東京新聞紙面連動企画・防衛費5兆円 暮らしに使えば・・・

森本毅郎 スタンバイ!

毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。今回のシリーズは今日が最終回。今日は6月3日の朝刊一面の記事「防衛費5兆円 暮らしに使えば・・・」という記事えお取り上げます。これは岸田総理が増額するとした防衛費を、暮らしの予算にしたら何ができるのか?東京新聞の記者が、独自に調査をしてまとめた記事で、非常に興味深かったので、担当の記者の方にお話を伺うことにしました。

 

■増額5兆円!?身近なものに置き換えて考えてみよう。

まずは、なぜこのような記事を書こうと思ったのか、そのきっかけについて、記事を書いた、東京新聞政治部の村上一樹さんに聞きました。

 

東京新聞政治部 村上一樹記者

●「キッカケが大きく分けて二つあったんですね。一つはロシアによるウクライナの侵攻をきっかけに、自民党は防衛費をGDP費で、現状の1%程度から2%へ、大幅増額するよう政府へ要請しました。で、これ現状のGDP費、約1%で、5兆4千億円なので、倍増すると、5兆円規模で増額することになるんですね。ですけれども、5兆円と言ってもあまりに巨額で、ちょっと我々の日常では縁が無いため、身近な子育てや教育、年金、医療や消費税、こういった物で置き換えたら、どのくらいのことができるのか、規模なのか、といったことで考えてみようと思ったのが、きっかけです。もう一つキッカケがありまして、これは新聞の読者の方から寄せられた声なんですけれども、『物価高で生活は苦しいのに年金は減らされている。それなのに防衛費は大幅増額されるのか』といった声を多く頂きました。そうしたこともキッカケになって、今回の記事につながったわけなんです。」

5兆円といっても、想像つかない!という素朴な思いが記事のきっかけになっていました。しかし、政府側が『この額のお金であれば、こういったことができる』というものを出しているわけではないので、自分たちで調べて色々なものを参考にしながら算出しました。だから、取材自体はなかなか大変だった、と村上さん。

 

■年金・医療費・消費税・子育て教育なら、これができます!

では、さっそく、防衛費で増額しようとしている5兆円は、我々に身近なものに置き換えると、どのくらいのことができるのか、その調査結果を教えて貰いましょう。

 

東京新聞政治部 村上一樹記者

●「年金についてなんですけれども、現在受給者がおおむね4051万人いますので、この4051万人ひとりひとりに、急激な物価高の対策として、月1万円、年間12万円を上乗せして給付するとしたら、4兆8612億円で支給することができます。

あと医療でも、この5兆円に似た数字っていうのがあるんですね。厚生労働省の資料によりますと、2019年度の医療費のうち、国民の自己負担額というのが、5兆1837億円となっているんですね。つまり、5兆円あれば、医療費の窓口負担をほぼゼロにできる規模の額、ということになるんですね。

さらにあと、消費税で考えた場合なんですが、国の消費税の一般会計歳入というのが、約21兆5730億円なんですね。なので、5兆円あれば、消費税のおよそ5分の1、つまり10%から8%へ、2%引き下げることのできる規模のお金、という計算ができるかとは思います。」

色々なことができますね。他にも、子育て教育の施策に置き換えた場合も計算しています。これは、立憲民主党の試算を参考にしたそうです。

大学授業料の無償化は年間1兆8千億円で実現。

児童手当は、現在の中学までを高校までに延長し、さらに、親の所得制限を撤廃して一律で1万5千円を支払うとして、年1兆円でまかなえる。

小中学校の給食の無償化。末松文科大臣の国会答弁によると年間4386憶円で実現。

大学無償化・児童手当拡充・給食無償化、三つ組み合わせても、3兆円台で収まるんですね!というわけで、さらに、高校の授業料の無償化や、1、2歳児の小さい子供の保育料を
拡充していくこともできるのでは?と村上さんはおっしゃっていました。

 

■この5兆円は今あるお金の使い道、ではない!!

身近なものに置き換わると、5兆円というのが、いかにすごい額か実感します。本当に大変な増額!!しかし、この話を考える上で、ひとつ気を付けなきゃいけないことがあるんです、と村上さんはおっしゃいます。

 

東京新聞政治部 村上一樹記者

●「5兆円あれば、暮らしの様々な点で、こういった大幅な無料化とか負担の引き下げができる、というよりかはですね、そもそもそれだけの規模のお金の財源というのは、まったく目途があるわけではない、ということなんです。その5兆円が何か原資があるわけではない、ということになるので、防衛費をもし5兆円規模で増額するということは、例えば医療費で言えば、現在3割負担の人が、2倍の6割負担にしないと賄えない、ということなんですね。そこのところも、気をつけて考えなければいけないと思います。そういったお金をこれから増額しようと言った際に、防衛費として使っていくのか、それとも物価高の対策、暮らしの対策に考えていくのか、それぞれの政党がどのように考えてるのかというようなことも、ぜひ参院選ではみなさん、有権者のみなさんが一票を投じる際の判断材料にして頂ければと思っております。」

この増額の5兆円は、いまあるお金の使い道ではなく、どこかから持ってこなくてはいけないお金だ、ということです!!つまり、5兆円を我々が負担するとなったら、医療費で言えば3割負担の人が、倍の6割負担にしないと賄えないのです。5兆円は窓口負担をゼロにする規模のお金、それを生み出すにはさらに3割負担を増やさなければダメ、ということです!!

今回の記事は、非常に反響が大きく、たくさんの読者の反響の声が届いたそうで、やはり、身の回りの予算と比較したことが分かりやすく共感を呼んだのでしょうね。村上さんは、参院選に向けて、みなさんに考えてもらえるキッカケの記事となって非常に嬉しい、今後も、このような換算する記事、を考えていきたい、ということでした。

例えば、その参院選。投票率の低下が言われていますが、国政選挙は国の予算をどう使っていくかを考える選挙。そうすると、国家予算を有権者およそ1億人で割ると『一人当たり数百万円という額の予算の使い道を決める』と置き換えられますね、と。

私の一票は、数百万円の予算!を決める一票、と聞くと、しっかり考えてちゃんと投票しなければ!と思いました。

 

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)

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