気づけば“ラジオの先生”に。「コロナ禍の学生に居場所を作りたかった」/法政大学ラジオサークル「Hosepipe」志水さん【ラジオ沼より愛を込めて】

ラジオを深く愛する方々にその魅力を教えてもらう連載「ラジオ沼より愛を込めて」。 
今回は、ラジオを通じて「コロナ禍でつながりを失っている学生たちの居場所を作りたい」と、法政大学ラジオサークル「Hosepipe」を立ち上げた志水千織さんにお話をうかがいました。 
ラジオとの出会いや、その沼にハマってしまった瞬間の出来事……そして、目標を見つけ動き出した志水さんの道のりをたっぷり語っていただきます。

  

—— 法政大学のラジオサークル「Hosepipe(ホースパイプ)」を立ち上げられた志水さんですが、みなさんでどんな活動をされているんですか?

志水:そうですね。大きくは二つあって、一つは自分たちで制作したラジオ番組をYouTubeとSpotifyのPodcastに配信すること。もう一つが地上波のおもしろいラジオ番組をおすすめする発信を、主にInstagramでやっていますね。ただ、昨年の6月に立ち上げたばかりなので、内部の団結力みたいなものを高めるために、コロナが落ち着いた12月には発信の頻度は少しゆるめて、小規模ですがクリスマスパーティを楽しんでみたり。そういう時間も大切にしています。
 

—— 立ち上げて半年、仲を深めることも大事ですよね。みなさん、ラジオ番組ではどんなことを話されているんですか?

志水:すごくいろいろで(笑)。アニメを好きな子たちがひたすらアニメを語ったりする回もありますし、女の子だけの回だと恋話していたりとか。もともとラジオが大好き! というメンバーばかりが集まっているサークルではないので、本当になんでもありなんです。 
 

—— ラジオの“コアリスナーの集まり”、というわけではないんですね。

志水:そうなんです。わたし自身も、就職活動が落ち着いたタイミングで「何かやってみたい!」と考えたことをきっかけに友人たちと立ち上げたものなんですけれど、とりわけ「ラジオ」を選んだ理由は二つありました。まずは、もちろん大好きなラジオをたくさんの人に知ってほしいなあということだったんですけど、もう一つつはコロナ禍でも大学生がつながることのできるコミュニティを作りたい、ということだったんです。

 
—— 学生さん同士の「つながり」ですか。

志水:そうですね……。やっぱり、後輩とかと話していると今の大学1~2年生は大学の友達にまだ会ったこともないとか、サークルもどこへどんなふうに入っていいのかがわからなくて、結局どこにも所属していない……なんて話をすごくたくさん聞くんですよ。わたし自身は大学に入って、いろんなコミュニティでできた友だちや仲間がいるからすごく充実させることができましたけど、コロナ禍に入学した後輩たちはそれができていないんですよね。

それをどうにかしてあげたいと思ったときに、ラジオであれば離れた場所でもそれを題材につながれますし、自分たちでも発信することができるメディアならではのサークルとして成り立つんじゃないかなと考えたんです。
 

—— そういう想いで作られたサークルだったんですね。だから、とにかくラジオが大好きかどうかはあまり重視せず、ラジオを聴いたり作ったりできるコミュニティを作ろうと。

志水:はい、まさにそういうコミュニティですね。なので、名前の「Hosepipe」も「法政(Hosei)にも見えるから」ということもあったんですが、直訳すると「長いホースやパイプ」を表す英単語なんです。「人と人とを繋ぐパイプのような存在になりたい」という想いを込めた名前をつけて活動をはじめました。

 

—— 志水さんご自身はいつから「広めたい!」と思うほど、ラジオの沼にハマっていかれたんですか?

志水:どっぷりと聴き始めるようになったのは、高校2年生の夏からでした。軽音楽部に入っていたんですけど、わたしの所属してたバンドが星野源さんの『SUN』を演奏することになったんです。それがきっかけで何気なく星野源さんのTwitterをフォローしてみたんですよね。すると「今日は星野源のオールナイトニッポン」っていうツイートが流れてきて。
 

—— それで、ちょっと試しに聴いてみようかな? と思われたんですね。

志水:いや、それが……。恥ずかしながら、わたしはそのとき『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)を知らなかったんです(笑)。「何それ?」と思って、Wikipediaで調べて。「あ、ラジオなんだ」と、そのとき初めて知ったんですよ。
 

—— いまの高校生のみなさんは、あのチャ、チャラッチャ~という『Bitter Sweet Samba(オールナイトニッポンのテーマ曲)』を知らない……。

志水:そのぐらい縁遠いものだったんですよね。ただラジオアプリ「radiko」の存在は幸い知っていたので、ちょうどそのとき夏休みだったこともあって、夜更かしして聴いてみたんです。それで、星野源さんの『オールナイトニッポン』を聴きはじめたら、もう信じられないぐらいおもしろくて! それから数週間後には、はじめてのメールを送りました。そしたらそれが採用されて、読み上げられて……。もう嬉しくて嬉しくて。そこからラジオにメールを送る楽しさをおぼえて、他の番組もいろいろ聴きはじめるようになりましたね。

 

—— 他には、どんな番組を聴いたり、メールを送られたりされてるんですか?

志水:星野源さんからのつながりで、『バナナマンのバナナムーンGOLD』を聴きはじめましたね。そこからJUNKの『山里亮太の不毛な議論』、他には『ハライチのターン!』『さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』なんかも大好きで、最近はあまり送れてないんですけど、高校生の頃は、退屈な授業中にノートの端にネタを書いたりしてましたね(笑)。
 

—— それはすごく共感してしまいます(笑)。

志水:今でも、スタバに行って、すごくおしゃれな音楽でも聴きながら作業してるように見せかけて、聴いてるのはタダバカ(『さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』)だったりとか(笑)。マスクをするようになったので、ニヤニヤしていてもバレないのが、唯一いまの状況の嬉しいところですね。


—— 現在のところ、「ラジオを広めたい」という想いは叶いつつありますか?

志水:そうですね……。オフラインで集まるラジオイベントとかいくつか行かせてもらっても、やっぱり自分と同じ年代の女性がすっごく少ないことを痛感するんですよね。だけど、わたしが聴いてても本当にすごく楽しいし、この面白さはもっともっとたくさんの人に知ってほしいと思っていて。自主制作のラジオの中でも「おしえて、志水先生」みたいなコーナーが勝手に作られてしまったんですけど(笑)。そのぐらい、ラジオの面白さや面白い番組は日々おすすめしていますね。

今はすでに代替わりをして、2年生が代表をやってくれていて、すごく盛り上げようと頑張ってくれているので。OBになっても、いつか「FMwaseda」さん(早稲田大学のラジオサークル・毎年学祭ではラジオにゆかりあるゲストを招いて公開生放送イベントを行っている)みたいなイベントができるようお手伝いできたらな、と思っています。ラジオの良さを発信していきたいですね。
 

—— なるほど。すでに代替わりもされて。「つながりを作る」という部分ではしっかりサークルが機能していそうですね。

志水:3年生と4年生も合わせると、今41人のメンバーで活動することができているので、それは、後輩たちの財産になればいいなと思いますし、これからコロナがどうなるかはわかりませんが、つながりもさらに深く広げてもらって、充実した学生生活を送ってもらえるとすごく嬉しいです。


—— 「沼」という深さよりも、ラジオ愛と後輩愛が「海」のようにとても深いなあと思いながらうかがっていましたが、志水さんにとって「ラジオ」はどういう場所ですか?

志水:実は、星野源さんのラジオでメールを読んでもらったとき、嬉しくて母に話したんです。「こういうメールを送ったら読んでもらえて!」みたいに。すると母も「お母さんも昔、ラジオで読んでもらったことがあるんだよ」って初めて聞く話をしてくれたりして。今では、面白い番組をすすめて感想を言い合ったりして、家族全員で「ラジコプレミアム(全国のラジオ番組を聴くことができる有料サービス)」に入ってるんですよ(笑)。
 

—— それはすごいですね。仲良しでほっこりします。

志水:学生同士もそうですけど、そういうつながりを作ることができるメディアでもあるし、ひとり暮らしをしてるのでさみしいときも、卒論と闘ってるときもラジオを聴いてますし、わたしにとってはすごく大事な居場所みたいなものなんですよね。だからこそ、たくさんの人を巻き込めるようにこれからも、このサークルを支えていけたらいいなと思います。
 

—— とてもあたたかい志水さんの気持ちが伝わってきました。今日はどうもありがとうございました。

 

 

 

 
法政大学ラジオサークル「Hosepipe」/ 2021年6月、コロナ禍で立ち上げたラジオサークルで、3年生、4年生を含めると総勢41名で発信活動中。志水さん他4人のメンバーが中心となって現在の形に。サークル名には「このコロナ禍の中でも学生同士のつながりを作ってくれたら」と初代代表・志水さんの想いが込められています。

 

Photo:持田薫 Text:中前結花 Edit:ツドイ    

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