ゴルフはつねにマサカが起こる屋外スポーツ~青木功さん

コシノジュンコ MASACA

青木功さん(Part 2)
1942年、千葉県生まれ。1961年にプロ入りし、1971年の関東プロゴルフツアーで初優勝。以来、日本ツアー賞金王アメリカPGA優勝など国内外で数々の成績をおさめ、2004年には日本人男子初の世界ゴルフ殿堂入りも果たしたゴルフ界のレジェンドです。2008年に紫綬褒章、2015年に旭日褒章を受章。

出水:青木さんは千葉県我孫子市の生まれですが、子どものころはどんな少年だったんですか?
青木:野球少年です。草野球でピッチャー。皆さんご存じかどうかしらないけど、最初は三角ベースなんですよ。一塁三塁しかなかった。メンバーも10人ぐらいしかいないから、5人ずつ分かれてやるんで。人が増えるとセカンドベースを作るんですよ。

JK:ああ、そうなんですか! 三角! 早く終わっちゃうわね。

出水:ピッチャーというのも自然な流れ? 他の子よりも肩が強かったんですか?

青木:強かったというよりも、何も遊ぶものがないから。小学校2年から野球やってます。今80ですから、もう73年も野球やってます(笑)

JK:野球をずっとやりたいっていうのはなかったんですか?

青木:ありますよ。中学の時に野球をやってて、いずれは高校に行ってプロ野球選手になりたいなと思ってた。これを勝つと県大会に行けるという試合で、2アウト一三塁で私がリリーフで出て、監督は「フォアボールでもいいからクサいところに投げろ」と。三塁ランナーは走らないなと思ってたんだけど、投球モーションをしたら走り出して。そしたらパスボールで、2対1で負けてしまった。

出水:あぁ~・・・

青木:結局団体ゲームは合わないんですよ。「俺がど真ん中に投げたのに、なんでパスするんだよ!」なんて言えないでしょ?? それでその時、やらなきゃいいものを、ユニフォームとか全部ガソリンかけて燃やしちゃったんですよ。

出水:えぇ~! なんて激しいΣ(・□・;)

青木:あまりにも悔しくて。そしたら親父にめっためたに怒られて。「お前なんか自分で勝手に生活しろ!」って言われて「いいよ!」って(^^) 言っていいのかわからないけど、それから学校に行かなかった。実家の近くにゴルフ場があって、親から小遣いをもらえないから、自分で稼ぎにいった。そこから病みつきです。 

JK:近くにあってよかったですね! 身近にあるっていうのは縁ですよね。

出水:初めてゴルフというスポーツを間近で見た時の印象や衝撃は覚えていますか?

青木:いや、キャディをやってればお金がもらえる、自分でやってもお金はもらえない、という頭ですからね。ある時お客さんがチョロをやっちゃったんですよ。ガキの頃だからウフフと笑っちゃって、お客さんに怒られて。でもそういう時に限って、そのお客さんに「お前打ってみろ」って言われて。やってみたら空振りですよ。そしたら、その人に大笑いされて。「クソ~! 当たるまでやってやる!」と思ったのがゴルフの始まりです。

JK:へぇ~! 悔しさがつねについていたのね。

青木:他人を笑うと、自分もやられるんだなっていうのがよく分かりましたよ! だってやったこともないのにやれって言われて。小遣い稼ぎにいってただけですからね。だから今度は、「あのオヤジに笑われたから、なんとか当てられるようになろう」と思って練習した。普通とは逆ですよね。

JK:その人に感謝しないと(^^)

青木:感謝してますよ! 言っていいかわからないですけれど、新橋の料亭「金田中」の先代の岡添哲夫さんです。コシノさん知ってるかどうかわからないけど、ケネススミスっていうものすごい高いクラブがあったの。「お前がプロになったら買ってやる」って言われて。プロになって電話したら「1勝してから」と言われ、1勝してまた電話したら「5勝したら」と言われ。結果的に最後まで買ってもらわなかったんですけど、そうやって応援してくれた。その人がいなかったら、私はゴルフやってない。

JK:ちょっとしたことが大きな縁ですね! 

出水:少年としてゴルフを始めようとなると、クラブが必要になるじゃないですか? 

青木:クラブを買おうと思って、キャディで貯めて、親父に言ったら「やる気があるなら買ってやる」って。たいして給料も高くないのに。それで2人で半年ぐらいかかって貯めたかな。親父が買ってきてくれることになって、家で待ちながら見たくて見たくてしょうがなくてね。帰り道まで行って、親父が自転車で帰ってきたその後ろに乗っかってね。そのクラブでプロになったんです。

JK:ずーっとそのクラブ1セットで? いい親子ね! 青木さん、いっぱい思い出あるとおもうけど、これは最高!っていうのと、これは最悪!っていうマサカは?

青木:最悪っていうのはあまりないね。どっちかっていうと、私が1983年にハワイオープンで3打目が(カップに)入っちゃったっていうのはマサカ!という感じですよね。予期しないことがマサカでしょ?

JK:そうね、味方になってくれるというか。計算じゃなくてね。

青木:屋外のスポーツなんで、どっちかっていうと自然が味方してくれる。つねに勝利の女神じゃないけど、ついて回っていると思うんです。極端な話、「ウソだろ、俺がミスしたショットが木に当たって(グリーンに)乗った」みたいな。そういうことが起きる屋外スポーツなんですよね。

JK:すごい嵐とか、風とかでもやるでしょ。

青木:程度にもよりますけど、グリーンで風が強くて、ボールのマークが動くようになると中断します。だって変な話、高いところから勝手にホールに入っちゃう場合もあるし。バンカーに入ったと思ったら、コロンと出ていい結果になったり。だから私はゴルフじゃなくて「ゴロフ」って言ってます(笑)

JK:ゴロフ(笑)ゴロゴロ転がるわけね。

青木:今年の全英オープンがちょうどセント・アンドリュース150回大会なんですよ。私も解説に行くんですけど、あのコースは150年でティーグラウンドを長くした程度で、コースを改造してない。人間が作ったコースですよ! 考えられない。

出水:周りに伝統的な建物もあるコースですよね。

青木:200年まで絶対変えないでしょうね。まぁ聖地ですからね。あそこで今でもゴルフやれる人たちは幸せだと思うよ。私も5~6回プレイしましたけど。

JK:1回見てみたいわね。あそこに入るだけでも大変なことよね。

青木:やっぱり歩いていくから健康になるし、足腰弱いと楽しみも半減しますよね。プレイヤーは限られたところでやるわけだけど、見る方は外周を回るんですから。1回り1km
ぐらいのところを1.5kmぐらい歩く感じですから、そうとうスタミナがないと難しいんじゃないかな。

JK:ゴルフ以外にどんなことしてるんですか?

青木:ゴルフ以外ね・・・今は考えられない。もしやるとしたら釣りですね。釣りはやっぱり、自分の考えだけど、竿を出して浮きを見てると集中力が高まる気がします。せっかちなほうですから、そうやって1日やり終えた達成感が好きだね。

出水:釣りにもゴルフに通じる何かを得ようとしているんですね(^^;)

JK:奥様ともいいチームですよね。

青木:そうだね、俺は自分主体でゴルフやってるので、周りの人は相当大変だと思う。うちの女房にしても子供にしても。自分勝手すぎるから。でも、たまに爆弾落ちますよ! 

JK:野球のポジションでいうと、奥様はキャッチャーですか?

青木:全部を見た渡せるからキャッチャーかもしれない。そこで余計なことをいうのが娘だね。「お父さん、あれはね」って口出ししてみたいんでしょうね。そうやって見てみると、ゴルフで生活してきた中で「この人がいたから」っていう人は何十人もいるけれど、最終的にたどり着くのは家庭ですね。女房は「言いたくないけど言ってる」とは言いますけど、半分は言いたくて言ってるんだと思う(笑)

JK:愚痴じゃなくて、感謝してください!

青木:感謝してますよ! 感謝してるから愚痴が出るんです(^^) 

JK:まだまだお若いですけど、これから何をやりたいですか?

青木:そうですね、やっぱりプロゴルファーなんで、これからも若い人たち、ジュニアの人たちが希望を持つことに対して、苦労を苦労と思わずに道を1つに絞っていける人がいたらいいなと思いますね。スポーツを通じて、みんなで和気あいあいとできるクラブ生活が出来たらいいなと思います。
 


 

==OA曲==

M.  おまえとふたり  /   五木ひろし

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