアクティビティ体験には、パラカヌー選手で、東京パラリンピックでは7位に入賞した瀬立モニカ(せりゅう・もにか)さんも参加しました。  
普段の生活では車いすを利用している瀬立さんはどのように感じたのでしょうか?

パラカヌー選手の瀬立モニカさん

思ったよりも子どもたちが車いすに乗ることに対して抵抗がないというか、「乗りたい、乗りたい」と言っていたのが印象的でした。私たちの時代だと車いすに乗るっていうのは恥ずかしいことと思っていたのが、今の子たちはあんまり抵抗がなくて。アクティビティもみんな楽しんでいたのが面白かったです。私自身、「強い人が弱い人を助けてあげましょう」という教育だったのがしっくりきてなくて、誰にでも得意・不得意があって、その得意・不得意をお互いに埋めていけることが、共生社会に対しての一つのステップなのかなと感じています。  
 


できることは一緒に、できないことは手助けをしあう。それが、共生社会の第一歩だと感じました。  
「パラリンピック・ムラール」は、東京・港区芝の東京都人権プラザで常設展示されています。

 

(取材担当:TBSラジオ・制作ディレクター 瀬尾崇信)

『人権TODAY』は、TBSラジオで毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8:20頃に放送。人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

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