水道管老朽化の問題を改めて知る

森本毅郎 スタンバイ!

10月7日、木曜日の夜、関東で震度5強の地震があり、あちこちで水道管の破裂がありました。背景にあるのが水道の老朽化。全国の水道管のうち、法定耐用年数の40年を超えているのは17・6%。今後20年で24%もの水道管を更新しなければならない、ということでした。

そこで今日は日本の水道が置かれている状況について、改めて専門家に聞きました。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時30分過ぎからは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」、2021年10月11日(月)のテーマは、『水道の老朽化問題』です。

 

★今のペースで更新したら130年!

まずは、現状について。水道事業のマネジメントが専門の近畿大学経営学部・浦上拓也教授のお話です。

「東京は1900年くらいから水道がありますので、もう100年以上ですし、高度経済成長期にどんどん人が増えて、水道管もそれに伴ってたくさん埋設されてますから。当時の水道管の材質というのは、最近使われているものに比べると、非常に質が良くないケースが多くてですね、新しいものは長寿命管と言われてて、80年100年もつものですから、壊れにくくはなっていると思うんですけども。

まあ(更新が済んだ水道管は)全国平均でいま0・75%程度と言われてますから、今のペースだと全部更新するために130年とか、それくらいの期間がかかる計算になりますけど、だから、長寿命管は100年もちます、って言うけれども、その長寿命管でさえも、更新できないペースでしか、更新されていないっていう状況ですね。」

(近畿大学経営学部・浦上拓也教授)

 

浦上さんによると、水道管の法定耐用年数、というのは、減価償却のための期間であって、便宜的に40年と言っているもの、だそうです。

水道管に使われている材質も、当然進化しており、ここ20~30年に更新されたものは、80~100年もつ、というものもあります。

だから、40年で、全部変えなければいけない、と言うわけではないのですが、とはいえ、更新された水道管は0・75%・・・。今のペースで更新していたら、130年もかかる。100年もつ水道管だとしても間に合わない・・・。これでは、水インフラが破綻してしまいます。

 

★お金だけでなく、人も足りない!

とはいえ、古くからある水道網なのだから、水道管の老朽化は当然考えられます。なぜ、こんな状況になってしまうのでしょうか。浦上さんに聞きました。

「行政の中での水道に対する優先順位も、今ものすごく低くなってまして、今回のような大きな事故が無い限り後回しにされてしまう状況になってますね、残念ながら。

当然人口が減少してますから、市町村の職員さんも削減されていくんですけど、私が見る限り、水道とか下水道の職員さんは、一般行政職員のみなさんの減少のスピードよりも、さらに速いスピードで職員数削減されてますので。それもすべておそらく、水道料金を上げたくないためにできるだけコストを抑えようという努力の結果だとは思うんですけれども、人がいなくなると、今度仕事をやってくれる人がいなくなるので、お金が無くて更新が進まないというより、人がいないので更新が進まないとか、そういうことにもなりつつまりますね。」

(近畿大学経営学部・浦上拓也教授)

 予算だけでなく、人も足りないんですね。

東京は1900年ころから、すでに水道があった、という話がありましたが、それ以来、日本全国津々浦々に水道を埋設し、20世紀のうちにほぼ100%完備しました。

つまり、日本では、水道事業はすでに出来ている、という位置にあるようで、何かと、後回しにされがちなのですね。その後回しの連続と、水道料金を上げないための人員削減のダブルパンチで、水道管の更新は、遅々として進まない、という危険な状況になっているのです。

浦上さんは、「20世紀は作る時代、21世紀は維持管理のマネジメントの時代」と、行政や事業者が意識を変えなければ、水道事業は破綻してしまう、とおっしゃっていました。

 

★水道料金は未来の水道管更新の蓄え!

そしてもう1つ、我々水道を使う側も、意識を変えてほしい点があるということです。

「水道料金は安いという強い思い込みがあってですね、安くしてほしいという社会的な要請があまりにも強くって、日本全国の水道事業体が、できるだけ水道料金を上げないように、これまで努力してきたってところが、将来の更新のためのお金が充分に蓄えられてないので、今のように老朽化された水道管がずっと更新されないままになってきて、今日に至っているという。

蛇口から水が出ているので、みなさん何も問題意識持たないんですよね。水道管が破裂して水が止まったりすると、その時やっと気づくっていう、ちょっと悪循環になりつつありますね。

今までは「水道、安心安全ですよ」っていう情報を出すことが、市町村の仕事だったんですけど、今度は「ホントは危ないんですよ」っていう真実をしっかりと表に出して、きちんとした事業にしていくために、費用もかけて、それを料金として負担いただくということも、協力してやっていく必要があるのかな、と思います。」

(近畿大学経営学部・浦上拓也教授)

蛇口をひねれば、いつでもどこでも安心安全な水が手に入る。しかも世界的に見ても水道料金は安い方。我々はこの状態にすっかり慣れてしまっていたんですね。

しかし、水道局は税金ではなく、利用者の水道料金でまかなう独立採算制。未来の水道管のための黒字を生まないままでは、この当たり前は次世代には引き継げなくなってしまう、ということなのです。

正直、私もあんまり危機感をもっていませんでした・・・。今日からしっかり意識したいと思います。

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