民間で広がる、ウクライナ避難民の支援

森本毅郎 スタンバイ!

ウクライナへのロシアの軍事侵攻が始まってから1か月が過ぎました。ウクライナから国外に避難した人の人数は、400万人を超えたと報じられていますが、きょうは、こうした避難民を支援しようという様々な動きについて、「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で取材、報告しました。

 

★海外に逃れたウクライナ避難民に、ITの仕事を依頼

まずは、職を失った避難民に、日本国内から就業支援しようという取り組みについて。大阪のベンチャー企業、株式会社ネクストエージの代表、吉村大作さんのお話です。

「ウクライナの方々はITスキルが高いということで、ホームページ作成であったりだとか、そいういったお仕事を一緒にさせていただいてます。対象は、ウクライナの避難民の方に今回絞らせていただいております。例えばウクライナ国内、ポーランド、そういったところからも参加できるようになっております。日本側のオファーは3件あってですね、大阪の町工場の方が「この商品を説明するようなホームページを作って欲しい」と、実際にお仕事としてウェブ制作を発注するというような事例があります。ヨーロッパ圏の生活を維持しながら、日本から寄り添える支援というようなところで、それなりに意義があるんじゃないかなと思います。」

(株式会社ネクストエージ・代表取締役 吉村大作さん)

ウクライナはIT人材が豊富で、「東欧のシリコンバレー」とも呼ばれているそうですが、この会社では、住む場所を追われ、職を失ったウクライナ人を、ITの分野で採用しようというプロジェクトを始めました。

ポイントは、ウクライナの国内避難、あるいは隣のポーランドといった、日本ではなく、海外にいる避難民の方に、日本の国内の仕事を提供するというところ。求人は、日本に住むウクライナの方のフェイスブックなどで拡散し、希望者はオンラインで面談を行い、プログラミングやサイトのデザインなど、日本語が分からなくてもできる仕事を依頼しています。

着手金はおよそ6万円。この仕事を生活の基盤にしてほしいということで、物価の低いウクライナでは一ヶ月分の生活ができる位の金額。これまでのマッチング件数はまだ3件ということですが、日本に居ながらできる支援の形として、続けていきたいということでした。

 

★戦火を逃れてきた学生に、学びの機会を提供

ここまではあくまでも国外の避難民の支援。一方で、親族など身内を頼って日本にやってくる避難も増えていて、今月27日時点で300人近いウクライナ人が来日しています。そんな中、国による受け入れの枠組みと別に、「留学生」として、独自に受け入れ始めた大学も出てきています。福岡にある日本経済大学の広報担当、平田理絵さんに伺いました。

「本学と提携をしているキエフ国立言語大学で、既に日本語を学んでいる学生さんに、「日本に来られて、引き続き日本語を勉強しませんか?」ということをお声掛けをして、その中で学びたいと手を挙げた学生さんに、本学で勉強していただくというような取り組み、受け入れを行っています。手を挙げた学生さんが72名いらっしゃいまして、まさに現時点でどんどんどんどん今、福岡の方に到着されている、そんな状況です。皆さん元々キエフ在住でいらっしゃって、ポーランドであるとかドイツとかオーストリアに避難されている方が多いようなんですね。中には着の身着のままで避難をされた学生さんもいらっしゃるようで、本当に荷物が少なくて、ボストンバッグ一つで日本にいらっしゃるような学生さんもいました。」

(日本経済大学・広報PR担当 平田理絵さん)

▲日本経済大学(日本経済大学 提供)

平田さんも連日、福岡空港に迎えに行ったりと、大学総出で迎え入れている状況だそうです。

実際にはキエフにある提携校の学生、72名を1年間、無償で受け入れ、学びの機会を提供するという、全国で初めての取組み。ウクライナでは17歳から大学生ですが、18歳以上の男性は原則出国禁止なので、ほとんどが女性。既に50名程が来日し、大学の寮で生活し、集まった寄付金を生活費に充てていくということです。

▲ウクライナ留学生到着 集合写真(日本経済大学 提供)

この日本経済大学の取り組みは、現状の「短期滞在」ビザから、「留学」ビザに切り替えることを検討していますが、一方、留学生以外の避難民に関しては、政府は、「短期滞在」ビザから、「特定活動」ビザへの変更を受け付ける方針です。「特定活動」ビザでは1年間滞在でき、日本国内で働くこともできて、健康保険にも加入できるなど、生活しやすくなります。

★中長期的な受け入れには政府の責任が伴う

しかし、日本に逃れてきた難民を支援しているNPO法人 難民支援協会の石川えりさんは、中長期的な目線も必要だと教えてくれました。

 「「特定活動」1年の後にどうなるか、更新できるのかっていう方針が、早めに示されるべきではないかという風に思ってます。いつ帰れるのかっていうのは、受け入れたこちら側が線を引けるものではないと理解しているんですね。自宅が壊されたとか、帰れる状況なのかというのは、ご本人の状況によってそれぞれ異なるという風に思ってまして、日本で当面暮らしていくということであれば、衣食住の確保や、医療、健康保険や日本語教育、お子さんの学校・保育園の確保など、暮らしていくための支援が必要ですし、自立のための支援が必要になってきますが、特にそういった統一的なものは示されていないと思うんですね。今回は多くの自治体や企業、個人から支援の手が挙がっていて大変心強く思っていますが、そういった民間からの自発的な声を生かしていけるような調整が必要だと思いますし、政府が責任をもって向き合うことが大切だと思っています。」

(NPO法人 難民支援協会 石川えりさん)

▲NPO法人 難民支援協会 石川えりさんに聞きました

難民支援協会では、ウクライナや隣国に逃れた方や、日本に住んでいるご家族から、相談が寄せられているということです。

生活が長期化していく中では、ゴミ出しから交通ルール、移動手段は車なのか、免許はどうするか、スーパーはどこが近いか、精神的な医療ケアや、自立のための就労支援まで、幅広くサポートする必要がありますが、日本に逃れてくる方とどうマッチングさせるかが、課題になっています。

 

取材・リポート:TBSラジオキャスター田中ひとみ

 
 
 
 
ツイート
LINEで送る
シェア
ブクマ