シティポップ人気のシンボル、竹内まりや『Plastic Love』アナログ盤発売の反響(高橋芳朗の音楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

高橋:本日のテーマはこちらです! 「シティポップ人気のシンボル、竹内まりや『Plastic Love』アナログ盤発売の反響」。 ここ数年日本の1970年代~1980年代のシティポップが世界的に注目を集めている、というトピックはこの番組でも何度も取り上げてきました。もうすでに世間的にもそこそこ共有されている話かと思います。 

スー:そうですね。

高橋:そんなシティポップ人気のシンボルといえるのが、竹内まりやさんの「Plastic Love」。ブレイクのきっかけになったのは2017年7月に非公式でYouTubeにアップされた動画で、これが海外のリスナーを中心に一年で約2,500万回再生を記録。以降、国内外でたくさんのカバーやリミックスが作られて人気が広がっていきました。 そんな「Plastic Love」のアナログシングル(12インチシングル)が先週11月3日、「レコードの日」に発売になりました。1985年リリースのオリジナルのシングル盤が中古市場で高値で取引されている状況もあって待望の復刻だったわけですが、これがやはりすさまじい反響で。昨日発表になった11月15日付けのオリコン週間シングルランキングでなんと5位にランクインしました。

 スー:もうなにがなんだかよくわからないね。

 高橋:しかも、オリコン調べによるとトータルで1万3,757枚を売り上げたそうです。繰り返しますが、37年前の曲のアナログシングルが、ですよ。 

スー:ええっ、このご時世で!? まあ、このご時世だからこそというのもありつつですが。

 高橋:そうですね。いずれにせよ、これはとんでもない快挙でしょう。

 M1 Plastic Love / 竹内まりや 

 高橋:この「Plastic Love」のアナログシングルがリリースされた11月3日にはTOKYO FMで竹内まりやさんがパーソナリティを務める特別番組『竹内まりや RADIO Turntable』が放送されましたが、実はわたくしそれにゲストとして出演いたしまして。まりやさんに向けて、これまで『生活は踊る』の音楽コラムで取り上げてきたような日本の往年のシティポップの影響を受けた現行の世界各国の音楽、言ってみれば「世界のシティポップ」をガイドしたんですね。 番組ではブラジル、インドネシア、タイ、韓国、アメリカ、計5カ国の曲を紹介したんですけど、放送終了後にオンエアした曲のリストをTwitterに投稿したらほぼすべてのアーティストに見つかりまして。これがまたいちいち反応が熱烈なんですよ。どういうことかというと、皆さん自分の曲が竹内まりやさんに聴かれたことにいたく感激しているんです。 

スー:へー、すごい! 

高橋:ざっと紹介すると、まずインドネシアの4人組バンド、イックバル。「さっき聴きました。泣きそうだった・・・自分の作品に、あの竹内まりやさんがコメントしてくれたなんて信じられない」 

 高橋:続いて韓国のプロデューサー、ブロンズ。「竹内まりやさんへのセレクションに僕の曲が含まれていることをとても光栄に思います」 

 高橋:それからアメリカのシンガーソングライター、ジンジャー・ルート。「竹内まりやさんが僕の曲を聴いたって? 信じられない! 呼吸ができません!」 

スー:すごいね、ヨシくん! 

高橋:その彼らのリアクションをきっかけに、それぞれのアーティストのファンの方もわらわらと集まってきて。「私の推しの曲をクイーンオブシティポップのマリヤタケウチが聴いたって!? Oh my God!」みたいにすごく喜んでいるんですよ。だからこの一週間、僕のTwitterの通知欄はいろいろな国の言語が飛び交ってかなりカオスなことになっていました(笑)。 これまでにもインタビューなどで日本のシティポップが世界で受け入れられているさまを実感する機会はあるにはあったんですけど、今回のこの一件はまた違った生々しさがありましたね。特に「Plastic Love」のリバイバルを通じて、いま竹内まりやさんが世界的にめちゃくちゃリスペクトされていることがよくわかりました。 そこで次の曲は、「竹内まりやさんが僕の曲を聴いたなんて信じられない! 呼吸ができません!」と興奮していたアメリカはカリフォルニアのシンガーソングライター、ジンジャー・ルートが8月にリリースした最新EP『City Slicker』から「Loretta」を聴いてもらいたいと思います。この曲のサウンドを端的に言い表すとしたら、山下達郎さん「高気圧ガール」の宅録ローファイバージョン。

スー:アハハハハ!

高橋:ある意味、これを聴けばジンジャー・ルートが竹内まりやさんからコメントをもらったことに感動しているのが納得できる思います。 

M2 Loretta / Ginger Root 

スー:事前の要約がはっきりわかる! 本当にローファイな達郎さんだ! 

高橋:この「Loretta」のミュージックビデオには日本語字幕が入っているんですけど、ちょうど2日前、11月9日には日本語バージョンもリリースされたのでぜひそちらもチェックしてみてください。 

高橋:ジンジャー・ルートが日本のシティポップから強い影響を受けていることは「Loretta」を聴いてもよくわかると思うんですけど、実際彼は昨年5月に自身のYouTubeチャンネルでとある日本のシティポップの曲のカバー動画を公開していて。それが秋元薫さんの「Dress Down」。1986年の作品です。秋元薫さんはカシオペアのメンバーが結成したシャンバラに国分友里恵さんと共に参加していたシンガーで、「Dress Down」はそんな彼女のデビューアルバム『Cologne』の収録曲。 実は、この秋元薫さんの『Cologne』も竹内まりやさんの「Plastic Love」と同じく11月3日の「レコードの日」にアナログが復刻されているんですよ。この復刻も「Dress Down」がここ数年世界的に注目を集めていることがきっかけになっていて、その状況を受けて日本のビクターは今年6月に海外リスナー向けのリリックビデオをYouTubeにアップして。9月にはリマスター音源を各サブスクで公開しています。 

スー:各社腕まくりしてるね! 

高橋:こうしたなかで疑問として出てくるのは、日本でもそんなに知られているわけでもない、シングルにすらなっていない曲がなぜこうして海外でクローズアップされることになったのか、というところですよね。でも、別にこれって海外のリスナーによっていきなり発見されたわけではないと思うんですよ。その背景には、やはり日本のDJの皆さんの地道な発掘作業があるのではないかと。 秋元薫さんの「Dress Down」はもともと和モノDJのあいだでは名曲として一定の評価を獲得していて、4年前、2017年の時点ですでにシングルとしてアナログ化が実現しているんですね。こういう国内での再評価の動きが海外に伝わっていったのだと思います。これは竹内まりやさんの「Plastic Love」にも同じことが言えるのではないでしょうか。たとえば、tofubeatsさんも2012年には「Plastic Love」のカバー音源をネットに上げていましたからね。

 M3 Dress Down / 秋元薫 

高橋:以上、今回は竹内まりやさん「Plastic Love」のアナログシングル発売を切り口にして3曲お届けいたしました。なお、ジェーン・スーさんとお届けしているAmazon Music独占配信のポッドキャスト番組『生活が踊る歌』の最新回ではジンジャー・ルートのような日本のシティポップの影響を受けた世界各国のアーティストを紹介しています。世界規模のシティポップブームの経緯を解説しているほか、同時公開のプレイリストでは『竹内まりや RADIO Turntable』でオンエアした曲もすべて収録しているので興味のある方はぜひ聴いてみてください!

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