みんなの冷蔵庫「コミュニティフリッジ」関東初登場

森本毅郎 スタンバイ!

この時期、夏休みに入ると学校の給食がなくなり、生活に困難を抱える家庭は、お子さんの食事、栄養に困るという深刻な時期でもあります。

そうした家庭を応援する「子供食堂」は有名ですが、もう1つ、新たに全国的に広がり始めている、「コミュニティ・フリッジ」という取り組みについて取材しました。

 

■フードロス対策にもなるコミュニティフリッジは、「みんなの冷蔵庫」

「コミュニティ・フリッジ」のコミュニティは「地域」、フリッジは「冷蔵庫」。つまり、「地域の冷蔵庫」ということですが、どんな取り組みか。先月から運営を始めた、埼玉県・草加市のスーパー「ゼンエー」の代表、植田全紀(まさき)さんに伺いました。

 

生鮮スーパーゼンエー草加店 代表取締役 植田全紀さん:

「コミュニティフリッジ」というのは、子供の貧困の問題を抱えている所帯に、食品を無料で提供するっていう倉庫。

登録すると、そのプレハブの鍵をもらえて、その鍵もらうと、いつでも入れるような形。

冷蔵庫と冷凍庫が置いてあるので、「この商品は2点までです」っていうのが商品ごとに書いてあって、欲しいものをその数だけ持っていける。365日、24時間、いつでも取りに来られますよ。

イメージ

コミュニティフリッジはヨーロッパで生まれた取り組み。日本では2年前、岡山から始まり、この草加は関東初となります(現在、国内では全6ヶ所)。

スーパーゼンエー草加店の敷地内の無人の倉庫に冷蔵庫があって、お米やレトルト、冷凍食品など、メーカー等から寄付された賞味期限の近い食料や、ご近所の農家から寄せられた野菜等が入っています。

利用者は、児童扶養手当や、就学援助などを受けている家庭に限定されていますが、事前登録すると、入り口のロックをスマホで解除でき、必要なものを持ち帰ることができます。

こちらは、開始から1ヶ月で、120人が登録していて、地域での利用が広がってきているようです。

 

■利用者の声

では、使っている方の実感はどうなのか、草加市のコミュニティ・フリッジを利用している方々に伺いました。

小学生2人、6年生と2年生がいます。4~5回位行ってます。レトルトのカレーとか、ジャガイモとか野菜類、とっても助かってます。飲食店だったので、仕事がすごく急激に減ってしまって、社会福祉協議会の生活支援金をまたお借りして、生活するっていう状況が続いてました。

介護の仕事をしてまして、一時期は仕事がかなり減ってしまい、車で通勤してますんで、ガソリン代もかなり高くなって、高校生と大学生いまして、ご飯があればなんとか過ごせるような感じなので、本当にありがたくて。

小学校4年生と小学校1年生と年少の子がいます。好きな時に、行かせて頂けるっていうのがありがたい。

やはりコロナで大変なようで、1人目と2人目の方は、ひとり親世帯の方。3人目の方は、コロナ禍で世帯収入が激減して、就学援助を受けていたそうですが、ガソリン代や電気代の高騰、物価高で、生活がますます厳しくなっている中で、「人目を気にせず取りに行ける」というのも気楽で良いようです。

 

■地域の繋がりを作る

一方、無料で食料を提供する活動と言えば、もう1つ「フードパントリー」というのもあります。

フード=食料の、パントリー=配膳室、ということで、フードパントリーは食料を「手渡し」で配るもの。

果たして、手渡しのフードパントリーがいいのか?無人のコミュニティ・フリッジがいいのか?

実は、今回の草加市の無人のコミュニティ・フリッジの立ち上げには、手渡しのフードパントリーを運営する団体も立ち上げにも関わったということなんです。その団体、「こども応援団マイカ」の浜薗浩美さんに伺いました。

「こども応援団マイカ」 浜薗浩美さん:

世間話をしながら、「子供が障害があるかもって言われた」とか、「不登校で」って言うと、「こういう所もあるから行ってみる?」みたいな、地域の資源を回していくのがフードパントリーですね。

「コミュニティフレッジ」をやる時に、それができないっていうのが、ちょっと頭を悩ましたんですけれども、実は「話もしたくない」っていう人もたくさんいるんですね。まだそこまで心が開けないような方とか。

そういう方は、まずはコミュニティフレッジを窓口にして、少しでも食べ物でゆとりが出てきたら、年に1回位は面談をさせていただいて、人と人との繋がりっていうのが出来ていくといいよねっていうようなところを、今、色々と話しています。

確かに、人に話すのを躊躇してしまったり、相談もしたくないという人も少なくないようです。そうした人に、入口としてコミュニティフリッジに来てもらい、いつか話ができたらと話していました。

選択肢が増えたことで、今までよりも、少し、多くの人が、救われる可能性が広がったようですが、 「子ども食堂」に、「フード・パントリー」、そして今度は「コミュニティ・フリッジ」。こうした支援が増えるということは、それだけ苦しんでいる人が多いということでもあるので、こうした支援に任せきりにせず、国や自治体には、根本の貧困、格差の問題に取り組んで欲しいものです。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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