保護犬・猫が一緒に暮らす障害者のグループホーム

人権TODAY

様々な障害のある人が、支援を受けながら共同生活を送り、地域での自立した生活や社会参加を目指しすのが「障害者グループホーム」です。入居者それぞれの個室と、リビング、キッチンなどの共有スペースがあります。
 崎山敏也記者が取材したのは、千葉県市川市の「わおん障がい者グループホーム国府台」。就労支援の事業所から帰ってきた入居者の女性が、リビングで暮らす保護犬のふーちゃんにおやつをあげていました。「わおん」は、アニスピホールディングスが展開する「ペット共生型障がい者グループホーム」です。保護猫がいるところは「にゃおん」です。

 障害者グループホームは、障害者の親が高齢化して世話ができなくなったり、精神科の病院への入院期間を短くする政策がとられたり、障害の軽い人は施設ではなく地域で暮らそう、という動きから必要性は高まっていますが、数はまだ十分ではありません。ネットカフェなど不安定な場所で暮らす人も少なくないとみられています。
4年前から各地で「わおん」を展開する、アニスピホールディングスの代表取締役、藤田英明さんは、自らも動物好きで、増えている空き家の活用にもなるということで、「わおん」を考案したそうですが、グループホームが大事な理由について、「まずはグループホームのような、安心して住める住まいを提供していくのが大前提として重要なんじゃないかという風に思って、今、展開をしてます。もう一点、大事なのは、病院から退院後、ネットカフェに住んだり、一人暮らしでアパートで住んでいると、薬を飲まなくなってしまうことがあります。そうすると、再発してしまうリスクが非常に高まるので、ちゃんとスタッフがいるグループホームで生活することによって再発が防げるということです」と説明します。
 安心できる住まいに、ペットの保護犬、保護猫が加わったのが「わおん」です。ペットの世話をするのは基本スタッフで、入居者はリビングでそれぞれに触れ合います。国府台の「わおん」で、おやつをあげていた女性は、去年8月に入居してから、ふーちゃんのご飯の用意をしたり、おやつをあげるようになりました。また、女性は手芸が得意だということで、ふーちゃんの小屋には、女性が編んだ紐状のわんちゃん用のおもちゃや、手縫いのクッションがあります。

 飼育を長年放棄され、保護されたふーちゃんは、グループホームに来た時はがりがりにやせ、遊ぶことも散歩もしようとしなかったそうですが、今はそう見えません。女性に話を聞くと「共感を持ってしまうというか、私も障害があるので偏見の目で見られたということもありました。保護されたのが6歳なので、6年間ずっと優しくされるっていうことを知らなかったので、より幸せになってほしい、という気持ちが強かったんです」と話します。
 崎山記者の前ではおとなしく見えるふーちゃんも、女性からおやつをもらう時はすごく喜んでましたし、女性が作ったおもちゃで遊ぶときはすごく激しい動きもするそうです。女性は「ここは、対人関係を練習する場所なんだと思います。一緒に住んでいる人との会話も、共同生活なので一人で過ごすのではなくて、いろいろ話せるって言うのと、動物と触れ合っていてその話題が自然に出るんです。あまり口数が少ない人も、動作一つで可愛いなーっていうので、お互い話す話題が生まれるって言うのもありますね」と話していました。

 ふーちゃんの散歩は基本はスタッフがするんですが、スタッフの話だと「外にあまり出ない、出たがらない、他の入居者が、たまには身なりを整えて、近くなら一緒に散歩に行く、といったこともある」ということです。女性も仕事にいく時間と、タイミングがうまく合えば、散歩に一緒に行くこともあります。
 アニスピホールディングス代表取締役の藤田さんは「ペットがいて、癒しになるとか、気持ちが安定する、ということももちろんありますが、実際、一番影響が大きいかなと思うのは、障害のある方が、この子にご飯をあげなきゃいけないとか、猫のトイレを出て綺麗にしてあげないといけないとか、犬の散歩に連れて行っていかなければいけないとかっていう、そういった責任感を持っていただけるっていうところが、一番大きな効果かなという風に思っています」と話します。生活の自立や社会参加に向けた後押しにもなっているようです。話を聞いた女性は今後、働く時間も少しずつ長くしていって、将来はハンドメイドの商品、作品を作る職人になる方向もいいかな、と考えているそうです。
 アニスピの「わおん障がい者グループホーム」だけでなく、他の事業者でもこうした試みは増えているようです。障害のある人が地域で、安心して、その人らしく暮らすための      一つの興味深い試みです。

アニスピホールディングスの「わおん」のページ https://anispi.co.jp/waon/

 

 

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