ロシア上空の飛行禁止!30年前の「アンカレッジ」、復活も?

森本毅郎・スタンバイ!

ロシアのウクライナ侵攻では、EU、ロシア双方が領空への旅客機の侵入を禁止。航空業界への影響も広がっています。今後どうなるのか?そして日本の対応はどうなのか?「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で取材、報告しました。

 

★ヨーロッパとロシアは互いに飛行を禁止している

現在、ヨーロッパ各国の制裁をきっかけに、大きな変化が起きています。ロシア圏の旅行専門会社、JIC旅行センターの岡本 健裕(たけひろ)さんのお話です。

「現時点では、ヨーロッパの航空会社は、事実上、アジア方面への路線を諦めてます。なので飛んでません。これは、先にヨーロッパの航空会社がロシアの飛行機の上空通過を拒否したから、そのお返しとしてですね。ロシアも、「じゃあヨーロッパの航空会社の上空通過を認めない」という風に対抗してきたから起きている現象なんですけれども。ただ、2年前の新型コロナの影響でですね、激減してるんですよ、そもそも戦争と関係なくですね、日本とヨーロッパの間の直行便が。元々便数が減っていたものが、とうとう息の根を止められたっていうのが実態ですね。」

(JIC旅行センター・岡本 健裕さん)

▲JIC旅行センターのホームページ写真

まずEUが先月27日、ロシア航空機がEU領空に乗り入れることを禁止。すると28日、ロシア側が報復として、EU含む36カ国の航空機がロシア上空を飛ぶことを禁止した。

ヨーロッパと日本を結ぶ便は貨物便を含めて、1週間でおよそ150便ありますが、現在は、ドイツやオランダ、フランス、フィンランドの各都市と、成田や羽田、関西空港を結ぶ便で欠航が決まっているということです。

ちなみに、ロシアは日本の航空機については、ロシア上空の飛行を禁止していません。これは、日本は、ロシアの航空機に日本上空の飛行を禁止する制裁をしていないから。1日の外務大臣の会見では、「今後、物流に与える影響なども考慮して判断する」と話していました。

 

★迂回ルートはある。冷戦時代の経路復活も? 

EU各国は、報復の影響を受けてロシア上空を飛べなくなりましたが、ではどうなるのか?岡本さんによれば、過去にも同じ状況があったので、それが復活するかもしれないということ。その過去は、ソ連時代。東西冷戦のことでした。

「軍事的にも色々と見せたくないものを、外国の飛行機の乗客が目撃しては困るというのが、まずあったはずです。なので、自国の航空機であるアエロフロートに乗ってくるなら仕方ないけれども、他国の航空機は、単に通過するというのは認めてなかったんです。なので、「南回りのヨーロッパ行きの飛行機」と、それから、「モスクワに一度降りて、モスクワで乗り換えていくヨーロッパ行きの飛行機」と、それから「アラスカのアンカレッジを中継地点として、北回りのアンカレッジ経由でソ連を避ける」ルート。この3通りがヨーロッパと日本を結ぶ主な経路だったんですね。特に、シベリア上空を直行できるようになってからは、アンカレッジは旅客便から忘れられた存在になっていたんですが、もしかしたらどこかの航空会社がまたアンカレッジ経由の旅客便というのを飛ばし始めるかもしれない。」

(JIC旅行センター・岡本 健裕さん)

▲冷戦時代の、「北回り」と「南回り」ルート(出典:JIC旅行センター)

1950年頃、ソ連が領空を制限していた時代、アジアを経由していく「南回り」のルートに加えて、北極圏を通る「北回り」ルートが使われていました。これらのルートは遠回りで時間がかかる上に、途中、給油も必要ですが、北回りのアメリカ・アラスカ州の「アンカレッジ経由」でした。

アンカレッジは、日本航空のアンカレッジ経由便が91年に廃止されて以降は、貨物便の経由地となり、日本人乗り継ぎ客であふれたかつての賑わいはなくなりましたが、この30年前のルートが、再び利用される可能性が浮上していると。

報復を受けてもこうした別ルートがあるわけで、人や物の流れが止まるわけではないようです。

今の現実的なルートはドバイやカタール、イスタンブールを経由することのようですが、この場合、これまでは日本からヨーロッパへの直通便は、だいたい10時間程度で行けたそうですが、ドバイやカタール、イスタンブールを経由すると、おおよそ20時間~30時間と、お金だけでなく時間もかかります。

 

★痛みを伴っても侵攻を許してはいけない

ただ、痛みを伴うのは利用者だけでなく航空会社も同じ。また岡本さんの旅行会社も大きく影響を受けますが、この状況、岡本さんはこう話してくれました。

 「戦争に起因する問題は、戦争の状態が何らかの形で打開されない限り続きそうですね。それとは別に、新型コロナの影響はまだまだ続いているはずと思われるので、体力が持たなくなると、航空会社がギブアップするかもしれませんし、結局みんな痛みを受け入れてでも、ロシアを許してはいけない、ちゃんと制裁しようということで、世界を寸断するような状況が起きてしまっている訳ですよね。」

(JIC旅行センター・岡本 健裕さん)

痛みを伴っても、EUなどは、ウクライナの国と国民のために、制裁に動いたということ。ただ、新型コロナの影響はもう3年くらい続いていて、航空会社は苦しい。そこにきて、今回の制裁措置。航空会社、旅行会社ともに、倒れる前に、状況が改善して欲しいものです。
 

取材・リポート:TBSラジオキャスター田中ひとみ

 
 
 
 
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