新しい再生可能エネルギー「潮流発電」は普及するか?

森本毅郎 スタンバイ!

11月13日に閉幕したCOP26。CO2を排出する石炭火力発電の削減が議題となりましたが、日本は新技術を取り入れつつも使い続ける方針を示しました。そこで今回取り上げるのは、石炭火力に代わるクリーンな発電方法として期待される「潮流発電」です。TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で中村友美ディレクターが取材報告しました。

 

★天候に左右されず、安定的な発電が可能

「潮流発電」とは、潮の満ち引きによって起こる海水の流れを利用して、水車の羽を回すなどして発電する方法で、今年1月から長崎県五島市で実証実験が行われています。潮流発電はCO2を排出しないことはもちろん、様々なメリットがあるということです。

「特徴として一番はやはり予測可能であるということですね。潮の干満は規則性を持っておりますので発電量の予測が可能。これは太陽光とか風力に比べると断トツメリットとなる特徴でございます。あと環境負荷が少ないということで、私ども今回は海底に沈める形を選んでますので、例えば今回の五島は世界遺産の地区なんですけれども、世界遺産の景観にも邪魔をしないということで自治体の方も喜ばれてますし、漁協さんの船の航行にも邪魔をしないっていうメリットを持った特徴もございます。あと海底にありますから台風であるような海の表面が荒れますけれども、そういった災害にも強いという点を持っております。」

(九電みらいエナジー株式会社・地域コミュニケーション部副長・山本弘子さん)

他の再生可能エネルギー、太陽光や風力などは天候に左右される部分もありますが、潮流発電に必要な潮の満ち引きは1日2回必ず起こるため、発電量の想定がしやすい点が大きなメリットです。同じく潮の満ち引きを活用する方法として、河口の入り口などにダムを設置する「潮力発電」もありますが、潮流発電はダムが必要なく、今回五島市の海底に設置した水車は杭を打つのではなく重りで固定するのみ。実証実験で魚の活動に変化が出ていないことも確認されています。

 

★潮流発電は「FIT制度」に未だ対応せず

潮流発電はこのようにメリットがある一方、今後の普及の可能性についてはどうなのか、九電みらいエナジー株式会社の山本さんに聞きました。

「(日本は)世界第6位の排他的水域を持っている国ですから、その資源としてのポテンシャルは非常に持っていると思っております。ただ、まだまだ実用化に対する課題はたくさんございまして、まだ国の取り組み方針制度等が未整備であるという点ですね。例えば他の風力発電とか太陽光であればFIT制度がございますけどまだこの潮流発電というのはFIT制度の対象になっておりませんし、またこれは海底設置型というふうに申し上げましたけれども、法令というのもまだ整備されていないという点がございます。」

(九電みらいエナジー株式会社・地域コミュニケーション部副長・山本弘子さん)

FIT制度(再生可能エネルギー固定価格買取制度)とは、再エネ発電の事業者が発電した電気を電力会社が一定期間、国が定める価格で買い取ることを義務付けるもので、これによって太陽光発電などが普及してきた背景がありますが、潮流発電はまだその対象になっていません。今回の五島列島での取り組みでもあくまで実証実験という形で売電は行われていないんです。

 

★中部電力・川崎汽船はカナダで潮流発電に参入

一方、日本国内ではなく、再生可能エネルギーの普及体制が整うカナダ・ノバスコシア州のファンディ湾で潮流発電を行おうという動きがあります。中部電力と川崎汽船による共同事業で、こちらは売電を前提とした取り組みとなります。

「ファンディ湾は、潮が満ちたときと引いたときの海水面の高さの差が5階建てビルに相当する約16mもあります。海水の流れも非常に速く、発電するのにとても良い条件の場所となります。そのファンディ湾の海底に発電機を3基設置し、一般家庭約5400世帯分に相当する電気を発電する予定です。2023年に1基目を、2026年に2基目と3基を運転開始することを目指しています。」

(中部電力株式会社・欧米事業グループ課長・後藤貴行さん)

ノバスコシア州では既に潮流発電を対象としたFIT制度が整備されていて、中部電力と川崎汽船はこの潮流発電事業で、カナダの電力会社と15年間の電力販売契約を結ぶ予定だということです。

やはり潮力発電を広げていくためには、FIT制度など、国による制度の整備が重要と言えそうです。

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