聴覚障害者の国際スポーツ大会『デフリンピック』卓球日本代表が大健闘!

人権TODAY

今回のテーマは「聴覚障害者の国際スポーツ大会『デフリンピック』卓球日本代表が大健闘!」

耳が聞こえないアスリートによる4年に1度の国際スポーツ大会 「デフリンピック」が5月上旬、ブラジルで開催されました。「デフ」は英語で「耳が聞こえない」という意味です。本来は2021年12月に開催予定でしたが新型コロナ感染拡大の影響で延期となっていました。

障害者の国際スポーツ大会というと「パラリンピック」を思い浮かべるかもしれませんが、障害の程度によって細かくクラス分けされるなどルール上の工夫があるパラリンピックに対し、デフリンピックに出場する聴覚障害者は、身体能力そのものは健常者と基本的に変わらないため、試合のルールはオリンピックと同じ。ただスタートの合図でホイッスルの代わりにランプや旗を使うなど競技進行上の視覚的な配慮はされています。

今大会、日本勢は金メダル12個、銀メダル8個、銅メダル10個、合計で過去最多となる30個のメダルを獲得しました。その中で、卓球は女子団体で銀、男子団体で銅、女子ダブルスで銅と3つのメダルを獲得。女子団体とダブルスに出場した26歳の川﨑瑞恵選手と日本代表監督の梅村正樹さんにブラジルからの帰国後インタビューを行いました。※取材者は手話を使えませんが、お二人は補聴器を付けた上で私の口の動きをみながら質問に答えてくれました。

「今回でデフリンピックに出て3回目になるんですけど、前回は団体は3位ということで、今回は2位になって。女子ダブルスも1回戦から強い相手だったんですけど、メダルを取れたことが一番嬉しいです。」(川﨑瑞恵選手)

「特に男子は21年ぶりのメダルなので、実は自分が21年前にメダルをとって最後だったんで、僕が監督としてメダルを取らせてあげたいということを目標にしてたので嬉しさが人一倍大きいと思います。」(梅村正樹監督)

男女ともに大健闘。特に、男子が梅村監督の選手時代から21年ぶりのメダル獲得というのは快挙です。しかし悔しいこともありました。デフリンピック期間中に日本選手団の中で新型コロナウイルスの感染者が出てしまい、大会をまだ5日残す中、選手の健康を優先しやむなく出場辞退となりました。卓球も、シングルスの決勝トーナメントを辞退。梅村監督は「組み合わせ的にもメダルが獲得できそうだったので残念」と言っていました。

ちなみに今回、デフ卓球団体で男女ともに金メダルを獲得した強豪国がウクライナ。ウクライナは障害者スポーツ全般に対する国の支援が手厚く、デフリンピックの全競技をあわせた国別のメダル獲得数も世界1位です。ウクライナは今ロシアの軍事侵攻を受けていますが、デフ卓球ウクライナ代表について梅村監督は「特に今回は国のために頑張るという気合が伝わってきた」と言っていました。

ピンポン玉の音が聴こえないため、目が頼り

今大会の試合の映像は日本ろうあ者卓球協会のfacebook(https://www.facebook.com/JDTTA1995/)で一部見られますが、映像を見ても健聴者との違いは全く分かりません。しかし卓球といえばピンポン玉の特徴的な音。この音が聴こえないことはハンデにならないのか?川﨑選手に疑問をぶつけてみました。

「右のほうはまったく聴こえなくて、左は補聴器をつけてると聴こえるんですけど、卓球してる時はやっぱ補聴器をはずすので、全く聞こえない状態です。小さい時から耳が聞こえないので、あんまり耳に頼らないでやってきたので、あんまり気にしたことなかったです。」(川﨑瑞恵選手)

そもそもデフリンピックでは、試合会場に入ったら補聴器などをはずすという決まりがあります。なので、耳に頼るのではなく、とにかく目で判断。梅村監督も「相手の打ったところを見る」事を重点的に指導してきたといいます。

遠征費の3分の1は自己負担。金銭面の支援拡大が急務

デフ卓球日本代表は、次回2025年のデフリンピックでは金メダルを目指すと意気込んでいます。ただ、今後の競技発展にむけては選手のレベル向上以外にも、練習や試合にかかる費用をどう賄っていくかという問題もあります。梅村監督によると、以前と比べれば企業とプロ契約を結んで競技環境を整えられる選手も増え、川崎選手もプロとして活躍する選手の一人なのですが、海外と比べるとまだ遅れているとのこと。例えばデフリンピック会場への遠征費用の現状をこう話します。

「3分の2は国からのお金、3分の1は自己負担。僕も今まで選手として出てましたけど、今回が一番遠い所だったのと、プラス、コロナ対策についての費用もかかってるので、今回はすごく痛い出費かなと思いました。もっとスポンサーを集めないといけないのかなと思いますので、それはこれからの僕の仕事です。」(梅村正樹監督)

今回のブラジルへの渡航費も3分の1は自己負担。今大会のデフ陸上の金メダリストですらクラウドファンディングで遠征費を募っていました。この現状は、パラリンピックと比べても遅れています。次回2025年のデフリンピック向けては東京都が招致活動をしていますが、これからデフリンピックの知名度が上がり、選手たちを支援する動きも活発になっていくことを期待します。

(担当:中村友美)

ツイート
LINEで送る
シェア
ブクマ