ミャンマーで拘束されている在日ミャンマー人映画監督の解放に向けての取り組み

人権TODAY

今回のテーマは…ミャンマーで拘束されている在日ミャンマー人映画監督の解放に向けての取り組み  

ミャンマー国軍に拘束されて半年…

2月1日にミャンマーで国軍によるクーデターが起きてから8カ月。ミャンマーは現在、実質的な「内戦」状態となっています。そんな中今年4月に拘束されてから、すでに半年近く刑務所に収監されている在日ミャンマー人の映画監督が居ます。名前はモンティンダン。

ミャンマーで拘束されているモンティンダン監督

1984年生まれで、6歳の時に家族と共に日本に移住したモンティンダンさんが青春時代、映画を学ぶために通ったのが「日本映画学校」。現在は「日本映画大学」となっていますが、そちらの学長を務め、モンティンダンさん解放への働きかけを行っている、映画監督の天願大介(てんがん だいすけ)さんに、まずはモンティンダンさんとの関わりを伺いました。

「彼が高校出て、日本映画大学に入って来た時の1年生の担任が私でした。その後僕は専門コースの演出コースの担任になったんですけど、2年3年を受け持った時に、ダンがそのまま僕のクラスに入ってきたんで、3年間彼の面倒を見たということになります。 」(日本映画大学学長 天願大介監督)

天願さんが、担任として生活全般に関わったモンティンダンさん。学校では愛嬌があって人気者だったと言います。「日本映画学校」を卒業した後は、撮影現場や芸能事務所で働いていましたが、2010年代後半、日本・ミャンマーの合作映画に携わったことをきっかけにミャンマーに映像制作会社を設立。日本とミャンマーを行き来するようになりました。そして、教師と教え子として付き合いが続いた天願さんの元に、今年2月、1通のメールが届きました。

日本映画大学 学長 天願大介監督

2月頃ダンから連絡があって、ミャンマーに居ますと。今そのクーデターのことを記録して発信していますというメールでした。その時は、とにかく気を付けなさいと。何かあったらいけないから、捕まらないようにして下さいという風に送って。で、その後音信不通になったんで、ちょっと心配してたんですよ。何かあったのかな~?逃げてんのかな~?と。そしたら逮捕されたというのを聞いて、まあちょっと吃驚しましたね。」(日本映画大学学長 天願大介監督

クーデター発生時、モンティンダンさんは製作しようとしている映画の取材のため、ちょうどミャンマーに滞在中でした。そこでカメラでクーデター後の不服従運動などの様子を記録していたところ、国軍に追われるようになり、4月17日に拘束されてしまったのです。

そうした情報は、モンティンダンさんと親交があり、やはり国軍に拘束された、日本人ジャーナリストの北角裕樹さんによるものです。収監された刑務所でモンティンダンさんと再会した北角さんは、5月に解放されると帰国。モンティンダンさんがデモ隊に資金提供したとして起訴されたことや、実際はお金の受け渡しはなく、軍の施設で受けた拷問により、虚偽の供述書にサインさせられてしまったという情報を、天願さんらに伝えてきたのです。

解放に向けての働きかけ

そこで「日本映画大学」ではモンティンダンさんの家族の了承も得て、7月に特別授業を開催。天願さん、北角さんらが参加したシンポジウムに加え、2006年にモンティンダンさんが監督した卒業製作作品『エイン』の上映を行ったのです。

モンティンダン監督作品『エイン』(2006)

『エイン』というのは、ミャンマー語で“家族”の意味です。主人公は、在日ミャンマー人の男子中学生の少年。外国人である彼に対する周囲の偏見に苛立ち、クラスメートと喧嘩し、遂には父親とも衝突して家出してしまいます…。モンティンダンさんが、自分の少年期を投影して描いた、瑞々しい青春映画であり、ロードムービーです。セリフの多くをミャンマー語が占める、モンティンダン監督作品『エイン』を上映した意味を、天願さんに伺っています。

彼の人柄というか、彼がどんな男かというのをわかってもらうには、作品を観てもらうのが、一番手っ取り早いと思うんですね。非常にマジメに映画に取り組んで、いつかミャンマーで映画を撮りたいという夢を抱いて、夢を叶えようと思って努力している最中のことですから、何とか解放されて、夢を叶えられるといいなと思っています。」(日本映画大学学長 天願大介監督)

「日本映画大学」では、希望者や団体に『エイン』の無料貸し出しをスタートしました。現在ミャンマーでは、モンティンダンさん以外にも多くの人々が拘束されているわけですが、ミャンマーで起きていることを、黙って受け入れることはできないというアピールと共に、日本の人々にも、ミャンマー情勢を考えるきっかけにして欲しいという思いを籠めています。この9月には『エイン』は、オンライン開催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で上映されました。

モンティンダン監督の安否は…

さてモンティンダンさんの、現在のところの最新の安否を、天願さんに伺っています。

1カ月前ぐらいに、ダンと同じ刑務所に入れられていた、やはり政治犯の方が釈放されて、北角さんが話をすることが出来たんですね。それによると、健康ではあると。元気は元気だ。メンタルも大丈夫だと。」(日本映画大学学長 天願大介監督)

現在ミャンマーでは、コロナ禍のために裁判がストップし、モンティンダンさんと弁護士との接見も行われていません。天願さんたちは、一刻も早い解放を目指し、「緊急事態宣言」も明けたこの秋から、取り組みを強めていくということです。

★モンティンダン監督作品『エイン』上映についてなどのお問合せ先

日本映画大学 https://www.eiga.ac.jp/

Email  info@eiga.ac.jp

担当:松崎まこと(放送作家/映画活動家)

 
 
 
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