最速の梅雨明け、だけど戻り梅雨。どうなってるの?

森本毅郎 スタンバイ!

今年、関東地方は、観測史上最も早い、6月27日に梅雨明けが発表され、その他、東北北部以外の地域もみんな6月中に梅雨明けしてしまいました。6月中の梅雨明けは初の地域も多く、全国的に猛暑日が続きました。しかし、7月に入ってからは、また雨雨雨・・・。この週末、宮城県では、梅雨の末期のような大雨が降り、堤防が決壊するなど被害が出てしまいました。

梅雨明けの後に、梅雨のような天気が戻って来ることを、「戻り梅雨」と言うそうですが、
どちらかというと、梅雨は明けていなくて、あの猛暑の日々は「梅雨の中休み」だったのでは?という素朴な疑問について調べてみました。

■暑さへの警戒のための梅雨明け!

まず、「戻り梅雨」と「梅雨の中休み」はどう違うのか?今年「中休み」としなかったのはなぜか?気象予報士の池田沙耶香さんに聞きました。

気象予報士 池田沙耶香さん

●「基本は同じです。どう捉えるかということですよね。一回明けちゃって戻ってきた、って捉えるか、梅雨の中の休みだね、と捉えるか。もともと、梅雨入りとか梅雨明けの情報って、大雨へ備えてほしいという防災目的で発表している部分があるので、大雨のリスクがあるときには、梅雨明けしないだろう、とちょっと思っていたんです。ただ、あまりにも気温が高い予想が出ていまして、6月中なのに40度予想っていうのが出てきたんですね。で、6月中に40度超えたことって、これまでなかったんですよ、全国で見ても。それくらい異常な暑さが予想されていたので、その雨への警戒ももちろんなんですけれど、今年はまず暑さへの警戒が先だった、ということですね。で、さらに、あまりにも早い梅雨明けということで、ちょっと話題にもなりますよね。そうすると、「あ、それだけ異常なことが起きてるんだ」ってみなさんちょっと思ったと思うんですね。そういう意味では、私は暑さへの警戒を、特にしてほしかったのかな、と思っています。」

「戻り梅雨」も「梅雨の中休み」も気象状況は基本的には同じということでした。(晴れ間が、梅雨明け宣言の前か後。)梅雨明けは、太平洋高気圧が活発になり、梅雨前線を北に押し上げていくことで、梅雨明け、と判断されるのですが、池田さんによれば、6月の梅雨明けの時点で、そうした典型的な形になっており、あの時点で梅雨明けだったと見ることはできる、ということでした。ただ、その後、急激に発達していた太平洋高気圧が、弱まることも予想されていたので、梅雨明けはしないのでは、と思っていた、というお話もありましたが、今年の梅雨明け宣言は、異常な暑さへの警戒を呼び掛ける狙いがあったのではないか、ということなのです。(実際、6月の全国の熱中症の搬送者数は、過去最高の倍近く、1万人を超えました。)

しかし、戻ってきた梅雨でこれだけの被害が出た、となると、梅雨明け宣言は早過ぎだったのではないかな、とも思えます。

■大雨の梅雨、極端な晴天の中休み

そこで、梅雨の専門家は今年の梅雨をどう見ているのか、聞いてみました。熊本大学大学院、地球環境科学分野・准教授の冨田智彦さんのお話です。

熊本大学大学院先端科学研究部・基礎科学部門地球環境科学分野 准教授 冨田智彦さん

●「私自身も、極端な晴天が梅雨の合間に起こったと、いうようなことではないか、という風に考えています。ここ数年、集中豪雨、梅雨時に大雨が降る、というようなことが言われておりますが、その裏返しのような形で、極端な晴天日が起こったのではないか。もう梅雨明けにせざるをえないような晴天日が起こったのではないか、みたいな風に、今のところ考えておりまして、一般的に地球温暖化が進むと、例えば、雨が降るところではさらに降るようになる、降らないところではさらに降らなくなる、時間的にも、降るときにはドッと降る、降らない時には全く降らなくなる、みたいな、空間とか時間的なメリハリがハッキリしてくるようになるっていう風に言われておりまして、まあ、そういう一面が出たのかな、という風に、今のところ考えています。」

地球温暖化の影響で、梅雨明けにせざるをえないような極端な晴天が起こった。そして、せざるをえなかったから梅雨明けしたけれど、結局、いつものような梅雨に戻っている。そう考えると、あの晴天は、極端な晴れの「梅雨の中休み」、なのではないか?と、冨田先生は考えているのです。「しとしと降るのが梅雨」というイメージでしたが、梅雨どきの雨は豪雨となり、中休みの晴れ間は、猛暑になってきている・・・。

■梅雨のイメージを変えなければいけない!

つまり、日本の梅雨は変わってしまったのですか?と聞くと、こんな答えでした。

熊本大学 冨田智彦准教授

●「私も、長々と梅雨の研究をしているんですけれども、ここ数年、かなり、これまで無いような梅雨が起こっているので、梅雨のイメージを変えていくというか、こういうものが梅雨である、というような形で、少しずつ経験的な知識だとか、イメージみたいなものを更新していく必要があるのかなという風に思っています。経験に基づいて、梅雨が明けたら、青空の盛夏がやってくるみたいなイメージなんですが、ちょっとそのあたりは、崩れてきてるのかなという印象ですね。特に、大雨に対する備え、ここは大事かなと思います。梅雨明け後に、大雨が降ってたりしますので、それから8月に入りますと、今度はもう台風シーズンですね。なかなか気の休まる時がないと言うか、備えを緩めるような時が、無くなってきてるのかな、という感じはしています。」

冨田先生のいる九州北部では、去年5月10日ごろ梅雨入りして7月中旬に梅雨明け。しばらく晴れて、7月下旬から8月上旬にかけて、梅雨の戻りで大雨が降りましたが、8月7日立秋を過ぎると、梅雨と言わず「秋雨」となる。つまり梅雨と秋雨が繋がっていた。こういう雨は、冨田先生も経験がなく、梅雨が変わってきていることと、大雨に警戒しなければ
いけない期間がこれまでよりも長くなっている、ということを実感したそうです。

情緒のある梅雨は、今は昔。我々も、梅雨といえば「アジサイが雨に濡れて」とか、梅雨明けが発表されたら、「青空の夏が来る」といった梅雨の知識やイメージを更新して、大雨への備えをしっかりしないといけませんね。(この記事の挿絵も、私の梅雨のイメージの現れですね。しっかり上書きしなければ!)

 

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・リポート:近堂かおり) 

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