大切な人を亡くした喪失感「グリーフ」のケアサポート

人権TODAY

身近な人の死からくる喪失感「グリーフ」

死別、離婚や別居による離別、災害や事故などで大切な存在を失ったとき、 人は心や体のバランスを崩すことがあります。その反応を総じてグリーフ(grief)と呼びます。 そんなグリーフを抱える人たちを支援する、東京・世田谷区にある団体を訪ねました。

「グリーフサポートせたがや」海原由佳(かいばら・ゆか)さんです。

大切な人の死もそうだし、暴力被害を受けて安全な感覚が失われてしまったというのもそうだし、仕事を失うとか、あらゆる変化がグリーフにつながっているというふうに考えています。悲しい気持ちになったり、気持ちが落ち込むことももちろんそうだし、眠れないとか頭痛とか体の反応として出る場合もあるし、涙がとまらない、逆に泣けないとか。それは異常なことではなくて、病気でもなくて、当然起こることだと考えています。

グリーフとは、つらい感情を一人で抱え込んでいるために起こる反応でもあり、自分らしさを取り戻すためには、その感情を誰かとじっくりと共有する時間が必要です。そういう意味では、お葬式や法事というのもケアの役割のひとつとも言えます。

共に語り合い、グリーフと向き合う場を

夫や妻、恋人などパートナーを亡くした人へのサポート活動を行っています。同じような境遇、経験を持つ人たちが5、6人集まって、共に語り合う場を提供しています。もちろん、話したくないことは無理に話さなくて構いません。参加者同士のペースを大切にしながら、互いに静かに耳を傾けることが重要だと言います。

スタッフの松本真紀子(まつもと・まきこ)さんはこのように話します。

ここでアドバイスをするとか、私の経験はこうだとかそういうことではなく、その人が「自分に起きたことはこういうことだったんだな」と、そこに意味を見つけたり、自分の気持ちに気づいたり…。その気持ちを隠さずに話せる、そこに聞いてくれる人がいる、そういった場があることが大切だと思っています。

悲しみや怒り、後悔などいまの気持ちを素直に吐露しあったり、故人との思い出を語ったり、自分で話すのが難しい場合は人の話を聞きながら共感できる部分を見つけたりします。

「グリーフサポートせたがや」では主に3つのプログラムを柱としています。

・パートナーと死別した人向けのサポートプログラム

・パートナー問わず大切な人との死別体験をした成人を対象としたプログラム

・そのような体験をした子どもを対象としたプログラムです。

世田谷区内に借り上げたマンションの一室「サポコハウス」では、それぞれのプログラムを月に1回のペースで開いています。また、これとは別に個別相談も行っています。電話やオンラインなど、相手に合わせたつながりも提供しています。年間で、大人が延べ160人、子どもが延べ80人、個別相談でも60人程(2017年)が参加しているそうです。

いつでもつながれる場所であるために

インターネットで知る方、市区町村や学校、病院からの紹介など様々です。存在を知ってはいても、参加をためらう人も多いと言います。

スタッフの海原由佳(かいばら・ゆか)さんはこのように話します。

そういう場に行くっていうのは、パートナーの死を現実として受け止めることでもあるので、一歩踏み出すのはしんどいこともでもある。すぐには行けなくとも、そういう場所があるというのを知っているということもケアのひとつ。中には、私たちの活動が載った新聞記事を切り取って持っていた方がいて、何年か経ってからつながってくる人もいらっしゃいました。

「グリーフサポートせたがや」では現在、20名ほどのスタッフがいて、サポートプログラムの進行、相談などを行っています。皆さん、普段は別の仕事をしながら、週末を中心に活動されているということです。現在は大切な人を死別でなくした人のケアを中心に行っていますが、今後は、DV被害から逃れてきた人のケア、児童養護施設で暮らす子どものケアなど喪失体験からくるグリーフに対するサポートを拡げていきたいと話していました。

活動が気になった方、相談を考えているという方、プログラムのスケジュールなどについては「グリーフサポートせたがや」のホームページ、または、フェイズブックを参照ください。

(担当:瀬尾崇信)

■取材協力:グリーフサポートせたがや(https://www.sapoko.org/grief/

『人権TODAY』は、TBSラジオで毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8:20頃に放送。人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

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