日本のDXを阻む3大疾とその治療法

森本毅郎 スタンバイ!

番組スポンサーの「スマートHR」と考える「最新のビジネス事情」の最終回。今回は、日本企業が迫られるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か?というテーマで、「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で田中ひとみが取材報告しました。

 

★DXの為の3ステップ「デジタル化→データ蓄積→AI活用」

デジタルトランスフォーメーション(DX)というのは、ハンコ廃止とか単なるデジタル化ではなく、デジタルによって、生活やビジネスが劇的に変革される事。

といってもよくわからないので、詳しい方に伺いました。ヤフーやラインを束ねるZホールディングスで、社員向けにITを教える企業内大学= 「Zアカデミア」の学長、伊藤羊一さんのお話。

「1段階目=デジタル化、データが2段階目=溜まる、そして3段階目=AIを活用するって、こんなふうにご理解頂けたらなと思います。例えば、イスにセンサーをつけて、そこがインターネットとつながるみたいな、こういうデジタル化ってあると思うんです。その動きをキャッチして、これあんまり使いすぎだから直した方がいいよねとか、センサーがあるとわかったりするわけです。そうすると、私が講演会とかで講演する時などでも、みんなイスの挙動がわかってくるんですよね。だんだん横に揺れ始めて、眠くなってきたのかもしれない、とかってのがわかってくるってのが2番目ですね。3段階目は、みんな眠くなってきたのかっつって、AIが勝手に「スイッチON」とか何か言って、空調からね、バーッて冷風が出てきてみんな起きるみたいなことがあったりする。センサーは最初はその修理とか、そんなためにつけたんだけど、全く違う用途に使えるようになるったっていう話。そうするとアイディア次第で便利さっていうのは、自分たちでどんどん作れる。」

( 「Zアカデミア」学長 伊藤羊一さん)

▲Zアカデミアの学長、伊藤羊一さんに伺いました

DXの3ステップとして、「効率化のためにデジタル化」すると、「データが溜まり」始めて、「それをAIで利用」すると、最初の目的とは全く違う便利さを生み出す、という流れを紹介していただきました。

有名なDXは、建設機械の「コマツ」の例。

1990年代後半、建設機械を盗んでATMを襲う事件が多発。その時、コマツは「事件防止のため」、自社の機械をネットで管理。盗難をチェックし、万一、怪しい動きがあったら、ロックをかける仕組みを導入。

それから20年以上、データがどんどん溜まり、今では、顧客のデータを新しい建設機械の開発や改善に役立てたり、建設機械の稼働状況から、メンテナンスや買い替えが時期を把握し営業に活用。

ネットにつないだ時の目的とは全く違う、新しい利便性につながったそうです!

 

★DXを取り巻く3大疾病

というわけで、DXをわかりやすく教えてくれた伊藤さんですが、ご自身は、 以前、ヤフーで人事関連のDXを行おうとした時は、うまくいかなかったそうなんです。

「それ「人事データの三大疾病」って僕呼んだんですけど、まずね、データが色んな部署で、色んなデータっていうのをばらばらに管理してるっていう「ばらばら病」っていうのが起きました。それから、同じ項目のデータでも「男性・女性」「男・女」「M・F」とかっていうふうに、むちゃくちゃ色んな書き方をしてて、書き方がもうぐちゃぐちゃっていう「ぐちゃぐちゃ病」っていうのもあったんですよね。それから人事施策で言うと、「この評価の仕方がいいな」と思ったら、「去年これ終わっちゃったんですよ」とか、「去年から始まったばっかりだよ」とか、データがそもそも「まちまち」っていうことで、「ばらばら病」「ぐちゃぐちゃ病」「まちまち病」っていうことがあって、とにかくこれ駄目だということで、ちょっとね、諦めたんですよね。」

(「Zアカデミア」学長 伊藤羊一さん)

デジタルでデータを整理しているようでも、ばらばら・ぐちゃぐちゃ・まちまち。今で言えば「年末調整」で、住所の数字が半角だったり全角だったり「ぐちゃぐちゃ」。思い当たる方も多いのではないでしょうか。

 

★HRテックでまずはデータを整理する

ではこの、ばらばら・ぐちゃぐちゃ・まちまちという3大疾病、治療法はないのか?再び、伊藤羊一さんに伺いました。

「スマートHRで効率化してくっていうことをやれば、綺麗にその部分というのは、データが溜まっていくんですよね。この3大疾病ってなくなるんです。で、様々なHRテックのサービスがありますと。色んな仕組みで連携できるようになってるので、入社から退職までの評価だとか勤怠とかっていう、最終的には1行のデータとして取れるようになってくるって思うんです。例えば、将来的には、朝遅く来がちの人が、遠くに引っ越していたとか、それで朝飯食べなくなってたとか、社食で食ってる昼飯のデータも食べなくなったりとかって、そうすると評価が何か低くなってたとか、そういうのが全部つながってると、AIで分析してみると、「この人ひょっとしたら、ちょっと今きついかもね」っていうところが予測できるんで、一人一人に合った人事施策が適用できるようになると思います。」

(「Zアカデミア」学長 伊藤羊一さん)

HRテックも、入り口は効率化かもしれないけれど、DXの3ステップを経ると、働く人、ひとりひとりの働きやすさのサポートにも繋がるということでした。

データを取られると聞くと「管理が強まる」と感じる人もいるかもしれませんが、伊藤さんは、会社をよくしていこう、働きやすくしていこうという思いがあれば、データはそれを助ける友達になってくれると表現していました。

伊藤さんは、現在は、ヤフーなどのZホールディングス社内で、DXについての講習をしていますが、社外からも「教えて」という声があるそう。12月11日にある「ワークアンドフェス」というオンラインイベントでも、DXについてお話する予定ということで、デジタル化が働く人の味方になるよう、情報発信したいということでした。ご興味のある方はご参加してみてください。

 

▼「WORK and FES 2021 “働く”の未来を考える1日」

開催日時:2021年12月11日(土)12:00~20:00
視聴方法:公式サイト内でライブ配信
(無料で、申し込み不要です)
URLは https://workandfes.smarthr.co.jp/

 

取材・リポート:TBSラジオキャスター田中ひとみ

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