黒潮の大蛇行。今年の夏、注意すべきこと!

森本毅郎 スタンバイ!

今年の関東地方は、観測史上もっとも早く梅雨が明け、しかもこの暑さ。最近は、海も賑わっているようですが、そんな中、気になったのが、沖縄や鹿児島で相次いでいるサメの目撃情報。

■関東の海も大型のサメが来る可能性あり

人を襲った例もあるオオメジロザメが例年より多く住宅街の川などに現れているので、関東の海は大丈夫?と専門家に聞いたところ、このサメは関東付近には生息していないので大丈夫。なのですが・・・。ということなのです。サメの生態に詳しい、東海大学海洋学部・准教授の堀江琢さんのお話です。

東海大学海洋学部・准教授 堀江琢さん

●「黒潮流域に、別の大型の、人を襲う恐れのあるサメが生息しているんですけれども、大型の3メートルを超えるようなサメが生息しているんですけども、その黒潮が、今、大蛇行によって、駿河湾あたりに向かって北上して、かなり接近している、という状況です。そして、その分流が、関東、神奈川とか相模湾、そちらの方に向かってますので、そういった流れに乗って、大型のサメが来る可能性は考えられる、というのはあります。実際に我々が調査してるんですけれども、駿河湾の方で、例年あんまり見られないような外洋性のサメが、ちょっと多く見られてますので、今後注意が必要かな、とは思っています。そうですね、例年ですと、一個体見れるか見れないかぐらいなんですけども、ま、30年位ずっと追ってるんですけども、今年は、もうかなり十個体以上は来てますし、今まで見られなかったイタチザメの子どもなんかが入ったりしてますので、その辺りはちょっと今、気にはしてます。」

 

黒潮の大蛇行の流れに乗って、普段は沖合にいるようなサメが沿岸に寄って来ているのだそう。関東近くの黒潮流域には、イタチザメ、アオザメ、ヨシキリザメ、といった3メートルを超える大型のサメが普段から生息はしています。イタチザメは6メートル位になる獰猛なサメで、ホオジロザメに次いで危ないサメ、と言われています。

堀江先生は、「人が賑やかにしている海水浴場はサメの方が逃げると思いますが、海水浴の時は、サメの影が見えたときはもちろん、小魚がバシャバシャと跳ねたりしているときは、だいたい魚は追われていて、そういうのにサメはついていたりするので、そういう時は水から上がるなど注意してほしい」とおっしゃっていました。気を付けてくださいね!

■黒潮の大蛇行の支流が関東東海の沿岸に!

そのサメが乗って来る黒潮の大蛇行ですが、大蛇行の潮の流れ方について、最近新しく分かったことがあるんです。海水温を見て黒潮の大蛇行を調査している、東北大学理学部准教授の杉本周作さんのお話です。

東北大学大学院理学研究科・海洋物理学分野・准教授 杉本周作さん

●「黒潮が大蛇行するときは、紀伊半島から南に大きく舵を切るので、関東東海から大きく離れたところを流れることになりますので、今までの考えでは黒潮が遠くに逃げてしまうので、関東東海そばの海は冷たくなると考えられていました。ところが、最近の観測データ、人工衛星のデータなど、どんどん新しいの出来ていますので、それを詳しく見てみると、実は沿岸に限ってはそうではない、つまり冷たくならずに、むしろあったまってる、ということが、私たちの研究で明らかになりました。観測の技術が上がったということを反映するんですが、ただ、ほんと久しぶりに、12年ぶりに起こった大蛇行だったので、もう一度整理をしてみようと思ってやっていたら気づいたというところですね。」

黒潮の大蛇行は、黒潮と本州南岸の間に、大きな冷水の渦の塊が居座ることによって、黒潮が迂回して流れる現象で、その塊のある紀伊半島から東海沖で大きく離岸します。温かい黒潮が遠くなるから、関東東海そばの海は冷たくなると考えられていたけど、逆に沿岸はあったまっていたのです。冷水の渦に沿って流れてきて、房総半島沖へと流れる黒潮ですが、その冷水の渦に巻き込まれる形で分岐した温かい水が、関東東海地方に沿って流れる支流のような流れがあり、そのせいで関東東海の沿岸の海があったかくなっている!ということが、杉本先生たちの研究で明らかになったのです。

黒潮から離れた温かい水を送り込む分流で、沿岸の海は温まるし、サメも沿岸まで、それに乗ってやって来る可能性がある、ということなのです。

■沿岸に黒潮で、水蒸気が多くなり・・・

しかし、この新しく見つかった分岐した潮の流れは、他にこんなものも連れてくる、と分かりました。再び、杉本先生のお話です。

東北大学大学院理学研究科・海洋物理学分野・准教授 杉本周作さん
 

●「沿岸が温まることによって、多くの蒸発が起こります。そしてこの蒸発した水蒸気が風に乗って、すぐそばにある関東・東海地方に運ばれます。水蒸気というのは強い温室効果気体ですので、関東地方の上にたくさんあることによって、地面から宇宙に逃げて行こうとする熱をブロックしてしまい、逆に今度、その熱をまた地面に押し返す、押し戻すという温室効果が作用します。で、一日の中でどこが一番影響が出やすいか、という見方をすると夜なんですよね。一番地面の熱を逃がそうとするのは夜なんですよ。それをやっぱり水蒸気がそうはさせないんですね。なので、夜はいっそう冷えなくなってしまう、という状態になると思われます。ま、大蛇行によって海が変わり、水蒸気増えて、結果、関東東海地方が温まる、猛暑になる、というのが私たちの研究の結果です。」

 

今年の夏は偏西風の蛇行やラニーニャの影響で、暖かい空気を伴う太平洋高気圧とチベット高気圧の両方が日本列島を包み込み、気温が上がりやすくなっている、と言われていますが、それに加えて、さらに、この黒潮の大蛇行による水蒸気が輪をかけて関東・東海地方を暑くするのです!!!今年の夏は思っている以上に、ホントーーーに暑くなる可能性が高いです。くれぐれもご注意を!

(TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」取材・リポート:近堂かおり)
 

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