「ガクチカ」 がない!就活生の悩みから見えてくる、日本の就活の問題点

森本毅郎 スタンバイ!

就職活動の採用面接で必ず尋ねられるのが、「学生時代に力を入れたこと」、略して「ガクチカ」。コロナ禍の就活生たちは「ガクチカ」に悩まされているということで取材しました。

 

■大学生活の大半がコロナ禍で、「ガクチカ」がない! 

数年前から、学生の間で当たり前に使われている言葉「ガクチカ」が、いま大学生にとって、悩みの種になっています。どういうことか。昨年就活を行った、立教大学法学部の4年生、川原紀春(きはる)さんに伺いました。
 

立教大学法学部4年生 川原紀春さん:

フリーペーパーを作るサークルだったんですけど、コロナの影響で配布できなくなったので、そもそも作らないってことになって、サークル活動ができなくなったんですよね。

アルバイトも、ホテルのアルバイトをやってたんですけど、コロナの影響で全くもう結婚式とか宴会がなくなってしまったので、アルバイトも入れなくなってしまって、自分がやっていたものが全部できなくなって。

だんだん就職活動を意識する中で、やっぱりがガクチカが一番大切って。ガクチカ、ガクチカってよく聞くので、めちゃくちゃ悩みました。

面接でも絶対聞かれます。「また来たか」って毎回なんですけど、もうないので何も言えず、悔しいまま終わっちゃうっていうのが、結構多かったですね。

これまで「海外留学で異文化交流した」「サークル代表で仲間をまとめた」といったアピールが定番でしたが、コロナ禍で思うような生活を送れず、「ガクチカ」が作れない!と悩んでいるんです。

川原さんは社会貢献に興味があるようで、途上国支援活動や、フリーペーパーを作るサークルの代表を務めるなど、積極的な課外活動を行っていたようですが、大学1年の冬頃から、コロナの影響で活動を自粛。実績を作る機会がなくなりました。

そして、いざ就職活動を始めてみると、求められるのは、やはり「ガクチカ」。インパクトのあるエピソードがなくて選考も思うように進まず、非常に悔しい思いをしたそうです。

 

■学業を語らせる

この世代は、学生生活のほとんどがコロナ禍なので本当に大変ですが、一方で、サークルやアルバイトなどの課外活動ばかりでなく、「学業」を重視しようという動きが出てきています。中でも注目されているのが、「履修履歴データサービス」。株式会社履修データセンターの代表、辻太一朗さんに伺いました。

株式会社履修データセンター 代表 辻太一朗さん:

「履修履歴データベース」っていうのは、自分の成績表みたいなものを登録する場所です。

どんな授業を受けて、どういう成績で、何単位だったか、全部情報を登録して、それを自分の応募したい企業に送るわけです。

企業は、応募者のデータを見ることができて、ある程度評価の厳しさがわかったりするし、平均との比較ができるので、この授業はこうやったんです、というのが分かりやすいもになってます。

コロナ禍で大分変わったにも関わらず、無理して、話として面白い、課外活動を一生懸命説明しているというのが、今の就活生が困っているところ。

学生の人は、学業のことを色々言ったら良いよというのを、言ってもらう企業が多くなっています。

学生の本分である「学業」こそ、学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)ということで、どんな科目を選択したか、どんな成績だったかといった自分の履修履歴をデータベースに打ち込むと、そのデータを企業が見ることができるサービスです。

文系の事務職の場合はそもそも、選考時には専攻科目すら話題にされないことも多いのですが、「なぜこれを学んだのか」、「その時どう受けとめ、どう行動したのか」というように、このデータを面接のきっかけにすることで、個性を引き出すことができます。

株式会社履修データセンター 代表 辻太一朗さん

 

■学業に影響が出る就活スケジュールに疑問

他にも、こちらの会社では、「コロナ世代の就活を応援する会」を立ち上げて、様々な業界に、学生に無理のない質問や、採用手順を見直そうといった呼びかけをしていたり、選考のあり方を工夫する動きが出てきていますが、冒頭の学生の川原さんは、ガクチカで悩み、こんな決断をしたそうです。

立教大学法学部4年生 川原紀春さん:

1年間、就職活動だいたいやっていたんですけど、ずっとモヤモヤモヤモヤしていて、思い立って、休学することを決めました。

企業とかをもっと見てみたいなというのはずっとあったので、じゃあインターンしようということで、いま株式会社クラダシで長期インターンを始めました。

すごく勇気がいりました。でも課題とかテストとか、いっぱい追われる中で、またそこに就職活動が入って。その就職活動のために何かやらなければいけないのが、大学生の中では結構あって…。

勉強が疎かになったり、就職活動、就職活動って考えすぎて疲れてしまう子が多いと思うので、もうちょっと余裕のあるやり方っていうのがあったら、すごく良いなと思います。

なんと半年間の休学を決めて、その期間中、食品スタートアップのクラダシという会社でインターンをすることを決意したそうです。実は、学生時代、不完全燃焼で、経験を積むために休学する人は川原さんの周りにも複数いるということですが・・・

就職のために「ガクチカ」が必要、その「ガクチカ」のため、本業の大学を休学する、というのが、果たして正しいのかどうか。

日本の企業の採用活動は、学生の方々にとっては、負担の重い、ゆがんだ仕組みになっているようです。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

ツイート
LINEで送る
シェア
ブクマ