障害者がスポーツを楽しむ、取り組む場を増やそうという、東京・江戸川区の試み

人権TODAY

 2020年、東京ではパラリンピックが開かれましたが、障害がある人が気軽にスポーツを楽しめる場所、機会はまだ少ないのが現状です。東京・江戸川区は2020年12月、「パラリンピックの22競技全てを区内で体験できるようにする」と宣言しました。誰もが安心して暮らせる「共生社会」を区が実現するため、障害者のスポーツ実施率の向上を目指しています。


 江戸川区スポーツ振興課の吉澤太良課長は「障害もいろんな種類がありますし、程度もありますので、まさに、ご自身にフィットするマイスポーツとでもいうものを、一人ひとりに合ったものを見つけてもらう、そういうきっかけ作りとしても、この宣言、この取り組みというのは活かしていってもらえるかなという風に思っています」と話します。22の競技に限らず、障害者がスポーツに触れる、楽しめる場を増やしたいということです。例えば、2021年11月の「広報えどがわ」の特集では、パラリンピック競技の馬術への第一歩として、おとなしいポニーとのふれあい体験や、正式競技、ボッチャの教室、そして、障害者ダンス教室が取り上げられています。こういった体験の場を増やすために、区の施設に用具を備えたり、また、民間のスポーツジムや道場にも教える人や場所の確保の協力を呼びかけています。


 12月中旬、崎山敏也記者が、江戸川区のスポーツセンターでボッチャ教室を取材しました。様々な世代の参加者が障害のあるなし関係なく、一緒にボッチャを楽しんでいました。障害のある息子を連れて、よく参加しているという母親は「人とのコミュニケーションを求めていたところもあったので、いろんな人と触れ合って、おかげさまでそれで、皆さんにかわいがっていただいて。応援したり、応援してもらったりで、コミュニケーションができました。そういったコミュニケーションの場があるのは本人にとっても、親にとってもありがたいです」と話していました。学校の授業参観の時、体育の授業でボッチャを体験して、親子ではまり、区の広報誌で、教室があることを知って、来るようになったそうです。ほかの常連の参加者にも励まされながら上達してきたそうですが、この日初めての参加者とも楽しく交流していました。


 三世代で、初めての参加だという方たちがいたので話を聴くと、子供は「面白いです。はまっています」と。母親が「楽しそうでよかったと思います」と答えると、祖母が「あまり運動が得意じゃない子だったのが、ボッチャがきっかけで、なんでも手を出すようになりましたね。いろいろとやってみようと思うようになった。出会いというのは、スポーツでもなんでもそうですけどね、出会いって大事だと思いますね」と付け加えていました。
ただ、障害者の中には、情報を自分から取りに行けない、行きづらい人もいます。こうした情報が区内に幅広く行き渡っているとまでは言えません。また、その場に行くための、移動手段の確保やバリアフリー化も課題です。スポーツ振興課の吉澤課長は、障害者団体や医療機関の他、様々な人のつながりを通じて知らせ、そして、街を変えていくことが必要だと話します。「例えば、通院している病院での理学療法士さんに、取り組みについて紹介されて、それで、教室などに参加してするようになったっていう方も実際にいらっしゃいますので、そういう、情報の連携というか、仕組みづくりというものをやっていかなければいけないなと思っているところです。一方で、そこに行くまでのアクセスであるとか環境整備も合わせて必要だと思ってまして、スポーツ施設を利用するにあたって、街全体が、誰にも優しい環境になっていく、整えていくっていうことがまさに、誰にも優しい街づくりというところにつながっていくと思ってます」。


 江戸川区としては、スポーツを楽しむ障害者を増やすという目標に向け、地道に2022年以降も取り組み続けます。それが結果として、様々な人が暮らしやすい、生きがいを持てる、 つまり、共生社会への道筋が具体的に見えてくるのだと崎山記者も考えています。そしてそれは、江戸川区、東京都だけでなく、日本の全ての街、社会にもいえることです。
パラリンピックが終わった後だからこそ、続けていくことが大事です。

江戸川区スポーツ情報サイト 
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e028/sports/sports/syougaisya_suports/index.html

取材、報告:崎山敏也(TBSラジオ記者)
 

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