倉庫業をまじめに拡張していく。「物流=運ぶだけ」にとどまらない安田倉庫の歩み

見事なお仕事
企業の“見事な”取り組みや新情報をお届けする番組『見事なお仕事』。ポップカルチャーの総合誌「BRUTUS」編集長を14年務め、カルチャーに精通する西田善太さんならではの視点で、企業の“見事なお仕事”の内容と秘訣を、インタビュー形式でうかがっていきます。

5月14日のゲストは、安田倉庫株式会社の藤井信行さん。ここ2年でスマホで買い物をする機会が増え、生活になくてはならない「エッセンシャルワーカー」として、物流の存在感が増しています。今回はそんな物流を支える安田倉庫のこれまでの歩みと大切にしている価値について、社長の藤井さんに直接伺っていきます。見えてきたのは、運送のみならず預かった商品のメンテナンスまで引き受ける、物流の新しいすがたでした。
 

物流とは「顧客の業務を担うパートナーになる」こと

西田 「倉庫」と聞くと物を預かっておくだけのイメージがありますが、安田倉庫さんは物流もメイン事業のひとつなんですよね。

藤井 はい。商品をお預かりするのはもちろん、それを届けるまでの一連の流れをお手伝いしています。ラベリングや検品などの流通加工分野から貿易まで、お客様のサプライチェーンの一端を担っているんです。

西田 商品の加工までやってくれるわけですね。具体的にはどんな商品を扱うことが多いんですか?

藤井 得意分野のひとつは精密機器ですね。

西田 そっと運んで大切に保管しなければいけないから、気を使いますよね。

藤井 その通りです。数十年前に外資系の企業が大型コンピュータの日本進出をした際に、うちの倉庫を拠点に選んでくださって。

全国に商品展開をしていくにあたっては、当然メンテナンスをしていく必要もあるので、パーツセンターとしての機能も備える必要があったんです。

西田 もはやその会社の業態の一部になるということですね。

藤井 はい。さらにそのノウハウを活かして、現在はメディカル系の物流も強みになっています。

西田 医薬品や医療機器の物流ですか。

藤井 メディカル系の保管には倉庫の温度管理や機密性、冷蔵設備などの厳しい条件があるんです。それをクリアしたら次は、配送にも気を使う必要があります。

手術などは急に決まることも多いので、前日にいきなり「明日の夕方までに九州に運んで」なんて言われることもザラです。なるべく早く、正確に、壊さずに持っていかないといけません。

西田 間に合わなかったら人の命に関わるし、責任重大ですね。

ただ物を丁寧に運べばいいってわけではなくて、安田倉庫はお客さんの仕事の一部を担って一緒にやり遂げるパートナーなんだ。

藤井 おっしゃる通りです。そのため、機械のソフトウェアなど中身に関しても詳しい人材を集めています。

また、物流事業者の中では珍しいのですが、安田倉庫では医療機器の修理業許可も持っています。

西田 医療機器メーカーにも準ずるような能力があるってことですね。

藤井 はい。以前は病院で機器を使い終わったら、それを回収して一旦メーカーさんのところまで運んで、メンテナンスを終えてからまた倉庫に運んで......という手順になっていたんです。

現在は病院から機器を回収したら、修理や洗浄なども安田倉庫でワンストップで実現できるようになりました。

西田 メーカーに送るステップが不要になったわけですね。いろんなところに運ぶほど事故の確率はどうしても増えてしまいますし、これは見事なお仕事です。
 

「まじめ」の価値を再認識する。進化を続ける安田倉庫の描く未来

西田 倉庫業はいまや、物流の大部分も担うようになっていることがよくわかりました。そんなふうに変化が起きてきたのはここ最近ですか?

藤井 ここ10年くらいで、業界全体が相当変わってきたと思います。

西田 最初は預かるだけだったのが、それを運んで引き渡すようになって物流事業が生まれて。今度は預かってる荷物を扱えるような専門資格も取り始めて、どんどん進化を続けているわけですね。安田倉庫さんは今後さらにどんなふうに進化していくんでしょうか。

藤井 今年の4月に今後3年間の中期経営計画を定めました。その中で一番大切にしようと決めたのが、真摯に取り組む姿勢です。やはりそこをお客さんに評価してもらうことが多いですし、「YASDA Value」と名づけて安田倉庫らしさを失わないことを目標にしています。

西田 「まじめ」ってどうしてもその価値に気がつきにくいんですよね。物を丁寧に運んで、完璧な状態で届けて当たり前だと思われてる。

藤井 そうなんです。もう少し物流に対する意識を変革させていくとともに、存在感のある会社になっていきたいと考えています。そのためにも、あらためて「まじめ」の価値を自分たちの中でも再認識していきたいですね。

西田 倉庫業というと裏方に思われがちだけど、実はメンテナンスから運ぶところまで引き受けてくれるスペシャリストなんだ。僕も、まずは「安田倉庫」の名前を頭に入れるところから意識を変えていこうと思います!

藤井 ありがとうございます!

編集:株式会社ツドイ
 

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