ついに値上がりのもやし。それでも苦しむもやし業者と…

森本毅郎 スタンバイ!

選挙は終わりましたが、買った党は物価高を少しでも改善してくれるのかどうか。岸田総理は、政府の対策について「国民が不十分だと思っているのは当然」だとして、今後の対策を検討する方針を示しましたが、最近は、安い野菜の代表「もやし」もついに値上げになってきています。

 

■もやし、ついに値上げ

まずは、もやしの値上げの現状について、茨城県でもやしを生産する旭物産の林正二社長に伺いました。

旭物産 社長 林正二さん:

具体的な金額でいきますと2円前後、1袋あたりですね、値上げをお願いしているという形です。いや、なかなか苦しいですね、はっきり申し上げまして。

原料価格が過去最高の価格まで上がってしまった。あと生産コストですね、燃料、電気、その他もろもろ、物流費も含めて。両方とも上がってしまったと。

もやしの原料は「緑豆」という、緑の豆という字を書くんですけどもね、ほとんどが中国から輸入される豆です。緑豆の価格がですね、ここ十数年の間に3倍ほどの金額になりました。直近の話でいきますと、3~4年前まではですね、1トン当たり大体20万円前後。

今年はといいますと、1トンあたり33~34万まで上がってますね。もうその我慢の限界を超えたというのが今の状態です。

スーパーに売る金額が1袋2円程度上がったということですが、こうした製造業者が増えているのか、それを仕入れて売るスーパーの店頭のもやしも、3円とか、高いところでは5円とか、値上がり。

その背景にあるのが、最近の燃料価格の高騰、そして原料となる「緑豆(りょくとう)」の値上がりだそうです。

緑豆は、ほとんどが中国産ですが、中国の経済成長によって、中国国内では緑豆をやめて、より高く売れる野菜に転換するの家が増えているということで、緑豆不足で価格が高騰しているそうです。

さらにこの2年は、収穫の9月に雨が多く、質のいい緑豆がとれなかったこともあって、値上がり。数年前1トン20万円で仕入れていたのが、14万円値上がりし、今は34万円にまでなったということでした。

 

■もやしはスーパーの看板商品

ちなみに、1トンの緑豆からは、200グラムのもやしが5万袋、作れるそうですが、単純計算すると、1袋あたりの緑豆の値上がり分は、14万円÷5万袋で、1袋2・8円。このほか、燃料代の値上がりも考えると、1袋2円の値上げでは赤字のはずではないか?伺うと、やはり「もやしは赤字状態」!ただ、値上げしたくても、あげられないそうです。どういうことか、林社長に伺いました。

旭物産 社長 林正二さん:

スーパーマーケットとしましても、今いろんなものがどんどん値上げが続いてる中で、もやしの価格は低く抑えたいという思いはあるわけです。

私どもも、スーパーさん側の状況というのは理解してますので、スーパーさんとして、このぐらいまでは飲んでもらえるんじゃないかというような想定の金額というのを出すわけですね。

それは決して我々が「利益を出せる金額」ではなくて、「赤字を最小限に食い止めることができる金額」を提示するわけですけども、それを飲んでくれるスーパーもあれば、それは厳しいとなり、話しができないところもあるわけですよね。

大きな食品メーカーは、一方的に「何%上げます」で、値上げができるわけですけども、私どものような小さな企業の場合は、一方的に上げたら、何考えてるんだという部分で蹴っ飛ばされてしまうと。

やっぱり交渉の上で金額が決まるというようなシステムになってるわけで。

実はもやしは、スーパーで一番売れる野菜とも言われています。

その分、値上がりは、集客に響くこともあり、スーパー側も、もやしは値上げしたくない。となると仕入価格を上げるわけにはいかないということで、林さんらもやし業者がお願いしても、 なかなか受け入れてもらえないという苦しい状況にあるようです。

では、もやし業者は、スーパーを恨んでいるかというとそうでもなく、スーパーも、お客さんに逃げられないように、もやしの仕入れの値上がり分を飲み込んで、店頭価格は値上げしないで頑張っている所もあるので、もやし業者、スーパーともギリギリの攻防となっていて、林社長は「みんな苦しんでいる構造」と話していました。

しかも、再値上げ、再々値上げしている大手スーパーのようには、値上げできない苦しい状況…。

 

■電力は値上げ

こうなってくると、遠慮なくどんどん値上がりする価格とはどういう仕組みなのか?どんどん値上がりする代表格の「電気代」について、電力問題に詳しい、環境エネルギー政策研究所の所長、飯田てつなりさんに伺いました。

環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也さん:

一番大きいのは、「燃料費調整制度」。

原油代、ガス代、特にガス代が上がってるんですが、上がった部分がスライドで、そのまま電気料金に「燃料費調整制度」として乗ってくると。特に「燃料費調整制度」は、自由化になってもそのまま生き残って適用されていますので。

あとは、新電力が価格が今非常に高騰しているので、「上げても大丈夫だ」と、東電をはじめ、既存の大手の電力会社は、稼げるときに稼いで内部留保を溜めるという方向になって、昔の公益事業と言われた公益性のところは、経営の中ではかなり今薄くなってきてるんじゃないかというふうに思います。

原価に一定の利益を乗せて売る「総括原価方式」は、電力自由化の中で廃止になったはず。

ところが、この「燃料費調整制度」はしっかり残っていて、燃料代が上がれば、値上げできる。

大手電力のこの仕組みはおかしい、ということでした。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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