住宅弱者の家探しをサポートするコンサルタント会社

人権TODAY

今回のテーマは…住宅弱者の家探しをサポートするコンサルタント会社

“住宅弱者”とは…

生活保護受給者や高齢者といった、経済事情や年齢などの理由から賃貸住宅への入居を断られてしまう人たちのことを“住宅弱者”と言います。そうした方々のサポートを行っているのが「Well-being.Tokyo株式会社」の代表で、宅地建物取引士などの資格を持つ、柿本志信(かきもと しのぶ)さんです。住宅弱者の方が、支援団体などからの紹介を受け、柿本さんへ相談が行くと、その住まい探しに動きます。

「不動産の賃貸仲介業務と、原則は同じです。その方の希望に合った物件をまずざ~っとリストから検索していって、その上で電話をする時に、「そこの物件は生活保護の方をご相談出来ますか?」と聞いてOKであれば、まず1回内見などお連れして、お気に召していただいた場合は申込書を出すと。そこから先、やっぱり生活保護の方であったりとか低所得者の場合ですと、通常のサラリーマンの方に比べますと、証明書類が大量に必要になってきますので、そういうことの準備をしたりしながら、徐々に徐々に進めていきます。」(「Well-being.Tokyo株式会社」代表 柿本志信さん)

それぞれに抱えている事情や困っていることなどは、千差万別。柿本さんは一件一件、一人一人に寄り添うように、問題の解決に取り組みます。現在東京23区の内、豊島・練馬・板橋の3つの区を中心に、時には都内の他の地域や近くの県まで物件探しのお手伝いをしています。そして最近の“住宅弱者”は、“格差社会”の進行と共に、すでに2年以上に及ぶ“新型コロナ禍”の影響が大きくて、こんな傾向があると言います。

「いま私が扱っている中ですと、60歳を越えてる方は、案件として抱えているのは1件だけです。残りは全部還暦未満の方ばかりです。会社自体が倒産してしまって、あっと言う間に無職になって、年収1千万円あった方が、半年後には生活保護に申請しに行くなど。」(「Well-being.Tokyo株式会社」代表 柿本志信さん)

そうなると、当然持っていたマンションなども手放さざるを得なくなるわけです。また会社の寮などに住んでいた方は、会社が潰れたり解雇されたりすると、住む場所を失ってしまいます。そうした方々が新たに暮らす物件を探す際には、困難が付きまといます。

貸し手の誤解

生活保護を受給している40代後半のある男性は、不動産業者とのやりとりについてこんな証言をしてくれました。

「私が生活保護ということを伝えた途端に、それまで丁寧に対応していただいていた職員の人が、『あ、ちょっと待って下さい。大家さんに今電話してみますね』ということで、私の目の前で電話を掛けたフリをして、大家さんと話してるようなフリをして、『ああ、すみませんでした。大家さんに確認しましたところ、生活保護の方はちょっとお断りしたいということですね。今回は申し訳ありません』と断られました。それが2回や3回ではありませんでした。」(40代後半の男性)

この男性は、15年前に仕事の怪我で障害を負って以来、他に持病もあって、働くことが困難になり、生活保護を受給するようになりました。長らく古い木造アパートに住み続けましたが、共同トイレで風呂もエアコンもないため、転居を図りましたが、うまくいかず、柿本さんに相談。この6月にユニットバスとエアコンの付いた部屋にようやく引っ越すことができました。大家さんや管理会社の中には家賃の未払いなどを心配して、生活保護受給者に物件を貸すのを躊躇する場合があります。家賃は、生活保護受給者本人からではなく、各自治体の福祉事務所が代理で振り込む制度もあるのですがそれを知らず、そうした対応になることが少なくないようです。

柿本さんがかつて勤めていた不動産会社も、生活保護受給者など弱者に対して、物件の紹介を行うことを避けていたそうです。そんな時に柿本さん自身が病気になって、一時期半身不随に。仮にこの状態で物件探しを行ったら、紹介してもらえない会社に、自分が勤務していたことに気付いたといいます。そうした経験から2017年「Well-being.Tokyo」を設立しました。そんな柿本さんは、自分の仕事について、こんな風に語ります。

柿本さんの仕事とは…

「要は“翻訳係”ですよね。相手が不動産業者なんで、こっちは支援団体。使ってる言葉が、単語が同じでも意味合いが全然違うんですよ。そこの“通訳”すら、今は全然居ないに近い状態。なので、そこをうまく “翻訳”しただけで、解決することも多くて。」(「Well-being.Tokyo株式会社」代表 柿本志信さん)

例えば、家賃の支払い・引き落としなどは、通常毎月の終わり。しかし生活保護の支給は月はじめなので、タイミングが合いません。その辺りを掛け違ったままだと、大家さんは「ちゃんと払ってもらえない」と不安に襲われてしまいます。借り手の側も、コロナ禍での失業や不動産業者からの門前払いなどで、精神的に不安定になっている場合が多く、ちょっとしたことでトラブルに発展することが少なくありません。

そうした間を埋め、相互理解を深めるための“翻訳業”“通訳”を自認する柿本さんの仕事は、通常の不動産業務のように、物件を見付ければ、終わりとはなりません。千差万別様々なケースのトラブルに対応し、また未然に防ぐべく、細やかなフォローを行いながら、行政の援助の充実、貸し手の側の理解が深まることなどを強く望んでいます。

★Well-being.Tokyo株式会社 
URL:https://www.wellbeing-tokyo.com/ 
Eメール:s.kakimoto@wellb.tokyo
FAX : 03-6685-8237

担当:松崎まこと(放送作家/映画活動家)

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